こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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MLBシーズンオフでの移籍、そして補強が盛り上がる時期、”ホットストーブリーグ”。
FA市場が ”熱く” なるこの冬、交渉もいよいよ本格化し大型契約も次々に決まり始め、マーケット全体が動き出したようです。
ESPNでは、ブラッドフォード・ドゥーリトルとデビッド・ショーンフィールド両記者がこれから春季トレーニングまでの間、争奪戦の行方を追いつつ来季予測と最新の考察を展開。
今回は、そこで名前の挙がった選手の中から、最高グレード「A」評価の付いた一人をpick。
メジャー専門家が分析した内容を紹介しつつ、当記事独自で調べた情報も盛り込みお届けします。
それではどうぞ。
【CHECK】
本記事とESPN記事では、一部提示する数値に微細な乖離が見られますが、これはデータ算出元による計算ロジックの違いによるものと考えられます。以下本文に示す選手の成績は、Statcastを基にFanGraphsが算出した最新統計データを採用しています。ご了承ください。
トップFA(フリーエージェント)のリリーフ市場
現在(2025年12月中旬)、スター層の動き出しとして取り上げるのがエドウィン・ディアス。
トップFAの一人ディアスのように、市場価値が高い大物クローザーの契約が成立したことで、リリーフ市場の相場が定まりつつあります。
ドジャース大物クローザーを獲得
右投手:エドウィン・ディアス
メッツ → ドジャースが獲得
3年6900万ドルで契約
評価: A
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メッツ時代のエドウィン・ディアス。
冒頭で触れたMLBライター兼アナリストの両氏によると、メジャーリーグでは通常、リリーフ投手と単年以外の契約を結ぶのは得策ではないとされているとのこと。
であるなら、ディアスとの3年契約は「異例」に思えますが、ロサンゼルス・ドジャースのこの決断は、むしろ非常にスマート(賢い)な選択だというのです。
どういうことなのでしょうか。

近年、3年超の契約で成果を出しているリリーフ投手は数人だけ…
ここで1年前を振り返ってみます。
当初ドジャースが掲げたブルペン計画は、様々なチームでクローザーを務めてきたビッグネームのリリーバーたちを驚くほど多くロースターに取り揃えることでした。
ブレイク・トライネン、タナー・スコット、エバン・フィリップス、カービー・イエーツ、そしてマイケル・コペックと、その戦力リストは思わず目を見張る布陣。
1人の高額プレーヤーを獲得するよりも、1000万ドルクラスの実力者を複数そろえ、誰かが欠けても別の誰かが埋められる層の厚みを重視する戦略をとってきたのだそう。
しかしこの計画は、…誰もが目にした通り、うまくいきませんでした。
特定の絶対的抑え投手がいないため、ブルペン全員が常にめちゃ高い負荷で投げ続けなければならず、それぞれがケガや成績不振、あるいはその両方に苦しめられたためです。
実際、昨年の豪華なリリーフ陣5人のうち、現在ロースターに残っているのはスコットとトライネンだけに…。
ただ、この2025年構想の限界と教訓がドジャースフロントの方針を大きく転換させました。
異次元のスタッツ、エリートとしての価値
今、リーグ全体を見渡してみても、救援投手で他を圧倒し長期にわたってその地位を維持できる選手は数えるほどしかいません。
が、間違いなくディアスはその一人であり、単なる良い投手ではなく圧倒的実績を誇る歴史的クローザー。
そして、この契約はブルペン投手としてたとえ過去最高額であろうと、かえって ”お値打ち品” の価値があると見られているのです。
これを裏付けるように、主要スタッツをFanGraphsデータから確認すると、
過去5年において、リリーフ投手の中でディアスの8.4より高いfWAR(FanGraphsが算出する総合価値指標)を稼いだのは、エマニュエル・クラセ(10.0)しかいません。
しかもディアスは2023年シーズンすべてを、WBCで負った不運なケガで棒に振っています。
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シーズン開幕前のWBCでプエルトリコ勝利直後、フィールド上での祝勝中に負傷アクシデント。
復帰後2シーズンの奪三振率でいうと、2024年の14.1 K/9を上回るのは、2025年に異常値15.2 K/9をマークしたメイソン・ミラーに限られ、
純粋に投手の投球実力を測る指標 FIP で2.28を超える(低い)数値となると、ケイド・スミスがルーキーイヤー(2024年)に記録した1.40のみ。

ムムム…、凄いね!つまりディアスという投手は?
- 比較対象としたリリーフ投手は皆、ピーク期にある20代半ばの若い選手ばかり
- 数年スパンでも急激な数値低下がなく他に達成できないレベルの成績を残している
- 1年ふいにしてもなお、fWARトップレベルを維持するのは投球の質が高かった証
- 2025年、FIPの前年3.02からの大幅改善は圧倒的球質の復活と更なる更新を実証
彼は現在31歳ですが、その根底にある能力は依然として一流であることがわかります。
さらにStatcastによると、ディアスの2025シーズンは防御率、被打率、空振り率、三振率の全てで99パーセンタイルを記録。
これは、99パーセンタイル=上位1%を指し、全リーグ中 99%の選手より優れているという意味ですから、
全ての指標で、メジャーリーグのトップ1%に入る超一流の能力を発揮している。
と読み替えることもできます。
パーセンタイル(Percentile)とは?
パーセンタイルは、あるデータを小さい方から大きい方へと並べたとき、その値がどの順位(位置)にあるかを100分率で示したもの
例えば・・・防御率のような「低い方が良い」スタッツなら、その投手より防御率が良い(低い)選手はリーグに1%しかいないことになり、奪三振率のような「高い方が良い」スタッツであれば、その投手より奪三振率が高い選手は1%しかいない、ということ。
数字が示すようにディアスの加入は、ドジャースのブルペン・プランに前シーズンでは見えてこなかった明確なビジョンをもたらすことになりました。
何故って…これからは、
8回までを他リリーフ陣が守り抜き、最終イニングは絶対的守護神につないで締めるという、MLB屈指の勝ちパターンが完成したのですから。
ドジャースが持つ契約の仕組みと成功への価値
dodgers
Los Angeles Dodgers
ディアスとの契約は、
これまで徹底して効率性を突き詰めてきたからこそ、ここぞという場面で効率を無視してでも獲るべき最高のカードに資金を集中させた、非常にドジャースらしい大胆な投資。
ここからは、交渉の内訳を深掘りしていきます。
オプトアウトから新たな契約へ
一見すると異例に映るにもかかわらず、米メディアやアナリストらから、賢いお買い得品(Smart Deal)と評される理由のひとつには、
ドジャースが提示した契約の仕組み自体が、球団にとって非常に柔軟かつ有利になるよう、じつにスマ~~ト!に設計されている点が挙げられます。

わかりやすくまとめるなら…
バランスのよい契約期間(3年間):
故障やパフォーマンスに波のあるリリーフ投手との5年を超える長期契約はハイリスク。ディアスが市場で求めていたとされる5年ではなく3年で契約できたことは、リスク管理の観点からも賢明。
繰延払いの活用:
3年総額6900万ドルのうち年450万ドルを後払いにして年俸総額を抑え、贅沢税対象の年平均額を額面上の2300万ドルから2110万ドルまで削減することで、球団資金運用に柔軟性が生まれる。
もちろん、ドジャースがディアスを手に入れるためには、メッツで保証された残り2年3800万ドルを破棄させ、それを上回る条件を提示する必要がありましたが、これも確実にクリアしました。
エドウィン・ディアス 契約詳細一覧
ディアスはメッツと、当時でもリリーフとして最高額の契約を結んでいたスター選手。
オプトアウト(契約破棄)条項行使の流れ
- 2022年オフ:ニューヨーク・メッツと5年総額1億200万ドルという大型契約を結ぶ
- オプトアウト条項:契約に「2025年シーズン終了後、選手側から残りの契約を破棄しFA(フリーエージェント)になれる」権利(オプトアウト条項)が含まれる
- 権利行使:2025年シーズン、圧倒的な活躍を見せこの権利を行使。メッツとの残り2年間(2026年、2027年)3800万ドルの契約を残し途中終了
- FA市場へ:FA市場に出た結果、ドジャースと3年6900万ドルの好条件契約を手にする
メディアが報じた契約情報を当てはめ、年俸の推移を整理した表がこちら。
エドウィン・ディアス年俸推移(概算)
| 年 | 所属球団 | 契約種類 | 年俸(ドル) | 日本円換算 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | メッツ | 5年1億200万ドル契約 (1年目) | 1900万ドル | 約28.5億円 | リリーフ史上最高額で契約 |
| 2024 | メッツ | 5年1億200万ドル契約 (2年目) | 1900万ドル | 約28.5億円 | |
| 2025 | メッツ | 5年1億200万ドル契約 (3年目) | 2600万ドル | 約39.0億円 | FA権行使し残り2年3800万ドル保障を破棄 |
| 2026 | ドジャース | 3年6900万ドル契約(1年目) | 1850万ドル | 約27.75億円 | 450万ドル後払い⇒贅沢税対象年俸2300万ドルから約2110万ドルに抑制 |
| 2027 | ドジャース | 3年6900万ドル契約(2年目) | 1850万ドル | 約27.75億円 | 450万ドル繰延 |
| 2028 | ドジャース | 3年6900万ドル契約(3年目) | 1850万ドル | 約27.75億円 | 450万ドル繰延 |
最高のステータスと勝利へのモチベーションの一致
必要な要素がすべて完璧なタイミングで重なり合い実現した大物クローザーとの契約成立。
で、もう一つ外せないのが、
…いや、これが双方合意に至る最大の推進力となったのではないでしょうか。
そう、球団側と選手側の “勝利へのモチベーション” の完全なる一致。
mlb
繰り返しになりますが、
ディアスは、メッツとの間で残っていた2年分の大金契約を破棄しFA市場に打って出ました。
これは、彼が年俸総額や契約期間よりも、「優勝できるチームで投げたい」という勝利への純粋な願望を優先したことを物語っています。
ドジャースは3連覇を狙うまぎれもない優勝候補であり、
ディアスとしては、”高いモチベーションで投げることを保証” してくれ、
かつ、
自身が、 “最高のパフォーマンスを発揮できる環境” を選びました。
これぞまさしくMLBにおける、現在のロサンゼルス・ドジャースの立ち位置。
彼らはもはや、選手たちが行き着きたいと願う憧れの頂(いただき)であり、球界エリートにとってのステータス・シンボル。
単に金銭的な報酬だけでなく、ワールドシリーズ制覇という最大の価値を付与できる点こそが、今のドジャースにあって他チームにはない決定的な違い・・・
その事実だけはここ2シーズン、どの球団も到達できなかった高みであると同時に、最大の魅力と言えるかもしれません。
ーー2026年春、ドジャースタジアムでの最終イニングに、あの『Narco』が響き渡ります。


