こんにちは!
ちょっかんライフです。
今回も一人暮らしの直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げてまいります。
1995年、野茂英雄が海を渡りドジャースと契約金210万9000ドル(当時レートで約1億9800万円)、年俸10万ドル(同レートで約940万円)でマイナー契約を結んでから30年。
これまで海を渡りMLB(メジャーリーグベースボール)に挑戦した日本出身の選手は70人を超え、2025年現在はマイナーも含めると16人に及びます。
今回、本記事ではメジャーリーグにおける年俸が日本球界との契約に比べどれほどの差があるのか、日本人選手で調査。
NPB(日本プロ野球機構)との報酬格差について比較しています。
どうぞ最後までお付き合いください。
MLB 引退したメジャーリーガー報酬
まずは、すでに現役を退いている元プロ野球選手がNPBとMLBで手にした報酬総額を確認。
以下に示すNPBの報酬は推定額を、MLBについては米野球データWEBサイト『ベースボールリファレンス(Baseball Reference)』からpickして載せています。
※レートは1ドル120円で計算
NPBとMLBで比較 その1.
メジャーリーガーとして現役を全うし、日本球界には復帰しなかった2選手から見てみましょう。
※NPB年俸は契約金を除く
◆ イチロー
オリックス入団決定時の年俸が430万円(契約金除く)。その後1994年オフに推定年俸8000万円で契約更改。MLB挑戦では*ポスティングシステムによる独占交渉権をマリナーズが1300万ドル余りで獲得。3年総額1400万ドル((当時16億8000万円)で契約を結び、日本人野手初のメジャーリーガーに。
*ポスティングシステム:海外FA権を持たないNPBの選手が、メジャーへの移籍を希望する場合に利用される制度のこと。MLB球団は日本の所属球団の承認を得て交渉権が可能となるが、その際、所属球団に譲渡金を支払う仕組み。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 1994-2000(7年) | 約19億1000万円 | |
MLB(アメリカ) | 2001-2019(19年) | 1億6718万ドル | 約200億6180万円 |
◆ 松井秀喜
巨人入団時、契約金を除く年俸が720万円。1年目の契約更改では1900万円と目標の2000万円にも届かず。NPB8年目に単年契約で当時の最高年俸5億円でサイン。一方ヤンキースとの契約は3年総額2100万ドル(当時約25億4100万円)。日米それぞれ10年在籍なのでSalaries格差がイメージしやすいですね。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 1993-2002(10年) | 約22億8800万円 | |
MLB(アメリカ) | 2003-2012(10年) | 8325万ドル | 約99億9000万円 |
NPBとMLBで比較 その2.
次にMLBでの活躍を経てNPBに復帰、現役生活を日本で終えた元投手2名のケースを紹介。
※NPB年俸は契約金を除く
※日本復帰後の年俸含む
◆ 松坂大輔
当時対戦したい打者にオリックスのイチローを挙げ、1300万円の年俸(契約金除く)で西武に入団。シーズン終了後には2年目としては最高額の7000万円で契約更改。MLB初挑戦となった球団レッドソックスとは総額5200万ドルの6年契約を結び、1年目は633万3333ドル(約6億4600万円)で合意。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 1999-2006/2015-2021 (15年) | 約25億6000万円 | |
MLB(アメリカ) | 2007-2014(8年) | 5316万7000ドル | 約63億8000万円 |
◆ 上原浩治
1998年ドラフトではMLBのエンゼルスと読売ジャイアンツによる争奪戦となり、迷いながらも巨人を逆指名し1位で入団。入団6年目に史上最速で年俸3億円到達。MLB最初の球団はオリオールズ、2年1000万ドル(当時約9億円)+出来高600万ドルで正式契約。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 1999-2008/2018-2019 (12年) | 約24億2000万円 | |
MLB(アメリカ) | 2009-2017(9年) | 5025万ドル | 約60億3000万円 |
MLB引退後の手厚い保証
かつて日本プロ野球界トップクラスの選手は10年前後で約20億円程度の報酬を得てからメジャーリーグに移籍。そこで成功さえすれば、NPB時代よりも短期間のうちに桁違いのSalariesを手にすることができました。
イチロー氏を例にとると、2007年にマリナーズと5年9000万ドル(当時レートで約108億円)で契約を延長。うち2500万ドル分は利子(5.5%)が付き、引退の翌年から毎年支払われています。
それと併せて同氏がリタイア後に受け取る額は、年2億円は下らないと見られており、これが59歳まで保障されるのがメジャーリーグの凄いところ。
加えてMLBには「終身年金制度」もあるのでしたね。
大リーグで一定期間(一般的に10年以上)プレーした選手は62歳から年金を受け取ることができ、イチロー氏と松井氏は共に10年以上のキャリアですから満額(現在レートで約2200~2300万円)の支給。
松坂氏と上原氏の2人も受給資格は満たしており、それぞれのプレー年数に応じた額が支払われます。
日本のプロ野球にはない手厚い制度として知られますが、活躍した選手が引退後も収入源を確保し、その家族の生活もサポートされるとは実に行き届いた体制が敷かれているものです。
MLB 現役メジャーリーガー報酬
次は、現役メジャーリーガーたちのNPBで得た年俸総額と、MLBで公表されているSalary(給料)データから比較。
※当該年の平均レート1ドル150円で換算
※MLB①はこれまでの年俸(未完了の場合あり)、MLB②は契約上の将来給与分
NPBとMLBで比較 その3.
◆ ダルビッシュ有
日本では契約金1億円を除く年俸1500万円、出来高5000万円で高卒新人として史上3人目の最高条件で契約。1年目の契約更改では推定年俸3000万円で一発サイン。メジャーのスタートは、2012年レンジャーズと6年5600万ドル+出来高400万ドルの総額6000万ドル(当時約46億8000万円)で契約合意。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2005-2011(7年) | 約14億2000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2012-2024 | 2億500万ドル | 約307億5000万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2028 | 6700万ドル | 約100億5000万円 |
◆ 大谷翔平
日本ハムファイターズへ契約金1億円を除き年俸1500万円で入団。調停権を得た2021年の年俸は300万ドル(当時約3億3000万円)となり日本時代の最高年俸超えに。エンゼルス最終年の23年には年俸調停権を持つ選手として史上最高額(当時)の3000万ドル(当時約40億7000万円)の契約を締結。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2013-2017(5年) | 約6億1500万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2018-2024 | 4169万5000ドル | 約62億5400万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2033 | 1800万ドル | 約27億円 |
大谷選手はドジャースと10年7億ドル(約1050億円/1ドル150円換算)の契約に合意。2024年から2033年の契約満了までの10年間が年俸200万ドル(約3億円)で、2034年から10年間は年俸6800万ドル(約102億円)となっています。
ただ、この年俸は球団の「ぜいたく税(球団の年俸総額が規定額を超過した際の課徴金)」対策から、実際には2024年から33年まで毎年、2821万6944ドル(約42億3250万円)を受け取る形です。
◆ 菊池雄星
ドラフト前には国内12球団に加えMLBの8球団とも面談したものの、結果、西武と推定年俸1500万円(契約金1億円+出来高5000万円を除く)で入団。9シーズンをNPBで過ごした後、MLBのマリナーズとは3年総額4300万ドル(約64億5000万円)を基本とするオプション付き契約で合意。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2010-2018(9年) | 約5億5000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2019-2024 | 7900万ドル | 約118億5000万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2027 | 6367万5000ドル | 約95億5100万円 |
◆ 鈴木誠也
NPBでは広島から2位指名を受け推定年俸600万円でプロ入り。2020年オフには推定年俸3億1000万円で契約更改。その2年後の22年3月にシカゴ・カブスと日本人野手としては史上最高額となる5年総額8500万ドル(約127億5000万円)の契約を結ぶ。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2013-2021(9年) | 約9億3000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2022-2024 | 4700万ドル | 約70億5000万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2026 | 3800万ドル | 約57億円 |
◆ 千賀滉大
日本では育成ドラフト会議で、福岡ソフトバンクホークスから4巡目指名を受けて入団。プロ2年目には210万円増の推定年俸650万円で契約更改、最終年の2022年は2億円増となる推定年俸6億円でサイン。メジャーではメッツと、オプトアウト権(FA権)付き推定5年総額7500万ドルで契約。
下記表、*2028年は1500万ドルのチームオプション(球団が契約の継続を決定できる選択権を持つこと)
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2012-2022(11年) | 約17億5000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2023-2024 | 3000万ドル | 約45億円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-*2028 | 6000万ドル | 約90億円 |
◆ 吉田正尚
青山学院大学からドラフト指名によりオリックスへ入団、推定年俸は1500万円。プロ入り7年目の21年オフに国内野手ではイチローに次ぐ2人目のスピードで年俸4億円に到達。MLBのレッドソックスとは5年契約を結びオリックスには譲渡金として1537万5000ドル(約23億625万円)が支払われた。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2016-2022(7年) | 約10億3000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2023-2024 | 3420万ドル | 約51億3000万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2027 | 5580万ドル | 約83億7000万円 |
◆ 山本由伸
2024年オリックスからドジャースにポスティングシステムで移籍。12年総額3億2500万ドル(約487億5000万円)、1年平均で40億6250万円という超big契約。オリックスには日本円で約76億円の譲渡金が支払われ、これは同球団の全選手年俸総額の2年分を上回る額というのだから只々驚き。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2017-2023(7年) | 約13億1000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2024 | 916万円 | 約13億7400万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2035 | 3億1580万円 | 約473億7500万円 |
◆ 今永昇太
横浜ベイスターズから1巡目で指名され、年俸1500万円(契約金1億円除く)で入団。2022年オフにはメジャー挑戦を見据え、単年契約の1億4000万円で更改。カブスとは複雑なオプション付き契約(4年6250万ドル=約93億7500万円))を交わし、最大5年総額7950万ドル(約119億2500万円)で合意。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2016-2023(8年) | 約6億8000万円 | |
MLB(アメリカ)① | 2024 | 925万ドル | 約13億8750万円 |
MLB(アメリカ)② | 2025-2028 | 7025万ドル | 約105億3750万円 |
◆ 菅野智之
35歳という年齢もあってかオリオールズとは1年契約で、日本円にして20億に届かない年俸で入団。現地オリオールズファンからは名前のsuganoをもじって「トミーシュガー(Tommy Sugar)」と呼ばれメッチャ愛されていますので、MLBでの来季の動向も気になるところ。
所属リーグ | 在籍期間(年数) | 年俸 | 日本円 |
---|---|---|---|
NPB(日本) | 2013-2024(12年) | 約46億円 | |
MLB(アメリカ) | 2025 | 1300万ドル | 約19億5000万円 |
報酬格差は歴然
MLB選手の年俸は、イチロー氏が活躍していた頃から大きく様変わりし、それまでトップクラスで10億円前後だったのが、今やレギュラークラスで20億~30億円という時代に。
大谷翔平選手の破格の契約金は別としても、今現在メジャーリーグに在籍する選手の多くが総額100億円以上の報酬を手にしており、日米の経済格差はもはや10倍程度にまで拡大…。
そして何といっても徹底的な差は、やはり前述のMLBだけにみられる生涯年金制度の充実ではないでしょうか。
野球選手として世界最高峰の舞台でプレーすることができ、尚且つ、引退後にはその功績が称えられ生活が保障されるというのは、アスリートを生業とする者にとって代えがたい恩恵と言えそうです。