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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
日本時間7月24日、メジャーリーグ公式サイト『MLB.com』が現役メジャーリーガーたちに、「現在最も速いプレーヤー」を投票してもらうという企画を立ち上げ、その結果を寄稿。
これは統計アナリストによる科学的な考察などではなく、あくまで選手が普段からお互いを間近で観察して得た個々の主観に基づくもの。
当記事では同サイトのアンソニー・カストロヴィンス記者が 90人の選手にアンケートを取り、そこで集まった回答とコメントを紹介していきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
※記事中の数値データは主に日本時間7月24日時点のものです。
米野球界における最速スプリンター
第1位(40票)チャンドラー・シンプソン
生年月日:2000年11月18日(24歳)
身長:180.3cm
所属:レイズ
ポジション:外野手
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今季、メジャー昇格を果たしたばかりのシンプソンは、マイナーで198盗塁を決めた驚異的な脚力の持ち主。その活躍により、メジャーデビュー前の段階から「球界最速」との評判を得ていました。
故障者の穴埋め要員としてデビューをつかんだ今シーズン、ここまで打席を出てから最初の1.5秒間でシンプソンより長い距離を走ったランナーはゼロ。ゆえに、ありきたりなゴロを安打にしてしまうなど、最速の名に恥じないプレーをやってのけます。
「同じフィールドにいても、彼の最初の2歩は他の誰とも異なるものだ。“Being on the same field, his first two steps are different from anyone else.”」ーージェイク・マイヤーズ/外野手(アストロズ)
彼は本格的キャリアをスタートしてわずか数週間のうちに、内野安打で二塁から本塁に生還して得点し、平凡なゴロで出塁を決めるなど、注目を集めるプレーを2度にわたって演出。これらのシーンはアンケート回答者に少なからぬインパクトを残したようで・・・。
「ありきたりなゴロだったのに、彼はストライド1歩分だけ早くベースに到達したんだ。あのプレーを確認しても、ショートがためらったり悪いバウンドだったわけじゃない。…で、彼はセーフになった…普段は走者がいても気にしないほうだけど、彼が一塁にいる時は二塁に行こうとしてないか、ちょっと余計に見ちゃうよね。“A routine ground ball, and he beat it out by a stride length, When you watch that play, it’s not like the shortstop hesitated or it was a bad hop. … and he was safe … I usually don’t get intimidated with runners on, but when he’s on first, you’re looking a little extra to make sure he’s not just going to walk into second.”」ーークリス・パダック/投手(ツインズ)
シンプソンはまた、自身が放ったセンターへのバウンドを、相手守備が素手でキャッチし走りながら送球してギリギリアウトとなった試合でも、目を奪うような際どい走塁をみせており、そのとき対戦した選手は今回のアンケートで彼に一票を投じています。
「自分は素手で打球に対処したのに、奴はもう少しで勝ち抜けるところだったよ。いやぁメッチャ速いんだわ。“I barehanded that and he still almost beat it? He’s so fast.” 」ーーアーニー・クレメント/二塁手(ブルージェイズ)
第2位(17票)ボビー・ウィットJr.
生年月日:2000年6月14日(25歳)
身長:185.4cm
所属:ロイヤルズ
ポジション:遊撃手
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純粋に、塁上を駆け巡るスプリントスピードで言えば、メジャー最速との呼び声高いボビー・ウィットJr.。
さらに加えると、エキサイティングな走りをみせる選手は他にいても、そのスピードを活かすという点において同選手の右に出る者はないとされます。
彼は、パワーとスピードの両方を兼ね備えた者のみが達成可能な30-30クラブ(30本塁打&30盗塁)の2年連続メンバーであり、今季折り返し地点で27盗塁はア・リーグ4位。
2022年のデビューから数シーズンにわたって、常に最高の走りで相手チームにプレッシャーをかけ、クレバーなプレーを目撃する機会をファンに与え続けています。
「もしその隙間を狙って打てば、自動的に三塁打になっちゃう。“If he hits it in the gap, it’s an automatic triple.”」ーージャクソン・ホリデイ/二塁手(オリオールズ)
「彼と対戦すると、相手はパニックに陥る羽目になる。彼のスピードだけに目が眩んで、誤った判断をしてしまうからね。“Playing against him, he makes guys panic. Make poor decisions based purely off his speed.”」ーータイ・フランス/一塁手(ツインズ)
ウィットJr.は今シーズン、盗塁成功率79.4%と進化を遂げ、前年2024年の72.1%に対してベースライン上での効率性をよりいっそう向上させているといいますから驚きです。
「彼は誰よりも速くベースを駆け抜け、そして誰よりも速く盗塁する。本当に速い選手なのは誰もが知ってるけど、彼がファーストベースにいて盗塁を試みようとする時はアウトを取るために多くのことを確実にこなす必要があるんだ。“He gets down the line as fast as anybody and then steals bases as fast as anybody, You’re just aware of the guys that can really move, and any time he’s on first base, you’ve got to do a lot right to throw him out if he tries to steal.”」ーーオースティン・ヘッジズ/捕手(ガーディアンズ)
第3位(17票)エリー・デラクルーズ
生年月日:2002年1月11日(23歳)
身長:195.6cm
所属:レッズ
ポジション:内野手(遊撃手/三塁手)
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レッズのスター選手であり、全力でゲームを楽しむ姿が印象的なドミニカ出身の23歳は、本人が「世界最速の男 “fastest man in the world.”」と自称。多くの野球プレーヤーがそれに賛同しています。
彼はスピード感に溢れ、過去3シーズンは果敢にスティール(盗塁)を試みてきました。
ただ、今シーズンのスプリント速度29.1 ft/s(フィート/秒)は、2023年の30.5 ft/s、2024年の30.0 ft/sに比べMLBランキングで大きくダウン。にもかかわらずパフォーマンス内容や成績に影響はなく、何らその価値を下げるものではありません。
そして、このアンケート調査でNO.1に輝いたシンプソン本人がデラクルーズに投票したことが、明らかに何かを物語っているのでしょう。
「彼はただもうひたすらにさ、 ’俺はやってやるぜ、相手と対峙しても、俺自身は誰をも超えてるんで’ っていうマインドセットを持ってる。その考え方が好きだね。エキサイティングだよ。“He’s just relentless. He just has the mindset, like, ‘I’m going to go. Me versus you, I’ve got myself over anybody.’ I like that mindset. He’s exciting.”」ーーチャンドラー・シンプソン/外野手(レイズ)
続いて、今年からレイズのチームメイトとなった7歳年上のベテラン外野手のコメント。
「彼は野球IQも高いんだ。ただ走り出すわけじゃない、盗塁を遅らせることだってできる。タイミングを見極められるんだ。で、塁上での守備への集中力とスピードが加わればそれはスペシャルなものになる。しかも彼は195.6cmもあるんだから。“He’s got a good baseball IQ, too, He doesn’t just take off and run. He can delay steal. He picks his spots. His attention to the defense when he’s on the bases and you pair that with his speed, it’s special. And he’s 6-foot-5.”」ーーオースティン・ヘイズ/外野手(レイズ)
一方で、デラクルーズの規格外の体型により一歩のストライドこそ大きくなりますが、それは長い手足を動かすために、より多くの労力がかかることを意味します。
「あの体格であれだけ動けることがガチですごい。彼はすごく速くて、パワーがあって、まさに異端者だね。“It’s just crazy with how big he is and how he moves at that size, He’s so fast, he’s got juice, and he’s just a freak.”」ーーアレク・バールソン/外野手・一塁手(カージナルス)
第4位(5票)コービン・キャロル
生年月日:2000年8月21日(24歳)
身長:177.8cm
所属:ダイヤモンドバックス
ポジション:外野手
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身体能力が高く、スポーツ全般でそのスキルをフルに発揮することができるコービン・キャロル。
走攻守すべてをトップレベルで兼ね備え、ランニング評価では98*パーセンタイルのスプリントスピードを誇り、MLB屈指の速さを武器にベースエリアを駆け抜けていきます。
*パーセンタイル
データ全体を小さい順に並べたときに、ある値が全体の中でどの位置にあるかを百分率で表したもの。例えば、100のデータに対し5パーセンタイルは小さい方から数えて5番目の値、50パーセンタイルは中央の値、95パーセンタイルは大きい方から数えて5番目の値となる。
「彼って飛んじゃうんだよね。正直言ってさ、ちょっと変人というか…怒れるランナーなんだな。“He flies, He’s kind of a freak, honestly … He’s an angry runner.”」ーーベン・カスパリウス/投手(ドジャース)
2023年にメジャーの新人として史上初のシーズン25本塁打・50盗塁(25-50)を達成。身長180cmに満たず、体重75キロ弱の体格からは想像もつかないほどのパワーを発揮する俊足打者。
「彼は非常にバランスの取れたプレーヤーで、対戦相手としては厄介な存在なんだよね。彼から目を離すことなんてできないよ。“He’s a very well-rounded baseball player that’s not fun to play against, You gotta keep your eyes on him.”」ーーカイル・フリーランド/投手(ロッキーズ)
第5位(2票)バイロン・バクストン
生年月日:1993年12月18日(31歳)
身長:188cm
所属:ツインズ
ポジション:中堅手
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20代の頃には右打席から一塁まで3.89秒(3.75秒という情報もあり)という俊足を誇ったバクストン。
大きな武器である走力を生かし、スタットキャストが導入された2015年から2019年まで一塁到達速度でリーグ最速をマーク。
2017年にはスタットキャスト史上最速となる13.85秒での本塁到達によるランニング本塁打を記録。また2017年~2019年にかけて、33盗塁連続で成功というツインズ史上最長記録も樹立している正真正銘のスピードスター。
このエリート選手のキャリアはケガに悩まされてきたことでも有名ですが、31歳になった今、彼はおそらく人生最高のシーズンを送っており、スプリントでは依然として若い選手に引けを取らないスピードをキープしています。
「フィールドにいる時の彼はリーグで最もエリートでダイナミックな選手だね。“When he’s on the field, he’s the most elite, dynamic player in the league.”」ーーダニエル・リンチ4世/投手(ロイヤルズ)
トップ5圏外(各1票)プレーヤー
最後に、アンケートのトップ5から外れたとはいえ、それぞれが1票ずつを獲得した球界のスプリンターたちがこちら。
彼らだって十分にスゴイですよね!
・ピート・クロウ=アームストロング/外野手(カブス)23歳
・トレイ・ターナー/遊撃手(フィリーズ)32歳
・フェルナンド・タティスJr./外野手(パドレス)26歳
・キム・ヘソン/二塁手(ドジャース)26歳