こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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ドジャースタジアムのホームプレート裏側からの眺め。
ドジャースタジアムに刻まれた投手有利の歴史
ドジャースタジアムは歴史的にホームランが出にくい球場として知られてきましたが、
大谷翔平選手がホームゲームでプレーするようになってからは、歴史的な飛距離記録が次々と塗り替えられています。
このスタジアムはまた、近年の改修工事でやや縮小されたものの、本塁(ホームプレート)からスタンドまでの距離、すなわちファウルグラウンドが比較的広いのが特徴。
| 投手の聖地、打者泣かせのスタジアム | |
|---|---|
| 左右両翼 | 330フィート(約101メートル) |
| センター(中堅) | 395フィート(約120メートル) |
| 深い左中間(True left-center) | 375フィート(約114.3メートル) |
| やや浅い左中間(Medium left-center) | 360フィート(約109.7メートル) |
ファウルゾーンが広いとファウルフライの捕球範囲が広がりアウトが増えます。すると打者は必然的に打率を下げ、はからずも投手の防御率に貢献する結果をもたらします。
他要素として、ロサンゼルスは昼間は乾燥して気温が高いのですが、夜間は気温が下がり空気が重くなるためナイトゲームとなると打球が伸びにくく、
また外野への飛球がスタンドに届かず風に戻されて失速するケースが多いことから、打者泣かせ・投手有利の球場として長年認識されてきました。
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WS第5戦、ドジャースタジアム外野スタンドの様子。
そんな特性をものともせず、並外れたパワーを持つ「二刀流のスーパースター」は、
チーム本拠地で450フィート(約137.16メートル)超の本塁打を ”複数” 放った唯一の打者。
ということで今回は、
2015年以降、スタットキャスト(StatCast)が計測した推定データから、ドジャースタジアムでのホームラン飛距離トップ5を紹介していきます。
それではどうぞ!
※ 日付はすべて現地時間で表示しています。
ドジャースタジアムでのホームラン飛距離トップ5
1位 スタットキャスト計測初年度で規格外の飛距離
ジャンカルロ・スタントン/マーリンズ
予想飛距離:475フィート(約144.8メートル)
打球速度:114マイル(約183キロ)
日付:2015年5月12日
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試合前の打撃練習の様子、このあと初回からブチかまします!
マーリンズ時代のスタントンがこの日、
敵地で、飛ばない球場で、試合開始直後の初回に放った先制弾は、相手に与える心理的インパクト&破壊力がケタ違いの一発。
MLB公式はすぐさま、推定飛距離475フィート、打球速度114マイルと発表。
スタットキャストが導入されたこの年は、まだ計測データが少ない時期でしたが、それでも突出した最長クラスの飛距離として記録されています。
また多くのメディアが、この本塁打は左翼席の上を越えスタジアムの遥か場外に消えたと描写し、「左翼手は一歩も動かず、振り向きもせず、ただ見送った」と強調。
ABC Newsは レフトを守っていたバン・スライク本人談として、
どこに行けってんだよ、捕れるわけないっしょ?“Where was I going to go, try and catch it?”
と完全に諦めの境地で、むしろユーモアすら感じさせる名言を紹介。
スタントンはもともと球界屈指のバッターですが、この打球はその中でも特に、角度・速度・方向すべてが一瞬のうちに完璧に噛み合った凄まじい一撃でした。
2位 美しいムーンショットは常識外れの地点に着弾
大谷翔平/ドジャース
予想飛距離:473フィート(約144.2メートル)
打球速度:116.7マイル(約188キロ)
日付:2024年7月21日
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レッドソックス戦の5回表に衝撃の473フィート本塁打。
ドジャーブルーのユニフォームに袖を通してから4ヵ月目、大谷翔平の描く美しい特大アーチは、
スタットキャストによれば、ドジャースタジアムで放たれたホームランとして歴代最長まであとわずか2フィート(約61センチ!)という規格外の飛距離。
MLB.comの記事では、
大谷の473フィートのムーンショットは、誰も到達しない領域に着弾した(Ohtani’s 473-foot moonshot lands ‘where people don’t go’)
と報じ、通常ではあり得ない場所に打球が届いたことをクローズアップ。
「彼は本当にいつも驚かせてくれる、あんな打球を人間が打てるなんて想像しがたい。“He just never ceases to amaze.it’s just hard to fathom someone hitting a baseball like that.”」とロバーツ監督のコメントを紹介。
他にも、ギャビン・ラックスの「スタジアムを飛び出すんじゃないかと思った。“It looked like it was going to go out of the stadium.”」
オースティン・バーンズの「次元が違った。“but that was on another level.”」
など、当時のチームメイトたちの発言を引用しながら皆が驚愕している様子を伝えました。
473フィート弾はなんと観客席2セクションを完全に越え、さらにその奥のセンターフィールド・プラザ通路にまで到達。
ファンからは、パビリオン(観客席)屋根と広告看板の間を抜けていったという目撃証言も。
チーム加入100試合で節目の30号、左打者として歴代級の飛距離、この時点で大谷はシーズン450フィート(約137.16m)以上の本塁打をメジャー最多となる7本も量産…。
彼の超長距離打が、記録に収まり切れない異常なまでのパフォーマンスであることを改めて実証する形となりました。
3位 史上最高のポストシーズンパフォーマンス
大谷翔平/ドジャース
予想飛距離:469フィート(約143.0メートル)
打球速度: 116.9マイル(約188.1キロ)
日付:2025年10月17日
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NLCSでの大事な一戦、3本塁打のうち2本目は4回裏に飛び出した。
ナ・リーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)第4戦。
大谷は、その約1週間前にカイル・シュワーバーが放った455フィート(約138.7メートル)を超えるホームラン(この試合2本目)を記録。
打球の軌道はライトパビリオン(右翼フェンス後方の観客席エリア)の屋根を越え、カメラが追い切れない最深部へと飛び込み、ファンもブルペンもベンチの反応も、…もはや事件級。
「ただ口をぽかんと開けたまま、」と球団運営部長のアンドリュー・フリードマン氏は絶句、
「目を見開き、呆然と口を開けていた。ただただ圧倒され、衝撃を受けていました。“Just mouth agape, Eyes wide, mouth agape. Just in awe, shock.”」とほとんど話すことができない状態。
スタットキャストが伝えるところでは、飛距離450フィート超は年間でも数えるほどで、
打球の速さから見ると、469フィート級特大弾が生まれる際のスピードは約113〜118マイルのゾーンに集中しており、これはMLB全打球のわずか0.5〜1%にしか存在しないらしい。
つまり、大谷の116.9マイルというのは全リーグ上位1%未満の超エリート領域に入っており、最高レベルの打球速度だったことがデータからも読み取れます。
リーグ優勝を懸けた大事な試合で、最終的に3本塁打+6回無失点10奪三振の歴史的パフォーマンスをやってのけた大谷翔平、
まさに、”見たことのないことをさらに上書きしてくる別格の存在” として進化し続けています。
4位 場外へと弾き出した圧倒的打球
フェルナンド・タティスJr./パドレス
予想飛距離:467フィート(約142.3メートル)
打球速度:116.6マイル(約187.6キロ)
日付:2021年9月30日
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5回裏に2ランホームランを放つタティス・ジュニア。
当時、弱冠22歳のタティスは同地区ライバルとの直接対決でエキサイティングな瞬間を演出。
トニー・ゴンソリン(現FA)が放ったスライダーを捉えると、打球は左翼席パビリオンの屋根上部に当たり、そのまま球場外のコンコース(通路)まで弾み出たことで大きな話題となりました。
「彼がとんでもない一発を打つのは見慣れてるけど、あれは別格。“We’ve seen him hit some bombs, but that one was different.”」と、チームメイトのマニー・マチャドは発言。
「止まる気配なく飛び続けたんだから。“That ball just kept going.”」
長打力に加えて打球速度も、その段階では彼のキャリアで最も速い約187.6キロをマーク(高速道路の法定最高速度100キロの倍近くの速さで硬球がバットから弾き出されるイメージ!)。
このホームランは、スタジアムの構造物に当てながらも場外へ弾き出し、ボールがエネルギーを失うことなく最速で飛び続けたという点で超ハイレベルな凄さを物語っています。
「彼は特別な才能を持っている。“He’s got special talent.”」当時のパドレス監督ジェイス・ティングラー氏は語りました。
あのスイングは誰もが息を呑んで見入ってしまうような特別な瞬間だった。“That was one of those swings where everyone just stops and watches.”
5位 メジャー復活を告げる特大飛距離
マックス・マンシー/ドジャース
予想飛距離:466フィート(約142.0メートル)
打球速度:112.9マイル(約181.7キロ)
日付:2018年8月22日
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戦力外通告、マイナーでの苦闘の時期を乗り越えメジャーに昇格した頃。
マンシーは、前出のNLCSでの大谷の469フィート弾について複数のメディアにコメント、
「あんなに遠くまで飛んだ打球は見たことがない。もう…すごいとしか言いようがない。今日そのパフォーマンスをフィールドで目撃できて本当に光栄だよ。“That’s the farthest ball I’ve ever seen hit. Just …wow. I just feel truly blessed to be on the field for that performance today.”」
手放しでチームメイトを称賛した彼ですが、その7年前には自身も歴史に残る本塁打を放っています。
ーー2017年、アスレチックスから戦力外(DFA)となったマンシーは、彼の秘めた打撃力に注目したドジャースと ”マイナーリーグ契約” でスタート。
傘下のトリプルAで調整を続け、2018年4月中旬になってようやくアクティブ・ロースター(メジャー登録枠)入りを果たしました。
なのでこの頃はまだメジャーに復帰したばかりで、スラッガーとしての実力が試されていた時期。
ドジャースタジアムの比較的均整の取れたフィールド形状を見ても、この球場で450フィートを超える打球はめったに出ません。
そのような環境下で放たれた復活を告げる特大弾は、
彼の驚異的なパワーとシーズンの躍進を象徴するホームランとして、また、後にドジャースでも有数の長距離砲の一人として認められる転機ともなった一打でした。
今回は5位までしか取り上げませんでしたが、次の6位、7位とも大谷翔平がランクイン。
6位 大谷翔平
予想飛距離:465フィート(約141.7メートル)
日付:2025年6月16日
7位 大谷翔平
予想飛距離:464フィート(約141.0メートル)
日付:2024年5月5日
同選手はドジャースに入団した2024年以降も次々と長距離弾を放っており、今後もこのランキングが次々と塗り替えられる可能性が高そうです。
