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MLB癖盗みにメス!2026ベースコーチ移動制限で「のぞき見」禁止

MLB

こんにちは!

ちょっかんライフです。

日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページ――。

2026年2月12日、MLBオーナー会議にて、コーチングボックスに関する既存ルールの厳格な運用が可決されました。

これによりベースコーチは、「投手が投球動作を完了するまで」ボックス内にとどまることが義務付けられます。

背景にあったのが、進化するメジャーリーグの「情報戦」。

通信機器ピッチコム(PitchCom)の導入で ”サイン盗み ”が困難になった結果、

今度は投手の微細な癖を見抜くピッチ・ティッピングPitch Tipping)が勝敗を分ける重要な要素となりました。

近年、より有利な角度から投手を観察しようとコーチがボックスをはみ出す光景が常態化していましたが、MLBはついにこれに歯止めをかける意思を固めたのです。

今後、違反者に対しては警告が与えられ、従わない場合は退場という容赦のない処分が下されます。

本記事では、このルール変更がなぜ今必要だったのか、そして、この「わずか数十センチの立ち位置」が試合の行方をどう左右するのか? 究極の情報戦の裏側を深掘りしていきます。

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MLBの情報戦:「癖盗み」対策の全貌

かつて野球の情報戦といえば、二塁走者やベースコーチが「捕手の指の動き(サイン)」を盗むのが主流でした。

しかし冒頭でも触れたように、ピッチコム(PitchCom)の普及によって、サイン盗みは事実上不可能に。

そこで各球団の分析班は、それまでサイン解読に注いでいた膨大な情熱とリソースを、投手が無意識に見せてしまう「癖(ピッチ・ティッピング)」の解析へと一斉に方針転換させたのです。

今や、試合前のビデオ分析はもちろん、試合中もリアルタイムで癖を特定する戦術が確立されています。
※なお、ビデオによる事前分析自体は「合法」であり、現代野球における重要な戦略の一部です。

問題視されたのは、その分析結果を現場で活用するために、コーチが「のぞき見にベストな角度を求めてライン上を自在に移動し始めたことです。

ビデオ分析は知略ですが、フィールド上で決められた枠をはみ出す行為は、公平な競争を乱すものと見なされたのです。

この流れについて、のちにシカゴ・ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMは以下のように見解を述べ、適法と違法化の境界線が明確になったことを受け入れました。

驚きはありません。本来のルールに立ち返ることで、この問題をコントロールできるなら歓迎すべきことです。

今回の決定は全くの新ルール導入ではなく、ずっと形骸化していた現行の規定を徹底させる、取り締まりの強化です。

具体的には、投手が投手板(ピッチャーズプレート)に触れてから投球が完了するまで、1塁および3塁のベースコーチは指定されたコーチングボックス内に留まらなければなりません。

これまでは、

多くのコーチが、投手の細かな癖をより鮮明に捉えるために意図的にボックスから離れ、白線が引かれたライン上を移動しては「最適なアングルを確保しようとしてきました。

なぜコーチはボックスを出ていたのでしょうか?

その裏側には、緻密な三段階の作戦プロセスがありました。

  1. アングルの確保:投手のリリース(離される瞬間)やグラブの中の握りを、最も見えやすい角度から観察して捉えるために位置調整する。
  2. データの照合:事前に頭に入れた分析データと、目の前の「生の動き」を瞬時に照合し、球種を特定する。
  3. 情報の伝達:特定した情報を、声やジェスチャーで打者へ直接、あるいは二塁走者を経由して間接的に伝える。

このプロセスが完了すれば、打者は次に来る球種を分かった状態でスイングできてしまいます。

MLBはこの「やりすぎ(Out of hand)」な実態を重く受け止め、ついにメスを入れたのです。

この問題が決定的となったのは、昨年のワールドシリーズ第7戦、ブルージェイズ 対 ドジャースという頂上決戦でした。

試合前、審判団が両チームに対し「コーチをボックス内に留めるように」と異例の強い警告を発したのです。

事態がそこまで深刻化した背景には、以下のような情報戦略がありました。

  • 極限の分析:世界一をかけた緊張感の中、両軍は互いの「癖」を見抜くため、事前に膨大なビデオを徹底調査。
  • パターンの特定:投手の指の配置や身体の微動作、呼吸の深さやリズムといった肉眼で辛うじて捉えられるレベルの癖を特定。
  • ポジショニング調整:その癖を現場で確実に捉えるため、コーチが「特定の角度」に立つよう配置計画を立てる。

リーグ側は、この第7戦でコーチたちがボックスを大きく逸脱して動き回ることを事前に予見。

シーズンを通じて積み重なってきた「グレーゾーンでの攻防」が、ついに制御不能(Getting out of hand)なレベルに達し、

優勝決定戦という神聖なステージを前にMLB機構も看過できない限界点を迎えたのです。

最高峰の舞台で表面化したこの情報戦を巡る確執こそが、現場の暗黙の了解をリーグ全体の厳格な義務へと変える決定的な引き金となりました。

今後の運用では、審判員は今まで以上に厳格な目でコーチの「足元」を監視するでしょう。

投手がプレートに触れている間にボックスを離れた場合、まずは警告。それでも従わない、あるいは繰り返す場合には、即座に退場という厳しい措置がとられます。

唯一の例外として認められるのは、ファウルボールを避けるなどの安全上の理由でダグアウト側やスタンド側へ退避する場合のみです。

一方で、フェアグラウンド側や本塁方向へ歩み寄る行為は、いかなる理由があろうとも一切容認されません。

具体的な事項については、以下の表にまとめました。

コーチの行動制限:許可と禁止の境界線 

項目許可される行動禁止される行動
位置の制限コーチボックスの枠内(白線の内側)に両足を置くボックスを離れ、本塁側や外野側へ移動して「のぞき窓(アングル)」を確保する
時間的な制約ボールがインプレイになる、または捕手が捕球したあと投手が投手板に触れている間から、投球が完了するまで
移動の例外自らの身を守るため、または審判の視界を確保するための移動プレイに関係なく、フェアグラウンド側やライン上を動き回る行為

MLBの情報戦:結論と展望

最新テクノロジーを使いこなすうちに、いつしか野球は「データを確認する作業」のようになりつつありました。

ルール厳格化は、

その流れをもう一度、人間の勘と技が主役の在るべき場所へ立ち返らせようとする、MLBの強い意思の表れと言えます。

従来のように「打者側だけが投手の投げたい球を知っている」という情報の偏りが解消されれば、投手は癖を盗まれる不安から解放され、打者も直感と実力で勝負に挑める。

メジャーリーグ機構は、そのような本来の力の均衡を取り戻そうとしているのです。

「さまよえる癖探し」の時代が終わりを告げた先には、

ベースコーチがどこに立つかで情報を拾うような駆け引きではなく、ルールの中でいかに鋭い観察眼を磨くか、その姿勢が問われる世界が待っているのでしょう。

そして、次に試合中継を観るとき、あるいはスタジアムへ足を運んだ際は、ぜひベースコーチの “足元” にも目を向けてみてください。

窮屈そうにボックス内に収まっているその姿こそ、野球が守り抜こうとする公平性の象徴なのですから――。

今回のルールを知ったことで、これまで見えなかったダイヤモンド上の “新たなる眼の戦い” が、きっと鮮やかに浮かび上がってくるはずです。

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