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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
2026年BBWAA殿堂入り投票の候補者が公開
アメリカのニューヨーク州クーパーズタウンにある野球殿堂は、メジャーリーグなどで顕著な活躍をし、野球の発展に貢献したレジェンドたちを称える場所。
彼らは、全米野球記者協会(BBWAA)の投票もしくは時代委員会 (Era Committee)によって選出され、「野球の聖地」で永遠にその名を刻み続けます。
そして11月17日(日本時間18日)、2026年度BBWAAによる殿堂入り投票の候補者が発表されました。
ということで今回は、その選考にまつわるプロセスやスケジュール、対象選手情報について紹介していきます。
それではどうぞ。
栄誉あるアメリカ野球殿堂(Hall of Fame)入り
Embed from Getty Images 2000年
クーパーズタウンの野球殿堂で野球界のレジェンドたちの銘板を眺めるファンたち。
アメリカ合衆国の野球界において殿堂入りとなった表彰者は、野球殿堂博物館のギャラリーにレリーフが飾られます。
1936年~2025年現在までに、プレーヤー部門からは(特別選出を除く記者投票135人、時代委員会138人)273人がその栄誉を授与されました。
スローガンは、
ーー歴史を伝え、偉業を称え、世代を繋ぐーーPreserving History, Honoring Excellence, Connecting Generations
MLB殿堂入り選考方法と対象選手条件
BBWAA投票
BBWAA投票資格を与えられる記者と投票手順は?
MLBでBBWAA(全米野球記者協会)投票資格を持つのは、少なくとも10年以上連続して野球記者として活動しているBBWAAの正会員および名誉会員です。
以下に詳しく説明します。
実際の投票者数ですが、2025年度の殿堂入りに際してはBBWAAの会員394人が行いました。
なお、MLB殿堂入り投票で最終投票に進む選手(投票用紙に掲載される候補者)を決めるのは、BBWAAが任命した6名の選考委員会メンバーです。
つまり、新たな殿堂入り候補者は、6人のうち2人によって指名されれば投票用紙に載ることが可能となるわけです。
こうしてBBWAA投票権を持つ記者らは、郵送された投票用紙に候補者最大10人までの名前を書いて署名し、12月31日までに返送。
2026年度BBWAA投票結果は、1月20日(日本時間21日午前)にMLBネットワークにて発表されます。
BBWAA投票対象となる選手の条件とは?
MLBでBBWAAから殿堂入り投票の対象となる選手の条件は、以下の3つが基本です。
- MLBで10シーズン以上プレーしていること
- 現役引退から5年数以上が経過していること
- 引退から15年以内であること(それ以降は対象外)
詳細をまとめると、
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| プレー年数 | MLBで10シーズン以上プレーしていることが必須 |
| 引退からの期間 | 引退後5年以上経過している必要がある |
| 投票対象期間 | 引退後15年以内(以前の10年から規定改正) |
| 特例(殿堂入りした例外3件あり) | 引退後5年未満でも選考対象となることがある ・ルー・ゲーリッグ(ALS発症による引退後) ・ロベルト・クレメンテ(航空事故による急逝後) ・アディ・ジョス(結核性髄膜炎による急逝後) |
対象選手が殿堂入り、または投票候補に残るための基準はありますか?
MLB殿堂入りのBBWAA投票において、選手が殿堂入りするために、
あるいは翌年以降も投票用紙に名を連ねるには、以下のような得票数や率の基準があります。
- 総投票数:385票
- 殿堂入りに必要な票数:289票以上
- 投票用紙から除外されるライン:20票未満
上記の通り、投票率75%以上を獲得した選手は正式にクーパーズタウンの仲間入りを果たします。
2025年には、394票中296票以上が必要だったことになり、
イチロー(99.75%;393/394票)、C.C.サバシア(86.80%;342票)、ビリー・ワグナー(82.5%;325票)が基準を上回る得票率で選出されました。

イチロー氏の394票中393票はやはりスゴイね!
Embed from Getty Images 2025年
野球殿堂入り式典で、左から、イチロー、CCサバシア、ビリー・ワグナー。
翻って、翌年も投票用紙に残るためには少なくとも5%の票獲得は必須であって、仮に5%未満ならBBWAAによる殿堂入り候補からは除外されてしまうということ。
このように、MLB殿堂入り投票は得票率によって明確に線引きされており、記者たちの評価が選手の ”米野球史における永遠の地位” を決定づける重要プロセスとなっているのです。
MLB殿堂入り候補者リストとその他の選考
2026年初選出12人のリスト
mlb
前回からの持越し継続候補者15人にプラスされた12人の初回候補者(名前をゴールド枠で囲った者)。
2026年のBBWAA殿堂入り投票シートに掲載された候補者は?
2026年のBBWAA殿堂入り投票シートには、前年からの再候補者15名と新規候補者12名の計27名が掲載されています。
Baseball Referenceによる、通算勝利数(WAR)の降順でリストアップした新しいメンバーがこちら。
| 新規候補12名(2026初年度) |
|---|
| ・コール・ハメルズ(59.0 WAR) |
| ・ライアン・ブラウン(47.2 WAR) |
| ・アレックス・ゴードン(34.9 WAR) |
| ・チュ・シンス(秋信守)(WAR34.7) |
| ・エドウィン・エンカーナシオン(35.3 WAR) |
| ・ハウイー・ケンドリック(35.0 WAR) |
| ・ニック・マーカキス(33.7 WAR) |
| ・ハンター・ペンス(WAR30.9) |
| ・ジオ・ゴンザレス(28.3 WAR) |
| ・マット・ケンプ(WAR 21.6) |
| ・ダニエル・マーフィー(20.8 WAR) |
| ・リック・ポーセロ(18.8 WAR) |
左腕コール・ハメルズ(現在41歳)は新規候補の中で最も注目される存在ですが、将来的な選出の可能性は十分あるものの初年度は厳しいとの見方が主流。
彼の場合、得票率5%以上を確保して次年度候補として残るかが焦点となりそうです。
Embed from Getty Images 2008年
フィリーズ時代、24歳でワールドシリーズMVPを獲得したコール・ハメルズ。
一方、前年からの継続候補者15名のうち、2026年選出の可能性が最も高い選手はというと、
カルロス・ベルトランとアンドリュー・ジョーンズの二人。
評価ポイントとしては、攻守走の三拍子が揃った外野手として、殿堂入りにふさわしいバランス型スター。2026年は「スピーチの準備を始めてもいい」とまで報じられています。
Embed from Getty Images 2006年
プエルトリコ出身のベルトランはメッツ時代に自己最多41本塁打を記録。
次のアンドリュー・ジョーンズ(現在48歳)ですが、こちらは9年目の候補。NPBの楽天にも所属経験があり、守備力では歴代屈指のセンターと謳われた選手。
評価ポイントでは、2025年の得票率が66.2%で前年61.6%(約8.8%)から上昇傾向にあり、
残り2年となった有資格期間内での殿堂入りが現実味を帯びてきました。
Embed from Getty Images 2005年
ブレーブス時代、ジョーンズはナ・リーグ最多51本塁打、128打点をマーク。
またそれとは別に、再候補リストでも広く名の知れたAロッドことアレックス・ロドリゲスとマニー・ラミレスはどうでしょうか。

記者やファンの評価を大きく左右しているのが「クリーン」であることか!
ともに圧倒的実績を持ち、成績だけなら即殿堂入りクラスですが、薬物スキャンダルの影響で投票者の支持を得られず例年得票率は伸び悩んでいるようです。
アレックス・ロドリゲス(Aロッド)の評価
実績は申し分なく、696本塁打(歴代5位)、3115安打、MVP3回、オールスター14回
・得票率:2024年34.8%、2025年微上昇37.1%(146票)ながら殿堂入りラインには遠い
・課題:薬物規定違反による出場停止処分の過去が投票者の支持を大きく妨げている
・残り期間:投票資格5年目でまだ猶予はあり、今後得票率が上昇すれば可能性はある
マニー・ラミレスの評価
こちらも実績は文句なしで、555本塁打、オールスター12回、シルバースラッガー賞9回
・得票率:2025年34.3%(135票)、26年も同水準との予測
・課題:過去に薬物違反で出場停止処分を受けており投票者からの評価は厳しい
・残り期間:有資格最終10年目で2026年がラストチャンス
時代委員会投票
MLBの時代委員会とは何ですか?
以前はベテラン委員会と呼ばれていた時代委員会(Era Committee)は、
BBWAAの投票資格を失った選手や、その対象外の人物(監督、審判、球団幹部なども含む)を再評価し、殿堂入りの可否を審査する特別選考機関です。
2016年、従来の委員会から名称変更し年代別に委員会を分ける制度へと改められたことで、選考の透明性・公平性・時代性が大きく改善されました。
現在の*各委員会の構成は次の通り。
| 委員会名 | 対象 | 投票頻度 |
|---|---|---|
| 現代野球時代選手委員会 | 1980年以降に活躍した選手 | 3年ごと(2026年) |
| 現代野球時代非選手委員会 | 1980年以降の監督・審判・幹部 | 3年ごと(2027年) |
| クラシック野球時代委員会 | 1980年以前の人物(選手含む) | 3年ごと(2028年) |
この時代委員会は3年周期で交代し、毎年持ち回りで1つの委員会から殿堂入り候補者投票が行われます。
現代野球時代選手委員会で殿堂入りした選手には誰がいますか?
アラン・トランメル(タイガース一筋)
1958年2月21日生まれ(現在67歳)
Embed from Getty Images 1985年
トランメル氏は2025年現在もタイガースの育成アドバイザー兼特別指導者として活動。
| 殿堂入り年 | 主な実績 |
|---|---|
| 2018年 | 通算:2365安打、打率.285、185本塁打、1003打点、オールスター6回、ゴールドグラブ4回、シルバースラッガー3回、1984年ワールドシリーズMVP |
フレッド・マグリフ(6球団で活躍)
1963年10月31日生まれ(現在62歳)
Embed from Getty Images 1991年
パドレス時代28歳の頃、35本塁打を記録しナ・リーグ本塁打王タイトルを獲得。
| 殿堂入り年 | 主な実績 |
|---|---|
| 2023年 | 通算:493本塁打、打率.509、打点1550、1995年ワールドシリーズ優勝(ブレーブス)、オールスター5回、シルバースラッガー賞3回 |
2026年の時代委員会投票シートには誰が載っていますか?
今年のアメリカ野球殿堂・時代委員会投票シートには、以下8名が候補者として掲載されました。
2026年 時代委員会(現代野球時代選手部門)候補者リスト
| 候補者名 | 主な実績・特記事項 |
|---|---|
| ・バリー・ボンズ | 通算762本塁打、MVP7回。薬物疑惑でBBWAA落選 |
| ・ロジャー・クレメンス | 通算354勝、サイ・ヤング賞7回。薬物疑惑あり |
| ・カルロス・デルガード | 通算473本塁打。ブルージェイズの主砲 |
| ・ジェフ・ケント | 歴代最多二塁手通算377本塁打。2000年MVP |
| ・ドン・マッティングリー | 通算打率.307。1985年MVP。ヤンキース主将 |
| ・デール・マーフィー | MVP2回。通算398本塁打。人格者としても高評価 |
| ・ゲイリー・シェフィールド | 通算509本塁打。打撃タイトル多数。薬物疑惑あり |
| ・フェルナンド・バレンズエラ | 81年新人王&サイ・ヤング賞同時受賞。通算173勝 |
上記に示すように、投票対象は現代野球時代選手部門(Contemporary Baseball Era Players Committee)で、1980年以降に活躍した選手が対象。
今後の注目点として、ボンズやクレメンスはBBWAAでの10年連続落選を経て、今まさに再評価の機会を得たところ。
時代委員会は薬物使用歴に対し比較的寛容な傾向も見られることから、選出への注目度は高いようです。
時代委員会の投票手順はどのように定められていますか?
2026年現代野球時代選手委員会の結果は、2025年12月7日午後7時30分(日本時間12月8日午前9時30分)にMLB Network(MLBネットワーク)の特別番組内でライブ発表されます。
