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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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MLB2025 同じ高校から3人指名
全米屈指の野球強豪校、カリフォルニア州コロナ高等高校がMLB2025ドラフトで歴史を築きました。
同校のセス・ヘルナンデス(投手)がパイレーツに全体6位で、ビリー・カールソン(内野手)はホワイトソックスに全体10位で指名され、ハイスクールのチームメイトとしてトップ10に入った初のコンビが誕生。
さらに、ドジャース三塁コーチの長男ブレイディ・エベル(内野手)がブルワーズから32番目に名前が呼ばれたことで、ドラフト1巡目にして3人の選手がドラフトされる結果となったのですーー。
◆ ドラフト前、エベルを含めた有力候補者のスカウティング能力評価はこちらの記事を参照ください。
MLBにおけるチームメイト指名ドラフト史
冒頭で紹介した同じ高校から1巡目指名で3人輩出というのも驚きですが、チームメイトがトップ10入りを果たしたこと自体がレアケースであり、そうそう見られるものではありません。
ただどうやら今回のケースは、2023年と2024年に連続したカレッジ(大学)ドラフトにおける ”MLB史に刻まれる出来事” の流れを汲むものと言えるようで・・・。
以下は、ここ15年間で同じドラフト年に「トップ10で指名されたチームメイト」のリストです。
※直近年からさかのぼって振り返ります。
MLB トップ10入り指名のチームメイト・リスト①
まずは、当記事の最初に触れた、高校生初となったトップ10入りチームメイトから。
2025年
カリフォルニア州コロナ高等学校
・セス・ヘルナンデス / 全体6位
・ビリー・カールソン / 全体10位
二人は、高校のチームメイトとして史上初のトップ10入りを果たし、ドラフトの歴史に名を残したわけですが、エース右腕ヘルナンデスは3年生からのコロナ校編入組。
高校時代の2024年に9勝0敗、防御率0.62、73奪三振を記録。カリフォルニア州のゲータレード年間最優秀選手賞や、ロサンゼルス・タイムズの最優秀選手賞などの受賞歴があります。
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セス・ヘルナンデス、コロナ高校ポートレート。
一方のカールソンは中学時代にコロナ高校の試合を観て入学を決意した生え抜き。
ショートのほかピッチャー経験も積んだ謂わば二刀流選手で、内野を守ってもマウンドに立ってもパフォーマンスを発揮する能力で知られます。全体2位指名権のあった地元エンゼルスの動向に注目が集まりましたが、結果はシカゴが運命のチームとして名乗りを上げました。
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シカゴ・ホワイトソックスがビリー・カールソンを全体10位で指名。
前述どおりコロナ高校からはもう一人、トップ10入りは逃したもののブレイディ・エベルが事前評価64位から大きく前進して全体32位指名、ドラフト1巡目で3人目の選手としてpickされています。
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WBCチームカナダのフレディ・フリーマンとハグするブレイディ・エベル(右)。
MLB トップ10入り指名のチームメイト・リスト②
そして次が、大学ドラフトにおいて ”MLB史に刻まれた” という2年連続の出来事。
2024年
ウェイクフォレスト大学
・チェイス・バーンズ / 全体2位
・ニック・カーツ / 全体4位
・シーバー・キング / 全体10位
ウェイクフォレスト大学はバーンズ、カーツ、キングを2024年ドラフトのトップ10指名に送り込むという歴史を創りました。
バーンズ(投手)はレッズ、カーツ(内野手)はアスレチックス、キング(内野手/外野手)はナショナルズからそれぞれ指名を受け、20年前の2004年にライス大学が成し得て以来となる「チームメイト3人全員のトップ10指名」を果たしたのです。
バーンズは将来的に100マイル(約161キロ)を投げる資質を持つとされる右腕で、今季6月末からメジャーのマウンドに立ち、ここまで4試合に先発登板。カーツもマイナー出場わずか32試合にしてメジャーに昇格、シーズン半ばで58試合出場、17本塁打はチーム3位、44打点、打率.257と健闘。キングは最大の武器である快足と攻守でのスピードを生かし、現在マイナーリーグで奮闘中です。
2023年
ルイジアナ州立大学(LSU)
・ポール・スキーンズ / 全体1位
・ディラン・クルーズ / 全体2位
もうひとつのMLB史が2023年、ルイジアナ州立大学のポール・スキーンズ(投手)とディラン・クルーズ(外野手)が打ち立てた、ドラフトでの「ワンツー指名」というチームメイトとして初となる快挙。
カレッジ(大学)チームメイトとしてはおそらく史上最も圧倒的な活躍を見せてきた二人。
パイレーツ1位指名のスキーンズは、空軍士官学校に進学して2年プレーした後にLSUへ移ってきた転校組です。大学時代から160キロを超える速球を投げ、その圧倒的な球威はメジャー2年目にしてすでにMLB屈指の剛腕投手の領域へと昇華した感が…。
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大学ワールドシリーズではMVPに…って当時から桁違いの貫禄を見せるスキーンズ。
ナショナルズから2位で指名されたクルーズは、大学1年目からレギュラーに就くと63試合で、打率.362、18本塁打をマーク、同大の新人最多本塁打記録を更新したほか、シーズン終了後には大学野球USA代表に選出。
プロ入り後はスキーンズから3ヵ月遅れでメジャーデビューを飾っています。(今季は左斜筋の肉離れにより5月末から故障者リスト入り、復帰時期は未定)。
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オイオイ、こっちにもいましたぁ…カレッジ野球を超えたクルーズという名の逸材が!
MLB トップ10入り指名のチームメイト・リスト③
その他、同じドラフト年にトップ10指名されたチームメイトリストがこちら。
2021年
ヴァンダービルト大学
・ジャック・ライター / 全体2位
・クマー・ロッカー / 全体10位
ともに投手である彼らは、レンジャーズからの指名でプロ入りした大学チームメイト。
ライターは、父親が元プロ野球投手、伯父とその子(いとこ)もメジャーリーガーという野球家系の出。大学1年目の初登板で5回を無安打無失点に抑え12三振を奪い勝利に貢献、ドラフト全体2位指名でプロへ。今季は16先発登板し5勝6敗、防御率4.37で前半戦を折り返しています。
ロッカーは高校時代はU-18アメリカ代表に選出。2018年ドラフト38巡目(全体1146位)でロッキーズから指名されるも契約せずにヴァンダービルト大へ進学。2021年ドラフトでは、全体10位指名を受けたメッツとは契約せず再びエントリーし、最終的に2022年ドラフト全体3位で指名されました。
2017年
バージニア大学
・ペイビン・スミス / 全体7位
・アダム・ヘイズリー / 全体8位
現在、Dバックスで活躍中のスミス(一塁手/外野手)は大学1年目に肘を痛め、それまで投手も兼任していたのを野手のみに専念、大学ワールドシリーズでは決勝点となる適時打を放つなど活躍。ドラフト後にはクリスマスプレゼントとしてプロ入り時の契約金で両親の住宅ローンを完済したという逸話の持ち主です。
2017年ドラフトでスミスの次に名前を呼ばれたヘイズリー(外野手)はフィリーズに入団。それから5年を経てホワイトソックスに移籍したあとは、2023年6月末の試合を最後に現在のステータスはフリーエージェントのようです。
2015年
ヴァンダービルト大学
・ダンズビー・スワンソン / 全体1位
・カーソン・フルマー / 全体8位
ヴァンダービルト大からもう一組のチームメイトペアを紹介。
2014年のカレッジ・ワールドシリーズで優勝を経験し、その翌年には両者ともに上位10位指名を受けた二人。
スワンソンはドラフト後、ブレーブスでワールドシリーズ優勝、遊撃手部門でゴールドグラブ賞を受賞し、オールスターに初選出。2023年シーズン前にカブスと契約してからも2年連続でゴールドグラブ獲得とオールスター出場を果たしています。
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ブレーブスから指名を受けて間もない頃の初々しいスワンソン。
フルマー(投手)はホワイトソックスでキャリアをスタートし、メジャーリーグで傘下含めて5チームを渡り歩き10シーズン目となりますが、今年エンゼルスではリリーフ登板1度きり。目立った活躍はありません。
ちなみに、2024年ワールドシリーズの胴上げ投手ウォーカー・ビューラー(現Rソックス)も彼らのチームメイトであり、同年ドラフトでは1巡目(全体24位)でドジャースから指名を受けました。
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大学野球クラシックで、ヴァンダービルト大投手ビューラーがチームメイトとハイタッチ。
2011年
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
・ゲリット・コール / 全体1位
・トレバー・バウアー / 全体3位
最後は、同一大学から33年ぶりにドラフト「上位3位以内・2名指名」となったケースを紹介。
ゲリット・コール(現ヤンキース)は08年ドラフト全体28位でヤンキースから指名を受けるも進学の意思が固く、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学。UCLAのエースとして活躍し、それから3年後のドラフトでパイレーツに指名されプロ入り。
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NCAAカレッジ野球ワールドシリーズ男子第1試合で投球するゲリット・コール。
大学時代はチームメイトのコールと双璧を成していたバウアー(現NPB横浜DeNAベイスターズ)は、ドラフトの年そのシーズンの最優秀大学選手に贈られるゴールデンスパイク賞をUCLAで初めて受賞し、全体3位でDバックスの指名を受けました。
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Dバックスでメジャーデビューして間もない頃のトレバー・バウアー。
プロ入り後は両者ともオールスターに選出(コール6回、バウアー1回)、サイ・ヤング賞はともに1度受賞(コール2023年、バウアー2020年)、最優秀防御率(コール19年、23年の2回、バウアー20年)でもそれぞれタイトルを手にしています。