こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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高度なデータ解析が当たり前となったメジャーリーグベースボール(MLB)で、今年もStatcastは数々の異次元プレーを捉えました。
本記事では、
MLB.comが選んだ2025年の「Statcast 年間最優秀プレー・トップ15」から、さらに選りすぐりのシーンをピックアップ。
オフシーズンのこの時期、
データの裏側を読み解きながら、野球ロスを埋める時間として振り返ってみませんか?
今ここで、あの感動をご一緒に呼び起こしていきましょう。
Statcast
MLBが球場内のレーダーやカメラを使って、打球・走塁・守備などの動きを詳細に計測する分析システム。選手のパフォーマンスを客観的なデータとして記録します。
MLB最高峰のデータが証明する超人たち5つの記録
内野手の最速アシスト
エリー・デラクルーズ
時速 98.3 マイル (6月14日)
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内野手の肩の凄さで言えば、デラクルーズがもはやダントツの「絶対的基準」です。
今季 Statcastが最速を計測した時速98.3マイル(約158.2キロ)の送球は、相手走者が本塁へバックホームした際の外野との連携プレー(カットプレー)でした。
この場合、外野手から威力のあるボールを受けて投げるため、通常の内野ゴロよりかはステップを大きく使え、助走の勢いを乗せやすいことから、より球速が出ます。
これが2025年の内野手による全送球の中で最速1位として記録されたというもの。
ちょっとイメージしてみてください、
高速道路を危険運転レベルの猛スピードで走る車と同じ速さのボールが、0.4秒でホームに届く状況を…。

人のまばたきは約0.1〜0.3秒、1回では見逃してしまう速さ!
ですが、それだけじゃない!
助走のつかない普通の内野ゴロの処理に限定したとしても、やはり彼がトップ。
9月8日の試合では、勢いがないままの静止状態から捕球→送球という条件下で95.9マイル(約154.3キロ)を計測、
驚愕の爆肩を披露し、内野手として異次元な身体能力であることを示してみせました。
つまり、どんな状況でもデラクルーズがナンバーワンということのようです。
最も不可能なキャッチ
デンゼル・クラーク
捕球確率 5%(6月6日)
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次に紹介するのは、
Statcast が過去の膨大な守備データに基づき解析した、捕球できる可能性わずか5%の神業。
2025年、最も常軌を逸した限界突破のプレーとしてMLBが選んだのは、
アスレチックスが誇る驚異の若手中堅手、クラークによる奇跡のキャッチ。
このプレーで彼は、誰もが『抜けた!』と確信した左中間への深い当たりに対し、なんと123フィート(約37.5メートル)もの距離を猛追。
通常、外野手が自分の守備範囲として対応するのは20メートル前後であることが多いので、その約2倍の距離を走ったことになります。

渋谷スクランブル交差点を斜めに2倍の距離突っ切ったのと同じ!
最後はフルスプリントのままフェンスに大激突しながら、長打コースの打球を見事に奪い取ってみせました。
同じような球をメジャーリーガーですら20回に1度しか捕れなかったという実績を裏付けるように、あとコンマ数秒遅ければ、あるいはあと数センチ足が届かなければ、という世界線の話です。
捕球確立10%や20%でも超ファインプレー、5%となるともはや物理法則との戦い。
これ以下の 0%では、もう絶対に届かない(=スタンドに入る等)わけですから、人間が関与できる最小割合(%)の可能性ともいえます。
そして、たとえ無我夢中であろうと、咄嗟の動きであったとしても、最終的に体を投げ出すダイビングや壁への激突を恐れない勇気が…やはり凄い。
爆速打球・最速ホームラン
オニール・クルーズ
時速 122.9マイル(5月25日)
2015年にロサンゼルス・ドジャースと契約し、翌年、傘下のルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・ドジャースでプロデビュー。
2017年からはパイレーツの大砲として活躍を続けるオニール・クルーズ。
彼はこれまでも、2022年シーズンの単打や24年の二塁打で最速記録を保持してきましたが、今回ついに過去の自分さえも超えてみせました。
26歳で迎えたシーズン、ブルワーズ戦で放った時速122.9マイル(約197.8キロ)の本塁打は、Statcast 導入以来の歴代最高初速を更新。
2015年の計測開始から11シーズンの中で、これほど強烈な打球を放った打者は一人もいません。ましてや、それがスタンドまで届くホームランだったというのは、驚愕に値する出来事です。
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数字から深掘りしてみましょう。
2025年の打球初速ランキングにおいて、大谷翔平は依然としてトップクラスに君臨していますが、この記録はそれをさらに上回る異次元の領域に達しました。
オニール・クルーズ vs. 大谷翔平(2025年記録比較)
| 選手名 | 最速本塁打 | Statcast順位 | 達成日 |
|---|---|---|---|
| オニール・クルーズ | 122.9マイル/約197.8キロ | 1位(史上最高記録) | 5月25日(ブルワーズ戦) |
| 大谷翔平 | 120.0マイル/約193.1キロ | 2位 (全体2位) | 9月2日(パイレーツ戦) |
上記の通り、大谷のほうが2.9マイル(約4.7キロ)遅い計算になります。
これは、もし二人の打球が同じ角度で150メートル先のスタンドへ飛んでいったとすると、
クルーズの打球は大谷よりも、およそ ”車2台〜3台分” ほど先を常に先行しているイメージ。
「速っ!」と思った瞬間、それよりさらに先に着弾しているのがクルーズの122.9マイル。
これまで、本塁打での120マイル超えはジャンカルロ・スタントン、アーロン・ジャッジ、そして大谷翔平とオニール・クルーズ4人のみ。
身長200cm超えの巨漢から繰り出されるパワーは、Statcast の歴史そのものを塗り替える異常値をたたき出したのです。
最速スリーベース(三塁打)
コービン・キャロル
到達速度 10.87秒 (4月27日)
次は、現代メジャーで傑出した俊足の持ち主とされるコービン・キャロルに関するセクション。
彼はまさに三塁打の達人です。
ダイヤモンドバックスが誇る24歳の(当時)快速王は、3年連続で同部門のタイトルを獲得。
Statcast が計測する秒速において、彼は常にメジャー全体の上位1%(99パーセンタイル)に位置付けされており、これは全選手のうち99%の選手よりも足が速いことを意味します。
そして4月のブレーブス戦では、1試合2本のスリーベースを放つ猛打を見せましたが、そのうちの1本が三塁到達10.87秒で今年度のメジャー最速タイムをマーク。
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この記録は、野球のダイヤモンドで1塁、2塁を蹴って3塁までの約82メートルを走破するタイムのこと。
イメージが湧きやすいよう、ベース間を駆け抜けるスピードを100メートル走に換算すると、
100mを約13.2秒で走るペースになります。 これだけ聞くと「ンっ…陸上選手ほどではない?」と思うかもしれませんが、
彼はこれをスパイクを履き、重いヘルメットを被り、土のグラウンドで、しかもカーブを曲がりながらやってのけるのですから、まさに人間離れした領域です。
最長飛距離ホームラン
ニック・カーツ
飛距離 493フィート(9月13日)
MLBにおける昨シーズンの最長本塁打記録が480フィート(約146.3メートル)だったのに対し、2025年はそれを塗り替える一打が3本も飛び出しました。
その中で最も遠くへ飛ばしたのは、
期待の新人カーツによる493フィート(約150.3メートル)の一撃。
アスレチックスの超新星が放った打球は、
チームが暫定本拠地とするサター・ヘルス・パークのバックスクリーンを軽々と越え、場外まで消えていく衝撃の満塁ホームランとなりました。
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Statcast 版パークファクターBaseball Savantの統計では、この球場は本塁打の出やすさでメジャー全30球場の中でもトップ5に入る水準、
マイナーリーグの球場として設計されているため、メジャーの平均的な球場に比べて外野フェンスまでの距離がやや短めです。
とはいえ、カーツが放った493フィートの飛距離は打者有利な環境を差し引いても凄まじく、
山手線の駅ホーム2本を超えて、さらに50m先まで飛ぶレベル。
小学校の校庭なら丸ごと飛び越え、路線バス13台を縦に並べてもまだ足りないスケール。
マイナー規格の球場では彼のパワーを収めるには余りに ’レべチ!’ で狭すぎたかもしれません。
