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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページ――。
MLB公式サイト(MLB.com)のシニアライター、ソンヤ・チェン氏が、2026年シーズン開幕を目前に控えたロサンゼルス・ドジャースの現状を深く掘り下げたレポートを公開しました。
前人未到の「3連覇」という歴史的偉業に挑む王者チームは、アリゾナのキャンプ地、キャメルバック・ランチでいかなる準備を整えているのか。
二塁ポジション争いや投手陣の再編、そして新システム(通称;ロボット審判)の導入まで。球団担当記者が厳選した、開幕直前の ”最重要トピック” をお届けしていきます。
注釈コーナー:野球用語・MLBルール解説
本文に入る前に、文中に出てくる専門用語等について以下に簡単にまとめました。
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| カクタス・リーグ(サボテン・リーグ) | フロリダ州の「グレープフルーツ・リーグ」と並ぶ、MLBキャンプの二大リーグの一つ。アリゾナ州で開催されるスプリングトレーニング(春季キャンプ・オープン戦)を指します。同州の乾燥した気候を生かした練習や調整が特徴です。 |
| 3A(トリプルA、AAA) | マイナーリーグの最高峰(MLB直下)のこと。メジャー(1軍)昇格を目指す選手や、調整中の選手が所属する最上位レベルの傘下リーグ。 |
| トミー・ジョン(T・J)手術 | 元ドジャースのチームドクター、フランク・ジョーブ博士が考案・執刀した、損傷肘の靱帯再建手術。復帰まで1年以上を要することが一般的です。(8割以上が元のレベルで復帰可能) |
| プラトーン・システム | 相手投手が右投げなら左打者、左投げなら右打者を起用し、統計上の有利を狙う戦術。 |
| スイングマン(Swingman) | シーズン中、先発とロングリリーフの両方を高いレベルでこなせる投手のこと。ローテの穴を埋めるスポット先発から、試合中盤の緊急登板までマルチに役割を果たす貴重な存在。 |
| ピギーバック(Piggyback) | 1試合に先発級の投手を2人つぎ込む継投策。特に球数制限がある復帰明けの投手を助ける際によく使われます。 |
| Bゲーム(B-Games) | 若手や控え中心とした、主に調整目的の非公式練習試合。 |
| ABSチャレンジシステム | 通称ロボット審判。今季からMLB正式導入のコンピュータ判定によるストライク・ボールに異議を申し立てる制度。成否が試合の流れを左右します。 |
| WBC(ワールド・ベースボール・クラシック) | 3年ごとに開催される野球の国・地域別対抗戦。世界最高峰の国際大会。 |
【2026年展望】ロサンゼルス・ドジャース:チーム分析レポート
開幕直前キャンプ総仕上げ7つのポイント
2026年のドジャースのスプリングトレーニング(春季キャンプ)は、過去2年と比較して驚くほどの静けさでした。
今シーズンのスタートは海外遠征がなく、WBCによる主力数名の離脱はあるものの、フル期間を国内で過ごせる落ち着いた環境が整っています。
大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンといった不動の核に加え、今季は新戦力のカイル・タッカーというリーグ屈指の外野手を加え、その戦力は盤石。
アリゾナでのカクタス・リーグも残りわずか7試合。本拠地ロサンゼルスへと凱旋するその前に、最強軍団が仕上げにかかる7つの重要ポイントをチェックしていきましょう。
① 二塁手ポジションのレギュラー争い

野手陣で唯一、定位置が確定していないのが二塁手です。WBC(韓国代表)から帰還したキム・ヘソンと、若手有望株のアレックス・フリーランド(球団内有望株ランキング8位)が、左打者のプラトーン枠を巡って激しい火花を散らしています。
韓国代表として出場したWBCでは12打数1安打と精彩を欠きましたが、唯一の安打が本塁打というパンチ力は見せました。キャンプ合流直後の4試合では打率.462(13打数6安打)と絶好調だっただけに、その勢いを再び取り戻し首脳陣の信頼を勝ちとれるかが焦点です。
特筆すべきは、14試合で10四球を選び抜いた驚異的な選球眼です。打率は.129(31打数4安打)と低迷していますが、出塁を重視するチーム方針において、その「見極める力」は球団フロントに強烈な印象を与えています。
デーブ・ロバーツ監督は「キムの不在中も、競争の構図に大きな変化はなかった」と明言。最終的には、卓越したコンタクト能力を持つキムか、高い出塁能力を誇るフリーランドか。相手投手との相性を見極める「プラトーン起用」を含め、開幕直前まで慎重な見極めが続きそうです。
② 先発ローテーション残り枠を巡る攻防

先発陣は、山本由伸、タイラー・グラスノー、大谷翔平、佐々木朗希の「4本柱」が軸となります。
ブレイク・スネルとギャビン・ストーンの2投手が負傷者リスト(IL)で開幕を迎えることから、ここに続く5番手・6番手の枠を誰が勝ち取るかが焦点です。
③ 本領発揮への大いなる期待

練習用グラウンド(バックフィールド)で行われた「Bゲーム」では、ホワイトソックスのマイナー打線を相手に圧倒的な投球を見せた佐々木朗希投手。しかし、その圧倒的なパフォーマンスが、まだスタジアムでの実戦(オープン戦)の結果に直結していないのが現状です。
④ ブルペンの陣容と見通し

今やドジャースの救援陣は、新加入の守護神エドウィン・ディアスを筆頭にリーグ屈指の質を誇ります。
エドウィン・ディアス、タナー・スコット、アレックス・ベシア、ブレイク・トライネン、ジャック・ドレイヤー
実力者5名が盤石な一方で、残る3つの椅子をベン・カスパリウス、エドガルド・エンリケス、カイル・ハースト、ウィル・クラインの4名が争う激戦区となっています。春季キャンプ特有の浮き沈みはあるものの、全員が首脳陣に好印象を与えています。
と、ここでチームの大きな利点となるのが、大谷翔平という唯一無二の存在です。
⑤ ABSチャレンジシステムの活用状況

今春から導入されたABS(自動ボール・ストライク判定)チャレンジシステム。
その活用においてドジャースは現在、成功率15%とメジャー「最下位」に甘んじています(現地時間3月14日時点)。しかし、この数字は決して精度の低さを意味するものではありません。
⑥ 出番を待つ次世代のバックアップ勢

開幕が近づくにつれ、スタメンには主力選手が名を連ねるようになっていますが、その裏で若手有望株たちが強烈な印象を残しています。
今春、特に球団フロントの目を引いたのが、ジェームズ・ティブス3世(球団内11位)とザック・エアハード(同18位)の2人です。昨シーズンを2Aで終えたばかりの彼らにとって、ドジャースでのキャンプは今回が初めて。開幕をメジャーで迎えることはありませんが、この春の活躍によって、外野の「デプスチャート(選手層の順位表)」における自分たちの位置を大きく引き上げることに成功しました。
主力に故障者(エドマンやキケ・ヘルナンデス)が出た際、あるいは長期戦を見据えたリスク管理において、内野全ポジションをカバーできるサンティアゴ・エスピナルのような万能選手の存在は極めて重要です。
こうした「ネクスト・マン・アップ(次なる戦力)」たちが控えていることこそが、162試合の長丁場、そしてその先のポストシーズンを勝ち抜くドジャースの真の強みと言えるでしょう。
⑦ 2026開幕投手「新エース」として立つマウンド

現地時間3月26日、ダイヤモンドバックスとの開幕戦。
ドジャースの先発マウンドに上がるのは、昨年のワールドシリーズMVP、山本由伸投手で間違いないでしょう。
2026年シーズンのオープニングデイ。アメリカ国内の本拠地マウンドに立ち、堂々たる投球で開幕を飾ることは、チームの士気を高めるだけでなく、前人未到の「3連覇」へ向けた最高のマインドセットを組織全体に根付かせることになるはずです。
