こんにちは!
ちょっかんライフです。
今回も一人暮らしの直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げてまいります。
本場メジャーリーグの魅力はやはり現地観戦に尽きる、一度でいいから球場で生の試合を観てみたい…そう感じるMLBファンは少なくないのではないでしょうか。
本記事では、大リーグ30球団の本拠地球場からおススメの人気ホームスタジアムをピックアップ。
それぞれの魅力をあらゆる角度から掘り下げ、リストにして紹介していきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
MLB ナ・リーグ本拠地球場
ドジャー・スタジアム
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開場から3年目のドジャースタジアム、超満員のスタンド。
◆ ロサンゼルス・ドジャース本拠地
1962年に着工から3年足らずで開場したドジャー・スタジアムはメジャーで3番目に古く、当初2300万ドルの費用をかけ建設。その後2024年には1億ドル(約150億円)の資金を費やし大規模改修。
56000人収容可能でナ・リーグで唯一、左右対称のアウトフィールド(外野)を持つスタジアムです。
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ワールドシリーズ第1戦に先立ちフィールドにUSA国旗が掲げられたスタジアムの様子。
◆ スタジアムの特徴
STATCAST savant
ロサンゼルスのチャヴェス渓谷(Chavez Ravine)跡に建てられたスタジアムは、LAのダウンタウンを眼下に、南に街の中心部、北東に広大なエリシアンパーク(Elysian Park)の緑豊かな自然を、外野パビリオン後方にはサンガブリエル山脈(San Gabriel Mountains)が眺望できます。
年間を通して温暖で晴天が続くことが多く、ほとんど雨の降らない南カリフォルニアの地中海性気候に属するため、ドジャー・スタジアムでの試合が雨天中止になることはめったにありません。
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ドジャースタジアムから見たロサンゼルスのスカイライン。
また、MLBデータ解析ツールSTATCAST(スタットキャスト)によりドジャー・スタジアムは、球場の特性がプレーに与える影響を表す指標「パークファクター(PF)」において、バランスの取れた球場としての再評価がなされました。
以前からあった ”狭いファウルエリアが投手有利な球場” との指摘に対し、実際に示されたデータ(2022年-2024年)を見ると、出塁率(OBP)は他と比べ低いもののホームランは22%増で最も高い。
これは打者有利で知られるクアーズ・フィールドをも上回る数値で、必ずしも投手が優位に立つ球場とは言えないようです。
オラクル・パーク
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旧名称パシフィック・ベル・パークの右翼フェンスと海の景色。
◆ サンフランシスコ・ジャイアンツ本拠地
MLB球場で初の日系企業カジマ・インターナショナルが本格参入し建設されたオラクル・パーク。2000年の3月末に開場しました。
総工費総額約3億5700万ドル(当時で約464億1000万円)は、当時の住民投票で税金投入が認められなかったことから地方自治体の援助ゼロで建てられたもの。
2020年の改修によって現在の収容人数は41331人。
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試合前のオラクル・パーク外観。当時発生した山火事の煙が街をオレンジ色に覆う。
◆ スタジアムの特徴
STATCAST savant
本塁から右翼までの距離が左翼までより9メートルも短いことから、ライト方向のフェンスを約7.6メートルの高さにしつらえた独特の造りが特徴。
また、サンフランシスコ湾に面しているため風の影響も相まって打者不利な球場とされ、前出のスタットキャストで過去データを見るとホームランはかなり抑えられている感があります。
フィールド右中間(最深部)は約126.5メートル。バッターはバリー・ボンズ並みのパワーでそれを超える距離を飛ばさないと、なかなか場外ホームランには届きません。
◆ 球場演出
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試合前に湾上ボートから放水砲が発射される催し。
ライト外野席を超えて海に飛び込む特大アーチは「スプラッシュ・ヒット(Splash Hit)」と呼ばれ、中にはこのホームランボール目当てに入り江でカヌーに乗って待ち構えるファンがいることでも有名ですね。
このスプラッシュヒットが記録されると、ライトスタンド最前列にスタジアム開場時からの合計本数が電光ディスプレイで表示されるとともに、スタンドと海の間にある噴水が吹き出るアトラクションも。
ちなみに2024シーズン、大谷翔平選手がこのオラクル・パークで凄まじいスイングスピードで放った12号ソロの飛距離はなんと446フィート(約136メートル)。スプラッシュ・ヒットにこそならなかったもののメガ級の一発でした。
PNCパーク
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PNCパーク・スタジアム競技場の全景。
◆ ピッツバーグ・パイレーツ本拠地
PNCパークは2001年3月31日に開場。
総額2億1600万ドル(当時で約259億円)のうち1億5000万ドル(同約180億円)は州や市など自治体が公金を捻出し負担。地元経済活性化の意味も込め内装や電気工事、塗装などは入札制に。さらにファンから寄付も募り、球場側舗道のレンガにネームを刻んで謝意を表しました。
鋼鉄と石灰岩で建設された天然芝の競技場は、野球観戦時には38747人を収容。
こちらは昨季6月に、大谷翔平選手が27球場目となるホームランを打った場所です。
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雨天を想定してフィールドに防水シートを敷いた後のPNCパーク広角風景。
◆ スタジアムの特徴
STATCAST savant
「アメリカで最高、メジャーリーグ球場屈指の美しさ」と誰もが口をそろえる評判のスタジアム。
球場の一番の特徴はその立地にあり、どの席からもピッツバーグのスカイラインが見渡せること。
外野後方に流れるアレゲニー川(Allegheny River)、川に架かる鮮やかな黄色のロベルト・クレメンテ橋(Roberto Clemente Bridge)、そして立ち並ぶダウンタウンの高層ビル群が一つになった光景は圧巻の一語に尽きます。
◆ 球場の魅力
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PNCパークのライトフィールド・ロタンダに集まったファンたち。
素晴らしい景観を生かすためスコアボードは左翼に設置し、照明灯も右翼側にはあえて未設置に。
外野フェンス境界線付近の観客席から、球場内をぐるりと一周できるように設計されたライトフィールド・ロタンダ(右翼席と球場周辺を結ぶ通路)では多くのファンが立ち見で観戦しています。
そんな試合を観るのに最適な球場で、前出のアレゲニー川に達する本塁打「アレゲニーヒット」も名物の一つ。開場以降そこに飛び込んだ打球は73本で、川に直接到達した打球は5本(2024/6時点)だそうです。
クアーズ・フィールド
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デーゲーム中のクアーズ・フィールド全景。
◆ コロラド・ロッキーズ本拠地
ナ・リーグではドジャー・スタジアム以来33年ぶりとなる野球専用球場で1995年4月に開場。総工費2億1500万ドルのうち地元6郡が1億6800万ドル(当時で約201億6000万円)、ロッキーズは4700万ドル(同約56億4000万円)を負担し建設されました。
デンバーは30年以上にわたってMLB球団を誘致してきた背景があり、新球団を迎えての開幕戦には当時8万人もの大観衆が詰めかけたことから、その後まもなくキャパ数を50445人に改めています。
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クアーズ・フィールド上空で花火が打ち上がる様子。
◆ スタジアムの特徴
STATCAST savant
通称「マイル・ハイ」と呼ばれ、標高1マイル(約1600メートル)地点に立地。高地ゆえに気圧が低く空気抵抗が少ないため、結果としてボールの飛距離がよく伸びることからレンジャーズの本拠地グローブライフ・フィールドと並び打者有利とされる球場。
ボールに加湿処理を施して打球が飛び過ぎないよう管理しているとはいうものの、他球場では普通にあり得る1-0スコアが同球場では26年間(2023シーズンまで)でわずか11試合のみ。
◆ 日本人選手エピソード
投手に圧倒的に不利な球場として知られるクアーズ・フィールドですが、これまでノーヒットノーランを達成した投手はとなると、1996年の野茂英雄(当時ドジャース)ただ一人といいますから、シビれるほどにカッコいい。
さらには2016年夏、当時マーリンズに在籍していたイチロー選手がMLB通算3000安打記録を樹立しレガシーを築いた地であることも、我々日本のメジャーファンにとってこのスタジアムを印象的なものにしています。
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クアーズ・フィールドのスコアボードにはイチロー選手を祝うメッセージが表示。
MLB ア・リーグ本拠地球場
フェンウェイ・パーク
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左翼席から見たフェンウェイ・パークの全景。
◆ ボストン・レッドソックス本拠地
1912年にオープンし現存するMLBの専用球場としては歴史が最も古いフェンウェイ・パークは、国定歴史建造物にも指定される由緒ある野球場。
建設費は当時のお金で65万ドル、2024年のドル換算で2120万ドル(約31億8000万円)と言われています。
収容人数は昼夜で異なり、デーゲームでは打者の視線確保のためセンター側座席がシートで覆われることから37305人。ナイトゲームでは覆いを取り外しても37755人程度の容量。
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ナイトゲーム中のフェンウェイパーク。
◆ ユニークな特徴
STATCAST savant
多くの古典的な野球場に見られるように、フィールドサイズは非対称。
本塁から左翼までが310フィート(約94.5メートル)しかなく、左中間も奥行きがないため浅い構造。
そこで簡単には本塁打が出ないよう高さ37.2フィート(約11.3メートル)の巨大フェンス、通称グリーン・モンスター(Green Monster)が設置され、1947年には外観すべてが緑色に塗りつぶされました。
ただ、本来ならフライアウトになるような打球もグリーンモンスターに当たり跳ね返ってヒットになるケースも少なくないため、右打ちのフライボールヒッターには有利との声も。
一方、右翼はフェンスが1メートル未満の低い箇所があったり、張り出した右翼線が302フィート(約92.0メートル)と狭いため、ライナー性の当たりが本塁打になりやすい。加えてファウルエリアは現在のメジャーリーグ球場の中で最も狭小なことから、全体的には打者有利の球場とされています。
◆ 球場の魅力
観客動員するのに4万のキャパシティもない上に、座席シートは小さく、スタンドの間隔も狭く、柱で視界が遮られるなど不便な点を挙げればキリがないにも関わらず、球場が持つ伝統と醸し出す雰囲気は今でも多くのファンを引きつけてやみません。
老朽化や収容規模の解消にと、これまで近代化計画が持ち上がるたびにファンの猛反発を浴びて断念。
100年以上の歴史とノスタルジー…過去から続くレッドソックスファンの熱い想いが詰まったホーム球場には他には代えがたい魅力が満ち溢れています。
【番外編】WBC2026 決勝トーナメント開催地
ローンデポ・パーク
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旧名称マーリンズ・パーク時代の外観。
最後にご紹介するのは、クラシックやレトロモダンなデザイン、鋼鉄やレンガを使用したジュエルボックス(宝石箱のような)と呼ばれる初期の球場とは一線を画した野球場。
東京ドームなどにも見られる、開閉式屋根付きネオモダン建築様式を取り入れた近代型球場、ローンデポ・パーク。
◆ マイアミ・マーリンズ本拠地
2012年にマーリンズ・パークとして開場し、2021年から現在の名称になったスタジアムです。
座席数は37442で収容人数が37000人、規模について公式ではメジャーリーグ3番目の小ささとされますが、実際はMLB全30球団で最少の容量。
総工費は6億3400万ドル、2024年のドル換算で8億6800万ドル(約1302億円)をかけて建設。
2024年シーズン、大谷翔平選手が50-50達成を含め記録づくめの活躍で、ドジャースが12年連続プレーオフ進出を決めた一夜も忘れがたい…。
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ワールドベースボールクラシック プールD試合中の風景。
国際大会のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、2013年第3回大会と2017年第4回大会の試合の一部が当球場で開催。
前回2023年第5回大会ではメイン会場となって、一次ラウンドの一部と決勝トーナメント(東京ドームでの準々決勝2試合除く)が行われました。
そして、来年のWBC2026でも決勝トーナメント開催地にローンデポ・パークが決定しています。
ということで、ここでは ”侍ジャパン” がマイアミの地で優勝を競い合うと想定して、スタジアムのフィールドサイズについて詳しく見ておこうと思います。
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2021年3月末日から命名権をローンデポに売却し現名称へ。
◆ フィールドサイズの改修と変更
STATCAST savant
現在のフィールドサイズ
① 左翼線 344 フィート (105 メートル)
② 左中間*パワーアレー 386 フィート (118 メートル)
③ センターフィールド 400 フィート (120 メートル)
④ 右中間パワーアレー 387 フィート (118 メートル)
⑤ 右翼線 335 フィート (102 メートル)
バックストップ(ファウルボール飛び出し防止用に設置。通称バックネット) 47 フィート (14.3 メートル)
*パワーアレー:本塁からフェンスまでの距離が短いエリアのこと。左右非対称な設計が多いMLBの球場の中で、特に距離が短いエリアを指して「パワーアレー」と呼んでいます。
過去の改修と変更
屋根を閉めることが多いことから芝の生育が悪くなり、2020年から人工芝へ。
フィールドの形状は守備側に有利な設計といわれ、また選手からも「長打が他球場ほど伸びず本塁打にならない」「2019年の173本塁打数がリーグワースト3と低い」といった苦情が寄せられたことから、2016年、2020年と2度にわたって改修。
現在のフィールドサイズに変更されました。
- 本塁からセンターフィールドの壁までの長さを418フィート(127メートル)から407フィート(124メートル)、さらに400フィート(122メートル)へ短縮
- 外野周囲の壁の高さを最大13フィート(4.0メートル)から6フィート(1.8メートル)に下げ、外野手が長打をジャンプキャッチできるよう改修
- ライトセンターフェンスを392フィート(119メートル)から387フィート(118メートル)へ移動
なお、左翼線と右翼線、パワーアレーの寸法は変更されず、スタットキャストで最新データ(2023-2025)を見ても、ことホームランに関しては平均値を下回っており、総じて打者不利な球場には変わりないようです。
そんなことも踏まえて2026年のWBCを大いに楽しみたいですね。