こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
メジャーリーグベースボール(MLB)の2025年ワールドシリーズ(WS)は、象徴的な一枚の写真で幕を閉じました。
そこには、第7戦で延長戦を制した山本由伸がドジャースのチームメイトに取り囲まれ、その真ん中でもみくちゃにされながら雄たけびを上げているシーンが切り取られています。
そんな中、米スポーツ専門メディア ESPNは11月6日(日本時間7日)、過去のプレーオフでのベスト・パフォーマンスをランキング形式で紹介。
今回はその中から、トップ打者と投手、記憶に残る試合、最高の個人プレーをピックアップ。
以下は、1995年以降30年間のポストシーズンにおけるベスト選手&パフォーマンスの数々です。
MLBプレーオフ ベスト・ランキング ~打者編~
記事内で用いる略称は以下の通りです。
| 略称 | シリーズ名称 | アメリカンリーグ | ナショナルリーグ |
|---|---|---|---|
| WC | ワイルドカードシリーズ(PS第1ラウンド) | ALWC | NLWC |
| DS | ディビジョンシリーズ(地区シリーズ) | ALDS | NLDS |
| CS | チャンピオンシップシリーズ (リーグ優勝決定戦) | ALCS | NLCS |
| WS | ワールドシリーズ | WS | WS |
【Postseason Batting】トップ5
1位 デビッド・フリーズ(当時28歳)
セントルイス・カージナルス時代
2011年ポストシーズン(NLDS、NLCS、WS)
NLCS MVP、WS MVP選出
打率.397、出塁率.465、長打率.794、5本塁打、21打点

各「率」の計算は、合計値を試合数で割るんじゃないんだっ?!
フリーズは2023年にファン投票でカージナルスでの偉業が認められ、球団殿堂入りを打診されたにもかかわらず、
謝意を表しつつも「カージナルス在籍時の自分を振り返ると、称賛が重くのしかかっている」とし、「その栄誉に値しない」と辞退。
しかし、ポストシーズンでファンを魅了した素晴らしいプレーは今も色褪せることはありません。
Embed from Getty Images 2011年
WS第6戦11回裏にサヨナラソロホームラン。
2011年ワールドシリーズ第6戦、9回2アウトから2点タイムリーヒットを放ち試合を延長戦に持ち込むと、さらに11回にはサヨナラホームランでカージナルス勝利に貢献。
またプレーオフ3シリーズで新記録となる21打点を記録するなど、同じ年にリーグチャンピオンシップシリーズとワールドシリーズMVPに選ばれたわずか9人のうちの一人なのです。
2位 バリー・ボンズ(当時37歳)
サンフランシスコ・ジャイアンツ時代
2002年ポストシーズン(NLDS、NLCS、WS)
打率.356、出塁率.581、長打率.978、8本塁打、16打点
ボンズはキャリアを通じワールドシリーズ優勝経験が一度もなく、またプレーオフでは強打者ゆえになかなか本領を発揮できなかったことでも有名。
忘れがたいのが2002年のポストシーズン、
3シリーズ(NLDS、NLCS、WS)合計フォアボール数が、驚異の27四球(うち故意or敬遠13)に及び、
迎えた最終決戦ワールドシリーズでは13四球(うち敬遠7)と、またもや勝負を避けられながらも、終わってみれば7試合で計4本のホームランを記録。
中でも圧巻だったのが第2戦の9回表エンゼルスのトロイ・パーシバルから放った一発で、推定飛距離は485フィート(約147.8メートル)。
ワールドシリーズ史上最長クラスの度肝を抜くような特大弾でした。
3位 デビッド・オルティス(当時28歳)
ボストン・レッドソックス時代
2004年ポストシーズン(ALDS、ALCS、WS)
ALCS MVP選出
打率.400、出塁率.515、長打率.764、5本塁打、19打点
2004年のオルティスは、ア・リーグディビジョンシリーズ(ALDS)第3戦10回に決勝本塁打。
ヤンキースとのリーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)では、追い詰められた第4戦12回にサヨナラホームランを放ち、
第5戦では劣勢状況から逆転本塁打と、延長14回にサヨナラヒットを決めるなど、まさに英雄的な勝負強さを発揮。
そしてワールドシリーズでは、第1戦の初回裏に1号3ランで3点を先制。
レッドソックスはそのまま4勝0敗、今シリーズでチームはついに “バンビーノの呪い” を解き、86年ぶりの優勝を成し遂げました。
バンビーノの呪い(The Curse of the Bambino)
レッドソックスは全球団最多の5度の優勝を誇る強豪だったが、1919年シーズン終了後に主力選手の “バンビーノ” ことベーブ・ルースをヤンキースへトレード放出。以来、レッドソックスが優勝から見放されているのはルース放出時に呪いがかけられたからだ、とする都市伝説 “バンビーノの呪い” がファンの間で広まっていった。
4位 ランディ・アロザレーナ(当時25歳)
タンパベイ・レイズ時代
2020年ポストシーズン(ALWC、ALDS、ALCS、WS)
ALCS MVP選出
打率.377、出塁率.442、長打率.831、10本塁打、14打点
19歳で父親を亡くし、翌年キューバから夜のカリブ海を小さなボートで8時間かけてメキシコへ渡り亡命したアロザレーナ。

だからWBCではメキシコ代表として出場したんだね!
メキシコリーグからカージナルスのマイナーリーグを経てMLBレイズに移籍した2020年、25歳でポストシーズン20試合に先発で起用。
4シリーズを戦い、ALWC第2戦で3安打、ヤンキースとのALDSでは8安打、3本塁打、打率.421でシリーズ突破に大きく貢献することに。
リーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)では第7戦の先制打を含む4本のホームランを放ち、PSの本塁打数新人記録を更新、新人野手では史上初となるシリーズMVPを獲得。
ドジャースとのワールドシリーズ(WS)でも3ホーマーを打って、ボンズ他2名が記録した8本を抜き、ワンポストシーズン最多となる10本塁打記録を樹立しました。
5位 カルロス・ベルトラン(当時27歳)
ヒューストン・アストロズ時代
2004年ポストシーズン(NLDS、NLCS)
打率.435、出塁率.536、長打率1.022、8本塁打、14打点
ナショナルリーグ所属時代のアストロズにとって、ポストシーズン進出へのキーマンとなったのがベルトラン。
ロイヤルズから移籍した2004年に見せた彼の活躍も見逃せません。
ディビジョンシリーズ(NLDS)5試合で4本塁打、リーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)では第1戦目の1号2ランから連続4本塁打のMLB記録を打ち立てます。
ポストシーズン(PS)12試合を通して計8本塁打は02年のバリー・ボンズに並び、21得点(NLDS9、NLCS12)はPS最多タイ。
ほかにも6盗塁(NLDS2、NLCS4)を決め、そして守備のセンターでは数々の華々しいプレーを披露しました。
MLBプレーオフ ベスト・ランキング ~投手編~
【Postseason Pitching】トップ5
1位 マディソン・バンガーナー(当時24歳)
サンフランシスコ・ジャイアンツ時代
2014年ポストシーズン(NLWC、NLDS、NLCS、WS)
NLCS MVP、WS MVP選出
4勝1敗、防御率1.03、52⅔(52.2)イニング、28安打、45奪三振

投手の「防御率」はどうやって計算するんだっけ!
- 防御率の計算では、投球回数の端数(1/3回や2/3回)を正確に算出するため、小数点以下を.3333…や.6667…といった形で処理する必要があります。
- 野球統計データなどでは投球数52回と2/3の場合、スタッツは「52.2」、52回と1/3なら「52.1」と表記されます。
- このとき、そのまま「 」内の数字を計算式に当てはめるわけではないことに注意。
- スタッツ表記「52.2」は『52.6667』にして、「52.1」は『52.3333』で計算します。
- 防御率は小数点以下第3位まで求めて四捨五入し、小数点以下第2位までを表示します。
バンガーナーはワイルドカードゲームに起用され、ポストシーズンでは自身初の完封勝利、ワールドシリーズ(WS)第1戦では先発登板して1失点に抑え、第5戦でもシャットアウト、最終第7戦では5回からリリーフ登板し、無失点セーブで試合を締めくくりました。
2位 山本由伸(当時27歳)
ロサンゼルス・ドジャース
2025年ポストシーズン(NLWC、NLDS、NLCS、WS)
WS MVP選出
5勝1敗、防御率1.45、37⅓(37.1)イニング、23安打、33奪三振
山本はバンガーナーほどのイニングは投げなかったものの、01年以降初となるポストシーズンで2試合連続完投を達成した投手となり、ワールドシリーズ第6戦と第7戦の両試合に勝利。前夜に6.0イニング96球を投げたあと、想像を絶する極めて緊迫した場面で8アウトを奪ってみせました。
Embed from Getty Images 2025年
筋トレよりも体幹バランスを重視したトレーニング法にも注目が集まる。
3位 カート・シリング(当時34歳)
アリゾナ・ダイヤモンドバックス時代
2001年ポストシーズン(NLDS、NLCS、WS)
WS MVP選出
4勝0敗、防御率1.12、48⅓(48.1)イニング、25安打、56奪三振
シリングはポストシーズン6試合に先発。ステロイド時代真っ只中で3試合完投、打率を.150に抑え、56奪三振(NLDS18、NLCS12、WS26)、6四球に被本塁打わずか3本という好成績を残し、史上最速の創設4年目でのワールドシリーズ優勝に貢献しました。
4位 ランディ・ジョンソン(当時37歳)
アリゾナ・ダイヤモンドバックス時代
2001年ポストシーズン(NLDS、NLCS、WS)
WS MVP選出
5勝1敗、防御率1.52、41⅓(41.1)イニング、25安打、47奪三振
ジョンソンは01年のNLDSでは8回3失点で敗戦投手に。その後、NLCS第1戦は3安打完封、第5戦でも勝利、ワールドシリーズでは第6戦でタイに戻し、第7戦に山本と同じく8回途中からリリーフ登板し、9回裏サヨナラ勝ちを収めた場面で勝利投手となりました。
5位 スティーブン・ストラスバーグ(当時30歳)
ワシントン・ナショナルズ時代
2019年ポストシーズン(NLWC、NLDS、NLCS、WS)
WS MVP選出
5勝0敗、防御率1.98、36⅓(36.1)イニング、30安打、47奪三振
ストラスバーグはWS第2戦で勝利投手になると、王手をかけられていた第6戦でも粘投を見せ、先発2試合で2勝0敗、シリーズMVPを受賞。これが本人にとって最後の好投となり、その後は度重なる故障に見舞われ、残りのキャリアでわずか1勝しか挙げられませんでした。
MLBプレーオフ ベスト・ランキング ~パフォーマンス編~
そしていよいよ最後の部門、
これまでのプレーオフで最高のゲームパフォーマンスとは?
以下に、ESPNが選んだ過去30年間のシングルゲームパフォーマンス トップ5をご紹介。このランキングは勝敗のいかんを問わず、純粋にゲームプレーにスポットを当て選ばれています。
そしてもちろん、…トップは2025年です。
【Postseason Performance】トップ5
1位 大谷翔平(当時31歳)
ロサンゼルス・ドジャース
2025年 ナ・リーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)第4戦
NLCS MVP
同一ゲームで3本のホームランを打ち、10奪三振を達成した選手は、レギュラーシーズンにおいてもかつて存在したことはありません。
大谷はそれを、重要性が増し緊迫感と注目度の高いプレーオフの試合で成し遂げました。
3打数3安打、3本塁打、そして6イニングを無失点、10奪三振。しかも最長のホームランはスタットキャスト推定で469フィート(約143メートル)のルーフ越え場外弾。
ドジャースタジアムは歴史的に長打が出にくい球場とされますが、大谷はポストシーズンも含めこのホームフィールドで450フィート(約137メートル)以上のホームランを8本放っており、ましてやその飛距離で複数本もたたき出した選手など他にいないのです。
また、打球速度も驚異的。
大谷がこの試合で放った3本のホームランどれもが、116.5マイル(約187.5キロ)、116.9マイル(約188.1キロ)、113.6マイル(約182.8キロ)という衝撃のデータ記録。
スタットキャストがシステム導入を始めた2015年以降、116マイル(約186.7キロ)以上の打球速度でホームランを複数本打ったのは、レギュラーシーズン含めても彼が史上初の選手。
これまでも大谷は「前人未到の」や「唯一の」といわれる活躍をしてきましたが、その偉大さを多くの目が注がれる大舞台で改めて浮き彫りにしてみせた形です。
これは大谷翔平自身の最高傑作、つまり史上最高の総合パフォーマンスといっても過言ではなく、さらにポストシーズンにとどまらず、野球史上最も印象的かつ後世に語り継がれるような歴史的パフォーマンスでした。
Embed from Getty Images 2025年
NLCSブルワーズとの第4戦で魅せた華麗なバットフリップ。
2位 大谷翔平(当時31歳)
ロサンゼルス・ドジャース
2025年 ワールドシリーズ(WS)第3戦
はい、当ランキングでは大谷がトップ1位と2位を占める結果となりました。
この2025年ワールドシリーズ第3戦での18回は、イニング数としてPS史上最長タイ記録の6時間39分。
そんなマラソンゲームで、1試合に2本塁打、2二塁打、ワールドシリーズで1試合4長打は1906年以来史上2人目の快挙。
これに2四球を加えるとポストシーズン史上初となり、さらに、…9、11、13、15回と4打席連続申告敬遠(WS1試合で史上最多)。
17回にも四球を選び全9打席で出塁。
MLBにおいて、レギュラーシーズンで1試合に9回出塁した選手はわずか3人しかおらず、すべて延長戦の試合で達成されたもの。
大谷翔平は同じ延長戦ながら、ポストシーズン史上初の9出塁達成者となりました。
・・・ただただもう、ひれ伏すほどに驚愕の数字が並びます。
3位 ロイ・ハラデイ(当時33歳)
フィラデルフィア・フィリーズ
2010年 ナ・リーグディビジョンシリーズ(NLDS)第1戦
2000年代のMLBを代表する先発投手の一人、ロイ・ハラデイ。
2010年レギュラーシーズンでは5月にMLB史上20人目の完全試合を実現。自身初のポストシーズンはレッズとの地区シリーズ初戦に登板。
9イニング104球を投げ、8奪三振、1四球、28対戦打者中25打者に対し初球ストライクを奪い、プレーオフの重要な局面でもノーヒットノーランを達成。
続くリーグ優勝決定戦(NLCS)でチームは敗退しワールドシリーズには進めませんでしたが、
投手個人のパフォーマンスとして年間2回のノーヒッターは史上5人目の偉業となり、完全試合とノーヒットノーランの完遂は史上初の快挙となりました。
Embed from Getty Images 2010年
ここから3年後に現役引退、2017年自ら操縦の飛行機事故で急逝(40歳没)。
4位 ロジャー・クレメンス(当時37歳)
ニューヨーク・ヤンキース
2000年 ア・リーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)第4戦
ヤンキースがマリナーズを4勝2敗で下し、3年連続のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした一戦。
第1戦目はマリナーズ守護神、佐々木主浩の好セーブで試合を落とすも、そこから3連勝となる第4戦に先発登板したクレメンス。
彼はこの試合、1安打完封で勝利投手に。唯一の安打は7回で打ち取ったかに見えた凡打をヤンキースの一塁手ティノ・マルティネスのグラブが弾いたことによるもののみ。
また1試合9イニング、15奪三振は、2年前のナ・リーグディビジョンシリーズでパドレスのケビン・ブラウン(当時21歳)が奪った16三振に次ぐ、歴代2位タイの三振奪取記録となりました。
5位 エドガー・マルティネス(当時32歳)
シアトル・マリナーズ
1995年 アメリカン・リーグディビジョンシリーズ(ALDS)第4戦
1995年、主に指名打者(DH)として高パフォーマンスを発揮したマルティネスは、球団史上初の地区優勝・プレーオフ進出に大きく貢献。
ヤンキースとの地区シリーズ、ア・リーグディビジョンシリーズ(ALDS)での第4試合。
敵地ワシントン州シアトルのキングドームに1勝2敗で乗り込むと、1試合7打点を挙げる猛打を連発。
続く第5戦では延長11回に劇的サヨナラとなるタイムリーツーベースヒットを放ってみせました。
同シリーズでのバッティングスタッツは、打率.571(21打数12安打)、3ランホームランと満塁本塁打を含む10打点(両チームで唯一の2ケタ)をマークするなど大活躍。
以降 ”史上最強のDH” と呼ばれるようになり、のちにその功績が称えられ自身の名を冠したMLB最優秀指名打者賞「エドガー・マルティネス賞」が誕生することになったのです。


