こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
復活に期待のかかるフリーエージェント(FA)たち
MLBには毎シーズン、不振や故障などによって苦境に陥り、フェードアウト寸前ながら、FA(フリーエージェント)のタイミングで新たなスタートを切る選手が何人もいます。
その中には、新天地で輝きを取り戻し、打ち立てた過去の栄光を甦らせ、自らの価値を再び押し上げるプレーヤーが少なからず存在してきました。
そして、こうした選手たちこそを野球ファンは心底リスペクトし応援せずにはいられません。
メジャーリーグという世界最高峰の舞台では、それまで築き上げたキャリアも一瞬にして崩れ去ることがある反面、
起死回生で好転することもあるということを、彼らが身をもって体現してくれるからーー。
今回は、かつてと比べて近年3~4シーズンのWARに大きな変動がみられ、且つ、チーム変更の可能性のあるフリーエージェント(FA)をピックアップ。
FanGraphs の予測システムから算出した推定指標「予測WAR」に基づいて、2026年の復活リストに加わるであろう注目の5人の選手たちを見ていきます。
それではさっそく始めましょう!
MLBにおける総合評価指標
非常に重視される指標 WAR
WARの年間数値によって、選手の価値を以下のように評価できます。
| WARの値 | 評価レベル |
|---|---|
| 8.0以上 | MVP級 |
| 6.0〜7.9 | オールスター級の超一流 |
| 4.0〜5.9 | 主力選手 |
| 2.0〜3.9 | レギュラークラス |
| 0.0〜1.9 | 控え・平均的な選手 |
| 0未満 | 控え以下の貢献度 |

fWARとbWARの違いをもう少し掘り下げると?
fWARとbWARの違い:ざっくり比較
| 項目 | fWAR (FanGraphs) | bWAR(BaseballReference) |
|---|---|---|
| 投手評価 | FIP(守備除外指標)に重点 → 実力重視 | ERA(防御率)に重点 → 結果重視 |
| 守備評価 | 守備力を評価するUZRやOAAなどの範囲系指標を使用 | 守備でどれだけ失点を防いだかを測る指標DRSを使用 |
| 守備の影響 | 守備の影響を排除して投手を評価 | 守備込みで評価 |
| 評価の傾向 | 「運を排除した真の能力」を測る | 「実際に起きた結果」を重視 |
| UZR(Ultimate Zone Rating) | 平均的選手と比べどれだけ失点を防いだかを重視し、打球難易度、送球、失策等を統合的に評価。 |
| OAA(Outs Above Average) | 平均的選手と比べどれだけアウトを取れたかを重視し、主に守備範囲の広さを評価。 |
| DRS(Defensive Runs Saved) | 平均的選手と比べ打球処理範囲、肩、捕球力含め総合的に評価。平均は「0」、プラスは優秀で「+10」は10点分の失点を防いだこと。 |
| FIP(Fielding Independent Pitching) | 運や守備が影響する打球結果を除外した投球(奪三振、与四死球、被本塁打)のみを評価。投手本来の実力や将来防御率をより正確に予測する指標。 |
| ERA(Earned Run Average) | 防御率を指し、9イニングあたりに許した自責点平均値を表す。実際の成績を示す指標ではあるが守備や運の影響を受けやすい。 |
MLB2026!新たな環境で復活を遂げそうなFA選手
2026年シーズンに向けたフリーエージェント(FA)市場において、新たな環境で復活を遂げそうな選手たちがこちらです。

新チーム移籍ではなく、現球団との再契約もアリだけどね!
キム・ハソン
- ポジション:遊撃手、二塁手、三塁手
- 出身:韓国
- 生年月日:1995年10月17日(30歳)
- 身長:約175.3 cm
Embed from Getty Images 2025年
ブレーブス時代
KBOで3度のゴールデングラブを獲得後、2021年にMLBのパドレスへ移籍。
キム・ハソンは2022〜2023年にかけてWARを大きく伸ばし、攻守走すべてで高い貢献を示しました。特に2023年は平均WAR5.8でエリートレベルの大活躍。
2022年 fWAR3.7 bWAR4.9 平均WAR4.3で、遊撃手レギュラー、守備と走塁で貢献
2023年 fWAR5.8 bWAR5.8 平均WAR5.8で、攻守走すべてでキャリアハイ
ここ2シーズンの大半はケガで欠場、
それでも2024年は、打撃貢献ではややマイナスに転じ平均を下回ったものの、守備と走塁でプラス評価を得てWAR(2.5〜3.0)を押し上げました。
そして、レイズ、ブレーブスと渡り歩いた2025年シーズン、
彼はたとえ打撃が平均以下でもWARを稼げるタイプでしたが、故障者リスト明けで191打席と出場機会が減退。
自慢の走りも影を潜め、前年の22盗塁から6盗塁へと減少してしまい、WAR0.3に大幅縮小。
とはいえ2026年のキムは、FanGraphsの予測システムや実績から、平均WAR2.5〜3.5が現実的な回復水準と見込まれており、打撃が噛み合えば4.0前後まで伸びる可能性大。
来シーズンは優れたコンタクトスキルと俊足、強肩を生かした守備範囲の広い万能選手として再びファンの期待に応えられるのではないでしょうか。
マイケル・キング
- ポジション:投手
- 出身:アメリカ合衆国
- 生年月日:1995年5月25日(30歳)
- 身長:約190.5 cm
Embed from Getty Images 2025年
パドレス時代
2022〜2024年にかけてリリーフから先発投手へと役割を広げ、安定した力を発揮したキング。
2023年(ヤンキース;中継ぎ→先発) 104.2イニング ERA2.75 fWAR2.2 bWAR2.4
2024年(パドレス;先発ローテ定着) 173.2イニング ERA2.95 fWAR3.2 bWAR3.6
2025年は肩と膝の炎症のため、わずか15試合の先発登板でシーズンを終えました。
振り返ると、前半は防御率2点台をマークして何とか踏みとどまるも、後半は失点が増えFIPは4.42とERAより悪化。奪三振率(K%)は24.7%、四球率(BB%)は8.4%とやや平均的。
全体的に、突出には及ばない無難なシーズンで、WARも1.2と控えめでした。
これは73.1回というイニング数の少なさが影響したようです。
2026年の期待値を、FanGraphs予測から確認してみると、
と、推定データではイニング増加によるWAR上昇が大きなポイント。
ERAは若干上がる見込みですが、FIP改善により投球内容の安定感アップが期待されている様子。
FA市場においてキングの来季は、先発ローテーションに定着できる可能性が高く、堅実性を武器に複数年契約を狙えそうな状況です。
ルイス・アラエス
- ポジション:一塁手(内野手、外野手)
- 出身:ベネズエラ
- 生年月日:1997年4月9日(28歳)
- 身長:約177.8 cm
Embed from Getty Images 2025年
パドレス時代
アラエスと同列に並べて比較できる選手はおらず、現代野球界においては、ことバッターでは比類なき存在として知られたプレーヤー。
打撃特化型で、出塁とコンタクト能力に優れ、三振率が極端に低く、守備・走塁のマイナス面を打率で補うスタイルが特徴です。
2023年は打率.354でリーグ首位打者を獲得しながら、WAR5.0に満たなかったというデータも。
2023年(マーリンズ) fWAR3.8 bWAR4.9 平均WAR4.4
2024年(マーリンズ/パドレス) fWAR2.9 bWAR3.9 平均WAR3.4
2025年(パドレス)fWAR0.9 bWAR1.5 平均WAR1.2
上記に示す通り、
WARでは評価指標の違いから、守備面での成果が限定的なfWARはやや低めに、打率・出塁率の高さを反映したbWARはプラスに働く、
といった「差」が生じています。
また2025年シーズンは、打率.292と引き続き高水準ですが、OPS+は99と中位レベル。
OPS+(Adjusted OPS+)
球場や時代による有利・不利を補正し、リーグ平均を「100」として標準化した打撃指標。
・100が平均:リーグの平均的な打者=OPS+100
・打者A>100より大きい:Aは平均より優れた打者(ex;140=平均より40%優れている)
・打者B<100より小さい:Bは平均より劣る打者
守備と長打力不足がWARを大きく抑える形となり、24年の貢献度に比べると25年は平均クラスに留まった感がぬぐえません。
ただ、WARの低下がみられる一方で、依然として打線の潤滑油的役割は果たしており、コンタクト能力を重視する球団にとっては ”ニッチ型 FA” として魅力的な存在のようです。
ザック・ガレン
- ポジション:投手
- 出身:アメリカ合衆国
- 生年月日:1995年8月3日(30歳)
- 身長:約188 cm
Embed from Getty Images 2025年
ダイヤモンドバックス時代
ザック・ガレン投手は2019年トレード・デッドラインでの契約成立以来、長きにわたりダイヤモンドバックスで先発を務めてきました。
2022~2023年が自身のキャリアハイで、特に22年はWAR5.1をマークし、サイ・ヤング投票上位に入るほどの支配力を発揮。
エース級の活躍後2024年シーズンは、やや落ち着いたとはいえ十分な水準をキープ、
ただし、そのあと2025年になると明らかな後退が見られるように。
| 2024年 |
|---|
| ・勝敗は14勝6敗と好成績、ERA3.65、WHIP1.26と安定 ・WAR2.7とローテーションを回す戦力として十分価値ある水準 ・2022–2023のピーク(各WAR5.1、4.4)には及ばないが依然チームに貢献 |
| 2025年 |
|---|
| ・勝敗は13勝15敗と負け越し(チーム事情もあるがエース格でいうと物足りず) ・ERA4.83はキャリアワースト水準 ・2022–2023のERA2.54、3.47と比べると大幅に悪化 ・FIP4.50は運ではなく実力面の後退を示唆 ・WAR1.1 に低下し、ほぼリーグ平均以下 ・エース格から大きく後退 |
このように支配力低下は否めませんが、2026年FA市場にアピールできる強みはあります。
他に、2023年ポストシーズンでワールドシリーズ進出を経験しており、大舞台での登板実績もプラス評価につながるかもしれません。
ガレンは累積WARで20以上を積み上げており、2026年FA交渉の場では ”即戦力のローテーション投手” として複数球団から中期契約のオファーが見込まれています。
ウィリー・カストロ
- ポジション:外野手
- 出身:プエルトリコ
- 生年月日:1997年4月24日(28歳)
- 身長:約185.4 cm
Embed from Getty Images 2025年
カブス時代
タイガースからツインズとマイナー契約した2023年シーズンのカストロは、
ユーティリティとして多ポジションを守り走塁面で大きく貢献、WARは控えめながら安定した数字を残しました。
2024年はキャリアハイの158試合数を記録し、オールスターにも選出。守備指標DRSでは総合値 -18とマイナスが目立ちましたが、出場数・攻撃・走塁の総合力でfWARが大幅上昇。
そしてカブスでの2025年はというと、打率.226、11本塁打、OPS.679で打撃成績が低迷し、守備でもマイナス評価。ユーティリティ性は維持したものの、WARは大きく減少。
2023年 fWAR1.4 bWAR1.5 平均WAR1.5
2024年 fWAR3.0 bWAR1.6 平均WAR2.3
2025年 fWAR0.5 bWAR1.2 平均WAR0.9
スタットキャストの2026年予測では、ウィリー・カストロは控えめな改善を示すとみられており、FanGraphsの期待値プロジェクションによると、来シーズンは打率.234、WAR1.2との小幅回復が見込まれています。
このように数値的には平凡であっても、チーム編成上の “隠れた価値” がFA市場で光る選手と言えそうです。
