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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
MLB2025年のレギュラーシーズンももう残り40日ほどとなった今、開幕から終盤にかけてのエキサイティングなプレーを振り返ったとき、各ポジションのベストプレーヤーとして称えられるのはいったい誰でしょうか?
8月18日(日本時間8月19日)、大リーグ公式『MLB.com』では専門家チームが、シーズン終了時に選出が予想される年間「オール MLBチーム」について取り上げていました。
当記事では、そこで名前のあがったプレーヤーの中から気になる ”野手” をPickup。
今季、ここまで築いてきた彼らの実績とその魅力についてリサーチしています。
どうぞ最後までお付き合いください。
※ 特に記載がない限り統計データは日本時間8月20日までのものです。
「オールMLBチーム」とは
オールMLBチーム(All-MLB Team)は、レギュラーシーズン全体で最も活躍した選手を選出する賞で、ファーストチームとセカンドチームの2チームで構成されます。

「オールMLBチーム」ってどのようにして表彰されるの?
<詳細>
ファーストチームとセカンドチーム:
リーグに関係なく、各ポジションで最も優れた選手を選出。選ばれた選手はファーストチームとセカンドチームに分けられる
選考方法:
ファン投票と専門家による評価の両方が選考に用いられる。(ファン投票は選考の50%を占める)
選考対象:
両リーグ全体から先発投手(5人)、救援投手(2人)、捕手、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、外野手(3人)、指名打者の計16人で1チームが組まれ、ファーストチームとセカンドチームに分けて表彰
夏の祭典オールスターゲームでの投票はシーズン前半のみを考慮して選ばれるため、ある意味、シーズンを通して評価されるオールMLBチームがより正確なベストメンバーと言えそうです。
Embed from Getty Images 2023年
2023年4月8日:2022シーズンのオールMLBチームにはフィリーズから3人(1st2、2nd2)が受賞。
各ポジション最優秀選手候補
捕手部門
カル・ローリー(28歳)/シアトル・マリナーズ
オールMLB予想 | ファーストチーム |
カル・ローリーは、スイッチヒッター(右打席と左打席の両方で打撃ができる)の捕手として47本塁打を放ち、2021年の本塁打王、サルバドール・ペレスが達成したシーズン48本塁打記録にあと1本と迫っています。
OPS(出塁率+長打率)は.949、14盗塁をマークし、捕手としても安定した守備を披露。
米野球データサイト『FanGraphs』によると、ローリーのWAR(Wins Above Replacement)は7.1で、これはアーロン・ジャッジの7.4に次ぐもの。今やマリナーズの捕手は、アメリカンリーグMVPレースの真っただ中にいます。
WAR(Wins Above Replacement)
選手の貢献度を評価する指標。ある選手が同じ出場機会で平均的な控え選手が出場した場合と比較して、どれだけ勝利数を上回る貢献をしたかを数値化したもの。
数値の見方:
数値が大きいほどチームへの貢献度が高く、その選手はチームの勝利に大きく貢献していると評価
例えばA選手のWARが5.0であれば、A選手の代わりに控え選手を起用した場合と比べて、チームに5勝分の勝利を上乗せしたと評価できる
ウィル・スミス(30歳)/ロサンゼルス・ドジャース
オールMLB予想 | セカンドチーム |
今シーズンのウィル・スミスは97試合に出場、打率.302と好調を維持し、常にナショナルリーグのトップ争いに名を連ねています。
ここまで15本塁打を放っており、勝敗を左右する大事な場面での安打も光り、得点圏打率は.341。
また昨季はOPS.760と振るわず3シーズンつづけて打撃力が低下傾向にありましたが、今年は劇的な復活劇を演じ、得点貢献度が大幅アップ。
スター選手揃いのドジャースにあってスミスのOPS.916は、大谷翔平の1.014に次ぐ2番目の好成績です。
OPS (On-base Plus Slugging)
打者の攻撃力を測る指標で、出塁率と長打率を足し合わせたもの。
OPSの目安:
0.700 未満:平凡な打者
0.700 – 0.799:平均的な打者
0.800 – 0.899:優秀な打者
0.900 – 0.999:非常に優れた打者
1.000 以上:歴史的なレベルの打者
計算方法:
・出塁率 = (安打数 + 四球 + 死球) ÷ (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
・長打率 = 塁打数 ÷ 打数
・OPS =出塁率 + 長打率
例)
ある打者が、以下の成績だったとします。
安打数:150、四球(フォアボール):50、死球(デッドボール):5、犠飛(犠牲フライ):5、打数:500、塁打数:250
・出塁率の計算
出塁率 = (150 + 50 + 5) ÷ (500 + 50 + 5 + 5) = 205 ÷ 560 = 0.366 (四捨五入)
・長打率の計算
長打率 = 250 ÷ 500 = 0.500
・OPSの計算
OPS = 0.366 + 0.500 = 0.866
よって、この打者のOPSは0.866
一塁手部門
ブラディミール・ゲレーロ Jr.(26歳)/トロント・ブルージェイズ
オールMLB予想 | ファーストチーム |
2024年シーズンはアメリカンリーグ東地区5位に沈んだトロント・ブルージェイズでしたが、今季は7月初旬に首位を奪取。現在2位に5ゲーム差をつけ地区レースの先頭をひた走っています。
後半戦で平均6得点以上を挙げる強力打線の中でもゲレーロJr.は期待を裏切らない活躍を見せ、7月以降の40試合で打率.333、OPS1.012、9本塁打と24打点を記録。昨夏の好調ぶりを最高のタイミングで再現してきました。
また、ゲレーロJr.は4月に同球団と14年総額5億ドル(約728億円)という歴代3位の契約延長に合意、その実力を改めて証明しようとしています。
※ 日本時間8月19日時点情報:めったに欠場しないことで知られるゲレーロですが、左ハムストリングの張りのため試合途中で退場しMRI検査予定。
ピート・アロンソ(30歳)/ニューヨーク・メッツ
オールMLB予想 | セカンドチーム |
アロンソは2019年のメジャーデビュー以来キャリア最高シーズンの一つを送っており、124試合に出場して、OPS.871、28本塁打、100打点を記録。
直近で通算254本目のホームランを放ち、ナショナルリーグのトップ5に輝きました。あと2本で5年連続30本塁打超えを達成することになります。
昨季オフに球団と2年総額5400万ドル(約81億円)の契約を結び、今シーズン終了後に選手側のオプトアウトオプション(より有利な条件で再契約交渉できる権利)を行使したアロンソ。
このままでいけば、昨年の希望額をはるかに超える契約更新となる可能性が高いとされています。
二塁手部門
ケテル・マルテ(31歳)/アリゾナ・ダイヤモンドバックス
オールMLB予想 | ファーストチーム |
31歳を迎えた今シーズン、相手ファンの心ないヤジに晒され涙したり、オールスター期間中に自宅へ強盗が押し入ったりと散々な目に遭っているのも関わらず、マルテはこれまで以上に絶好調。
最近になって内部リーク(?)により一部メディアが報じた「休養日を取り過ぎる」といった批判などモノともせず、今シーズンの彼は93試合で打率.295、23本塁打、OPS.948と、まさに数字は嘘をつかない圧倒的な成績を残してきました。
シーズン序盤に左ハムストリングの負傷で1ヵ月間欠場さえしていなければ、ナショナルリーグMVP候補にも名を連ねていたかもしれない球界有数の実力派プレーヤーです。
ブライス・トゥラング(25歳)/ミルウォーキー・ブルワーズ
オールMLB予想 | セカンドチーム |
メジャーデビューから1年目の2024年には、自身初となるゴールドグラブ賞を受賞し、さらにプラチナ・ゴールド・グラブにも輝いたブライス・トゥラング。
昨シーズンは二塁手として、240個の盗塁阻止や379アシスト(送球しアウトにする)でリーグ最高をマーク。一方で自ら50個の盗塁を決めるなど出塁と機動力を武器とするパフォーマンスが光りましたが、今季は打撃面でも大きく前進。
これまで平均以下だった数値も一変し、打率は昨年の.254から.279へ、本塁打は7本から13本と倍近くに、そしてOPSも.665だったのが現時点で.759と着実にパワーアップし続けています。
三塁手部門
ホセ・ラミレス(32歳)/クリーブランド・ガーディアンズ
オールMLB予想 | ファーストチーム |
メジャーリーグ13年目を迎えたラミレスは、相変わらず安定した成績で好調をキープ。
32歳(9月17日で33歳)のベテランは身長175.3cmと小柄ながら、昨シーズンの39本塁打、41盗塁に迫るペースで実績を重ねており、ここまで打率、安打数、本塁打数、打点、OPSとすべてにおいてチームトップの成績。
彼は2009年の契約以来、長きにわたってガーディアンズの打線を牽引する存在であり、衰え知らずのパワーと卓越したバットコントロール、スピードを兼ね備えたメジャーリーグ屈指の打者の一人でもあります。
マニー・マチャド(33歳)/サンディエゴ・パドレス
オールMLB予想 | セカンドチーム |
さかのぼること2010年、この年のドラフトでブライス・ハーパーに次ぐ大型野手とされ、1巡目(全体3位)でオリオールズから指名されたマニー・マチャド。
米球界きっての攻めたプレースタイルが特徴の三塁手ですが、デビューから14年間のキャリアを通して、今シーズンはさらにまた最高の打撃成績を築いており、現時点での打率が.292、20本塁打、OPS.833、そして142安打はナショナルリーグ2位タイを記録。
2024年オフには自身2度目のシルバースラッガー賞を受賞し、3度目となるオールMLBチームにセカンドチームの三塁手として選出されました。はたして今季はどのような結果となるでしょうか。
遊撃手部門
ボビー・ウィット Jr.(25歳)/カンザスシティ・ロイヤルズ
オールMLB予想 | ファーストチーム |
ボビー・ウィット Jr.は野球界でも傑出した才能の持ち主であり、間違いなく最上級の遊撃手の一人。
昨年はリーグ最高記録となる211安打、打率.332をたたき出し、OPS.977、32本塁打という驚異的な成績を残しましたが、今年も3年連続でエリートレベルの活躍を見せています。
今シーズンはここまで124試合に出場して、打率.291、OPS.847、18本塁打、32盗塁。8月に入ってからはさらに調子を上げ、直近1週間で無安打の試合はゼロ、打率は3割を超えてきました。
25歳にして、すでにスーパースターと呼べる存在でしょう。
ジェレミー・ペーニャ(27歳)/ヒューストン・アストロズ
オールMLB予想 | セカンドチーム |
ジェレミー・ペーニャは2022年、メジャーデビューを飾った当日に、試合観戦に訪れインタビューを受けていた両親の目の前でいきなり初ホームラン。
さらにそのルーキーシーズンには、ワールドシリーズとアメリカンリーグ優勝決定シリーズそれぞれでMVPを獲得しました。
それから3シーズンを経た今、ペーニャは27歳(9月22日の誕生日で28歳)にして真のブレイクシーズンを迎えようとしているところ。
ドミニカ生まれのこの遊撃手は、97試合で13本塁打と17盗塁を記録し、打率.310、キャリア最高のOPS.846とWAR4.4を記録中です。
外野手部門
アーロン・ジャッジ(33歳)/ニューヨーク・ヤンキース
ピート・クロウ=アームストロング(23歳)/シカゴ・カブス
オールMLB予想 | ファーストチーム |
アーロン・ジャッジは7月末に右肘の屈筋損傷で故障者リスト入り(IL)し、復帰したあとは守備にはつかずDHとして出場。
出足こそ鈍く見えたものの、直近6試合で3本塁打を放つなど調子を取り戻しつつあります。とはいえ、そもそも彼は調子が悪かったわけではありません。何といっても比較基準の最上級がアーロン・ジャッジなのですから。
またケガによる影響はというと現在、打率.333、OPS1.005、そしてWAR7.5でMLBトップを誇っており、ア・リーグMVPにふさわしいシーズンを台無しにすることにはなりませんでした。
シーズン中に複数本塁打とマルチ盗塁を5試合以上記録したMLB史上7人目の選手となったピート・クロウ=アームストロング。
後半戦でかなり調子を落としたとはいってもパワーとスピードは健在、そしてセンターでの優れた守備が23歳の輝かしいシーズンを支えています。
今季ここまでで27本塁打、30盗塁を決めていますから、このままいけば35本塁打、39盗塁も視野に「30-30クラブ」はたまた「40-40クラブ」入りも達成可能なペースです。
コービン・キャロル(24歳)/アリゾナ・ダイヤモンドバックス
オールMLB予想 | セカンドチーム |
8月21日に25歳の誕生日を迎えるコービン・キャロルは走攻守を高いレベルで兼ね備え、小柄(177.8 cm)ながらも長打を打てるパワーが魅力です。
ただ俊足外野手である彼は、新人時代に比べて走力を生かした盗塁数は54盗塁から昨年の35盗塁、今年ここまで17盗塁と大きく減少。一方でパワフルさは増しており、今季すでにキャリアハイの27本のホームランを放ち3シーズン連続20本塁打を達成。
キャロルは右翼での堅い守備が評価され、2023年に一度オールMLBチームのファーストチームに外野手部門で選出されています。
指名打者部門
大谷翔平(31歳)/ロサンゼルス・ドジャース
オールMLB予想 | ファーストチーム |
もう色んなところで語り尽くされた感があるとはいえ、大谷翔平はやはり唯一無二の選手。
2019年にオールMLBの表彰が始まって以来、最多となる5回の選出を誇ります。
しかも投打両部門ではこれまで3年連続。2021年はDH部門でファーストチーム、先発投手部門でセカンドチーム、2022年は先発投手部門でファーストチーム、DH部門でセカンドチームに選ばれ、2023年には先発投手とDH(指名打者)両部門でファーストチームに選出。
今シーズンの大谷はこれまでに44本塁打を放っており、50本塁打に到達する可能性は大。
盗塁数は(彼にしては)わずか17にとどまるものの、マウンド復帰を果たして23回1/3を投げ、防御率3.47、32奪三振を記録したことで、その分を補って余りあるでしょう。
カイル・シュワーバー(32歳)/フィラデルフィア・フィリーズ
オールMLB予想 | セカンドチーム |
Embed from Getty Images 2023年
2022シーズンではシュワーバーがオールMLBセカンドチームに選出。
カイル・シュワーバーはフリーエージェントとなる2025年、キャリア最高のシーズンを送っています。
今シーズンはここまで44本塁打を放ち、2022年に自身が打ち立てた46本塁打にあと2本と迫り、キャッチャーとしては2021年にサルバドール・ペレスがホームラン王に輝いた48本の記録更新も現実味を帯びてきました。
また、WARは自己最高の4.0をマーク。32歳にして初の50本塁打達成を目前にし、球界随一のスラッガーであることを証明し続けています。