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ちょっかんライフです。
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MLBの未来予想図┃シーズン短縮?154試合制と新構造改革とは?

1シーズン162試合という過密日程を戦い抜くメジャーリーグ(MLB)。ファンにとっては日々の楽しみである一方、選手たちのコンディション維持やスケジュールの過密化は長年議論されてきました。
そうした中、MLB機構が労使交渉の中で提示したのが、「レギュラーシーズンの試合数を減らし、より価値の高いエンターテインメントを生み出す」という抜本的な構造改革案です。
単なる試合数の削減にとどまらないこの構想について、MLB.comのデータ分析家であり『ビッグデータ・ベースボール』の著者でもあるトラビス・ソーチック氏の解説をもとに、その具体的な仕組みと狙いを読み解いていきます。
ポストシーズンに新たなドラマを生む「対戦相手の選択制」
今回の改革案の中で、最もファンの関心を惹きつけているのがポストシーズン(プレーオフ)における「対戦相手の選択制」。
従来のように勝率やシード順によって機械的に決定していた対戦カードを、上位シードを獲得したチームが自ら指名できる仕組みへと変更しようとしています。
具体的なルール案は以下の通り。
- ワイルドカード・ラウンド: 各リーグの第3シードが、対戦相手として第5シードか第6シードのどちらかを選択。
- 地区シリーズ(ディビジョンシリーズ): ワイルドカードを勝ち上がったチームに対し、第1シードのチームが対戦相手を自ら指名。
例えばこんなイメージです。
第1次指名は?… 地区優勝チームなどが、ワイルドカード戦の相手を「5位と6位、どっちと戦うか」自分たちで選ぶ。
第2次指名は?… ワイルドカードを勝ち上がってきたチームの中から、最上位チームが「我々の次の相手は○○だ!」と指名する。
もしこの ”指名劇” がテレビで生中継されれば、全米大学バスケットボール(マーチマッドネス)の組み合わせ発表のような一大イベントになります。
指名されたチームは「格下と見なされた」と反骨心を燃やし、指名したチームは「自分たちで選んだ以上は負けられない」という重圧を背負う――。この心理戦が長年のライバル関係を一層刺激し、極上のドラマを生み出す狙いです。
さらに、「上位シードを得られれば自分たちに有利な相手を選べる」という明確な強みが生まれるため、レギュラーシーズン最終盤の順位争いも一層緊迫したものになるはず…。
”上の順位にいって、得意な相手を選ぶ” という大きなメリットにより、シーズン最後までバチバチの上位争いが続くことになるでしょう。
なぜ今「162試合→154試合」への短縮なのか?
今回の改革案の核となるのが、レギュラーシーズンを現在の162試合から「154試合」へと削減する提案です。実は154試合というのは、1904年から1960年まで採用されていた懐かしの伝統スタイル。実現すればじつに60年ぶりの大転換となります。
近年、MLBと選手会はプレーオフの出場枠を広げ、トーナメント期間を延ばしてきました。しかし、レギュラーシーズンの日程は拡張されたポストシーズンに合わせて再設計されていなかったため、日程の圧迫が限界に達していたのです。
要は、今のスケジュールがあまりにもキツすぎる、ということ。
そこで、レギュラーシーズンを8試合削ることで日程にゆとりを生み出し、1試合ごとの「質と価値」を高めようとする動きが活発化したわけです。この154試合制は、放映権の契約更新に合わせた2029年シーズンからのスタートを目指しています。
選手とファンの双方にもたらされるメリット
試合数の短縮は、現場のチーム運用やファンの観戦体験にも大きな好影響をもたらします。
これまでは「移動日なしで連戦」なんて当たり前でしたが、改定後は毎週月曜日がほぼ全チームお休み。
しっかり休めることで、ケガが減り、選手のパフォーマンス向上が期待できるだけでなく、ロースター(ベンチ入り枠)の運用も安定します。
データによると、休養日が増えると「マイナー降格とメジャー昇格を行ったり来たりさせられる選手」が約24%も減少するのだそうです。
激しい入れ替えが抑えられることでチーム戦力が安定し、ファンにとっても馴染みの主力選手たちのプレーを安心して楽しめるようになるわけです。
全チームが一斉休養となる月曜日に、あえて1〜2試合の全国独占放送枠(スポットライト・ゲーム)を設定。
これは、全チームがお休みの中で特別試合だけ『全国独占放送』する枠を設けるというもの。
「月曜の夜はこの試合をみんなで見よう!」というイベント感が生まれ、野球ファン全体の注目が一気に集まります。
つまり、ファンが特定の注目カードに集中的に熱狂できる環境を作るのです。
これまでのプレーオフは、同じ日に何試合も重なり「どれを見ればいい!?」状態になることがありました。
ポストシーズンの日程に余裕ができれば、同日に4試合が重なって観戦しきれなくなる事態を回避し、1試合ずつじっくりと観戦できるよう配慮されます。
試合を減らしても、ビジネスとして成り立つワケ
もちろん「試合数が減ったら、チケット収入や地元のテレビ放送収入が減ってしまうのでは?」という心配もあります。
が、MLBの狙いは「量から質へのシフト」です。
ここ20年ほど、MLBの収益の伸びは、アメリカで大人気のNFL(アメフト)やNBA(バスケ)に後れをとっていました。
「162試合という大量の試合を地域市場で切り売りする」ビジネスから、「全米が注目するプレミアムな対戦を作り出し、放映権料をドカンと稼ぐ」ビジネスへと生まれ変わろうとしているのです。
また、スケジュールに余裕ができることで、ポストシーズンではエース級投手にイニングを集中させることが可能となり、どんどん投入できるようになります。
ファンが最も観たい、心身ともに完璧な状態での「スター選手対スター選手」の真剣勝負。最高の舞台での最高の対決が実現できることも、コンテンツ価値の最大化に直結するでしょう。
野球の未来はもっとドラマチックに
試合数を削ることは、一見するとマイナスに思えるかもしれません。ゲーム数を減らすことは表面的には規模の縮小にも感じます。
けれども、その本質と、この先にあるのは「無理のない日程で選手がベストを尽くし、ファンが最高に熱狂できる環境を整えること」です。
あえて試合の数を凝縮することで、もっと面白いベースボールを生み出す――。
メジャーリーグは今、これまでにないファンを沸かせる一大イベントへと進化を遂げようとしているのかもしれません。
「量より質」への転換を果たしたMLBが、2029年にどのような新しいエンターテインメントを見せてくれるのか、今後の労使交渉の行方を共に見守っていきたいですね。

