こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
ドジャース優勝ボーナスが気になる!
メジャーリーグベースボール(MLB)における優勝賞金の分配金で何より素晴らしいのが、
単に試合に出て活躍した選手が受け取るだけでなく、”選手のみ” で会議を開き、誰に、どの割合で配るかを投票で決めるという民主的なプロセスがある点です。
MLB機構は12月18日(日本時間19日)、2025年ポストシーズン全体の賞金総額(約1億2820万ドル)と共に、
ドジャースの優勝ボーナス額(1人分の賞金)を発表。
そこで今回は、
ドジャースの選手たちが2025年の優勝チーム割り当て金総額(Player’s Pool;プレイヤーズ・プール)約4615万ドル(約71.5億円)をどのように分配したのか、
その内訳と、裏方スタッフへの厚~い恩義についてまとめました。
MLBポストシーズン賞金分配の仕組み
メジャーでのシリーズ賞金は、プレーオフに進出した12チーム(AL;ア・リーグ6チーム、NL;ナ・リーグ6チーム)で、ポストシーズン全試合から得られた収益を山分けする仕組み。
MLB機構は、この全チームに対して以下の割合で総額約1億2820万ドルを分配します。

先に負けてしまったチームにも、順位に応じた賞金が配られるのね!
2025年 ポストシーズン分配金取り分ルール
| 結果 | 該当チーム数 | 分配割合(合計) |
|---|---|---|
| ワールドシリーズ優勝 | 1 | 36% |
| ワールドシリーズ敗退(準優勝) | 1 | 24% |
| リーグ優勝決定シリーズ敗退 | 2 | 12%ずつ(計24%) |
| 地区シリーズ敗退 | 4 | 3.25%ずつ(計13%) |
| ワイルドカードシリーズ敗退 | 4 | 0.75%ずつ(計3%) |
ワールドシリーズ優勝チームであるドジャースの割当金から、1人あたりの完全分配金を見ると、
2024年よりは増えましたが、それでも2022年と23年の優勝チーム額よりは低いです。
近年の優勝チームの「フル・シェア(1人あたりの満額支給額)」は、次の通り。
近年優勝チーム・分配金比較
| 年度 | 優勝チーム | チーム総額 | フル・シェア/円 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年 | ドジャース | 約4615万ドル | 48万4748ドル/約7510万円 | 1ドル=155円前後 前年より増、2022年比では低い |
| 2024年 | ドジャース | 約4647万ドル | 47万7441ドル/約7257万円 | 1ドル=152円当時の相場前後で算出 |
| 2023年 | レンジャーズ | 約3880万ドル | 50万6263ドル/約7340万円 | 1ドル=145円前後 ドルベース50万ドル突破 |
| 2022年 | アストロズ | 約3510万ドル | 51万6347ドル/約6800万円 | 1ドル=132円前後 史上最高額(円安ではなかったため円換算では25年より低い) |
なぜ2022・2023年より低かったのでしょうか?
ドジャースの観客動員数はメジャーでもトップクラスで試合収益も抜きん出ているはず、
にもかかわらず、
1人あたりの支給額が過去2チームより低くなった理由は、大きく分けて2つあります。
1.賞金プールに算入される対象試合ルール
球場の集客人数が賞金総額に影響するのは事実。
ですが、実はすべての試合のチケット代が選手に分配されるわけではないという特殊なルールが存在します。
MLB規約では、選手への配当は以下試合の売上60%(一部50%)と決まっているのです。
- ワールドシリーズ(WS): 第1戦〜第4戦まで
- リーグ優勝決定シリーズ(LCS): 第1戦〜第4戦まで
- 地区シリーズ(LDS): 第1戦〜第3戦まで
どうして全試合ではないのかというと、
もし第7戦までの全収益が対象になると、中には「もっと稼ぐため、わざと負けてシリーズを長引かせよう」という良からぬインセンティブが働く可能性もなきにしもあらず…。
そのため、シリーズが最短で終わる試合数分だけが賞金対象となりました。
2.分配人数の多さが金額を下げた
こちらがなんといっても主な要因でしょう。
ドジャースの選手たちは会議の結果、
分配人数(シェア数)を大幅に増やし、非常に多くのスタッフや関係者に報いる決断をしました。
- 2025 ドジャース:フル・シェア数 82.00件
- 2023 レンジャーズ:フル・シェア数 76.56件
- 2022 アストロズ:フル・シェア数 59.00件
彼らは、球団割当総額(約4615万ドル)ではアストロズ(約3510万ドル)を1000万ドル以上も上回っています。
しかしながら、フル・シェアを出す人数をアストロズの59件より23件も多く設定したため、1人あたりの受取額は少なくなったというわけですね。
株(シェア)の正体
MLB機構コミッショナー事務局は発表時に、
ロサンゼルスの選手たちは、82株と12.5株に投票し計94.5株相当と賞金34万ドルを分配
と、その内訳も公開。

はッ?「株」って一般企業の株式と同じ意味?
メジャーリーグ特有のプレーオフ分配金(Postseason Share)の仕組みは、日本とはまた違う独特のルールがあるため戸惑ってしまいます。
ここで言う株(shares;シェア)とは、証券取引所の株式のことではなく、ポストシーズンでの特別ボーナス(賞与)を受け取る権利、要は賞金を何等分するかという持ち分の単位のこと。
リリース内容を言い換えるなら、
ドジャースは選手会議において、フル・シェア(一人当たりの満額支給額)82人分を含む計94.5件分の配分と、34万ドルのボーナスを贈ることを全会一致で決定
賞金分配の仕組みについて、もう少し深く掘り下げます。
分配方法の3つのカテゴリー
実際に2025年ドジャースの優勝賞金に当てはめて考えると?
優勝分配金をどう分けるかは、あくまで「選手会議での投票結果」次第、
支給方法は3つのカテゴリーに分けられます。
ドジャースの分配内訳
2025年優勝チームに割り当てられた約4615万ドルは、以下のように分解されて配布されました。
| カテゴリー | 数(単位) | 選手会議の結果 |
|---|---|---|
| フル・シェア | 82株 | 82人に対し「満額」を出すと決定 |
| パーシャル・シェア | 12.5株分 | 貢献度で調整した結果、合計12.5人分がこの枠に割り当てられた |
| 合計(株) | 94.5株 | 総額からこの94.5という数字で割り算する |
| 現金支給 | 34万ドル(約5270万円) | 34万ドルを当枠にあて、感謝の意として固定の現金を贈ると決議 |
ドジャース分配金の計算ステップ
今回のドジャースの例で見ると、以下の流れでお金が動いています。
これにより、大谷翔平ら最も貢献度が高く1株=1人当たりの満額(フル・シェア)を受け取る権利があると認められた対象者は、日本円で約7500万円以上を手にしました。
12.5株分の一部支給(パーシャル・シェア)対象者は、シーズン途中に移籍した選手、在籍期間の短い若手からチームスタッフ等の裏方まで多岐にわたるため、日本円で約150万円〜3800万円程の広い範囲に及ぶ受取額になったと推測されます。
そして、株分配には預かれなかった末端の裏方スタッフや特定の業務で貢献した人々も、
選手たちが、「自分たちの取り分を少し削って裏方さん用の現金34万ドルを確保しよう」
と投票で決めてくれたことで、現金でのボーナス(1人あたり約77万円~約150万円程度)が受け取れたということになります。

仮に1人5000ドル(約78万円)なら、約68名に現金支給できた計算に!
2025年 ワールドシリーズ分配金の対比
最後に、
MLB機構の打ち出した数値(2025年12月発表)に基づき、
2025年シーズンのワールドシリーズ優勝チーム「ドジャース」と、準優勝チーム「ブルージェイズ」の分配金の対比をまとめました。
| 項目 | ドジャース(優勝) | ブルージェイズ(準優勝) |
|---|---|---|
| チームへの割当総額 | 約4615万ドル(約71.5億円) | 約3080万ドル(約47.7億円) |
| 1人あたりの満額 (フル・シェア) | 48万4748ドル(約7510万円) | 35万4118ドル (約5490万円) |
| フル・シェア(満額)人数 | 82人 | 70人 |
| パーシャル・シェア(一部) | 12.5株分 | 15.44株分 |
| 現金支給 | 34万ドル(約5270万円) | 約50万8500ドル(約7880万円) |
2つのチームの違い
賞金の「取り分」の差
MLBでは、前出の「2025年 ポストシーズン分配金取り分ルール」で示したように、
プレーオフでの収益から得た賞金プールを、順位に応じて機械的にパーセンテージ分けします。
この時点で、チームとしての持ち金に約1500万ドル、じつに日本円にして約23億2500万円もの差が出ていました。
配分スタイルの違い
1株=1人あたりのボーナス額は「チームが獲得した総額 ÷ 選手たちが決めた総株数」で決まるのでしたから、
2つのチームの配分スタイルの違いは、
まとめ:ドジャース選手会「仲間に報いる決断」
ドジャースは選手会議において、
自分たちの仲間にどう報いるか
を話し合い、優勝金配分を全会一致で決定。
その結果、1人あたりの額は2022年などの過去最高記録には届きませんでしたが、チーム全体としては非常に多くの関係者が潤う形となりました。
数字の裏側にある選手たちの粋な計らいを知ると、2025年の優勝がより一層素晴らしいものに感じられてきます。
大谷や山本由伸のようなスター選手に加え、それを支えた82人もの人々に、彼らと同じ満額でそれぞれ日本円にして7500万円ものボーナスが行き渡ったというのは、
まさに連覇を成し遂げたチームにふさわしいエピソードと言えますね。
