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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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9月16日(日本時間17日)、米スポーツ専門ネットワークESPNのブラッドフォード・ドゥーリトル氏の記事では、今季成績とポストシーズンを見据え全30チームそれぞれの大収穫トピックと、その反対に課題にあがったミスや改善点について洗い出しをしていました。
そして、そこで取り上げた内容をもとに「プレーオフの行方を自由に予測してみては?」と記事は結んでいます。
実際に頂点を目指す各チームに対し、いったいどのような事柄が抽出され、どんな指摘がなされたのでしょうか。
今回はその中から、気になる8チームをピックアップし紹介していきます。
それではどうぞ。
ALチームの収穫&失態2つのポイント
シアトル・マリナーズ
大収穫トピック |
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カル・ローリー |
カル・ローリーは、野球ファンがこれまで目にした中で最も画期的でエポックメーキングなシーズンを送っています。
確かに彼の好調ぶりは今に始まったものではなく、以前からメジャー屈指の万能プレーヤーでした。それでも今季、打者としての成績はどう受け止めたものか…捕手史上最高のホームラン数、スイッチヒッターとしてはミッキー・マントルの最多本塁打(54本)超え…信じられません。
さらに、勝利をもたらす貢献度指標 fWAR8.4(FanGraphs版WAR)は、歴代正捕手の中でも上位にランクイン。
現時点でチーム打率.244は全リーグで19位と振るわないものの、本塁打数ではドジャースに次ぐ3位をキープしており、ローリーがいかにチームに貢献しているのかがよくわかります。
fWAR評価の目安
0 WAR:平均的な控え選手と同等の貢献度
2 WAR前後:平均的な選手と同等の貢献度
5 WAR以上: 非常に優秀なスーパースタークラスの貢献度
8 WAR以上::MVP級シーズンを送るレベルの選手と評価
改善したい課題 |
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先発ローテーション |
昨季のマリナーズでは、どこよりも多い人数の4投手が175イニング以上&防御率3.70未満をマーク。今季開幕前の予想でも先発陣は堅実、かつ盤石と見られていました。
で、実際どうなったかというと、ブライアン・ウー(25歳)は若くしてエース格へと成長を遂げ、チームのプレーオフ争いを大きく左右する存在に。しかしながら、他の投手はケガやパフォーマンスの低下、あるいはその両方で想定以上に低調。
それでもチームは残り十数試合のところで首位奪還を果たすと防御率も何とか持ち直し、現在はアストロズを2ゲーム差と引き離してトップをキープ。
もし先発陣が当初の見通しどおりの活躍を見せていたのなら、彼らはもう既にアメリカンリーグ西地区優勝を決めていただろう、というのが今回の結論のようです。
ロサンゼルス・エンゼルス
大収穫トピック |
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ザック・ネト |
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昨シーズン、チームメイトから別チームになって初めての対戦。
2022年のMLBドラフトで指名された選手として最速でメジャーデビューを果たし、ルーキーイヤーの1シーズンを大谷翔平と共に過ごしたザック・ネト。
この夏、試合前のグラウンドで大谷に帽子をとり、日本流のお辞儀をするオチャメな姿で観客を沸かせた彼ですが、いまや2年連続でWAR5を記録。
今季序盤は欠場したものの、24歳にして野球界屈指の遊撃手の一人に数えられ、長打率も大幅に上昇。レベルアップするにつれ、ネトは守りでもオフェンスでも輝きを放ち、30-30クラブ入り(30本塁打・30盗塁)目前まで迫っていました。
ところがシーズン終盤戦、8月中旬に左手に投球を受け、9月に入ってからスイングで痛みが悪化。検査で肉離れが判明し、残りのシーズンを欠場することになってしまったのはつくづく残念。
改善したい課題 |
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マイク・トラウト |
シーズンMVP3回、同投票2位に4度選出されている現役最高選手マイク・トラウトは、2021年から2024年の4年間でシーズン平均66.5試合の出場にとどまっています。
ただこれをレギュラーシーズンすべての打席に立ったと仮定して、全162試合平均で計算すれば、本塁打46.3本、打点109、(打撃力を表す指標)OPS+160という数字に。
それでもやはり現実を直視すると、かつての影響力は薄れつつあるようです。
また、長打率.411、OPS+113は堅実とはいえ、本来の彼の実績からは程遠い。指名打者への適応が必ずしもスムーズではないことが原因かとも言われますが、8月7日で34歳となったトラウトの来シーズンの復調には誰もが期待しているのではないでしょうか。
OPS+の見方
OPS+ 100:リーグ平均の基準値
OPS+ 150:平均より50%高い得点力を持つ非常に優れた打者
OPS+ 90:平均より10%低い得点力を持つことを意味する
ボストン・レッドソックス
大収穫トピック |
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ピッチャー獲得 |
サイ・ヤング賞候補のギャレット・クロシェと最優秀リリーフ投手候補のアロルディス・チャップマンはどちらも昨年のチームにはいませんでした。
クロシェ(26歳)は、白から赤に履き替えたレッドソックスでより才能を発揮し、ア・リーグ最多のイニング数と奪三振率を誇り、22年にトミー・ジョン手術を経験しながらカムバックした身体能力の高さも注目されているエース。
一方、メジャー史上最速球速約170.3キロの記録を持つ37歳のベテランチャップマンは、今シーズン58回と1/3を投げ、自己最高の防御率1.23と、自身キャリアハイに迫るbWAR3.3(Baseball-Reference版WAR)を記録しています。
改善したい課題 |
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ロースター管理・調整 |
レッドソックスは、今季デビューのローマン・アンソニー(21歳)、ヤンキースから移籍の若手捕手カルロス・ナルバエス(26歳)といった新人選手たちが目覚ましい活躍を見せています。
にもかかわらず球団フロントは、シーズン途中の契約あるいはトレードで獲得した選手たちの管理・調整、チーム最適化のための編成作業が不十分ということで、ドゥーリトル氏らの評価ランクは29位と最下位から2番目。
球団は多くの負傷者を抱えている(故障の影響度を加味すれば27位)ものの、それを補完するための動きがあまりに消極的すぎる、というのがその理由のようです。
ニューヨーク・ヤンキース
大収穫トピック |
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ブロンクスの強力打線 |
今シーズンのヤンキースのホームラン数は2位のドジャースに30本余りの差をつけ、リーグ全体でぶっちぎりのトップ。
まさにチームの愛称、「ブロンクス・ボンバーズ(Bronx Bombers)」を体現しています。
アンソニー・ボルピーとライアン・マクマホンがともにもう1本ホームランを打てば、ヤンキースは今シーズン20本塁打以上の選手が9人となり、レギュラーラインナップが組めてしまうことに。
アーロン・ジャッジ率いるホームランバッターだらけの強力打線は、やはりプレーオフで爆発してほしい伝統のチーム。
改善したい課題 |
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デビン・ウィリアムズ |
ヤンキースにトレード移籍するまでの6シーズン、デビン・ウィリアムズはブルワーズで241登板して、自責点48、防御率1.83を記録。
過去に2度の最優秀救援投手賞に輝いた右腕はニューヨークで開幕から守護神を務めたものの、4月はまさかの防御率10.13と大不振。
新天地での1年目はここまで63登板で、自責点33、防御率5.12。奪三振率は通算約5%ほど低下しており、ウィリアムズは以前のような投球ができないままローレバレッジ(投球が試合に与える影響が少ない状況)の場面を行き来しているだけ、との厳しい見解が示されました。
NLチームの収穫&失態2つのポイント
シカゴ・カブス
大収穫トピック |
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攻撃力 |
たしかに後半戦はスローダウンしたものの、今季のカブス打線はシーズンを通してMLB屈指の戦力を見せつけ、強烈なインパクトを与え続けています。
それは数値にも表れ、単にヒットの数だけではなく、フォアボールや盗塁といった多角的な攻撃能力のアップ、長打を生み出すパワーとスピードの向上などにより、出塁率やOPSも軒並み昨季を上回る成績に。
クリーンナップのみならずチーム全体で得点を生み出す力を身につけ、カブスは今、ここ数年で最も厚みのある攻撃陣を形成したようです。
改善したい課題 |
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ブルペン |
カブスのブルペンは先発陣に比べて、やや明確さが不足しているようです。
右肩の肉離れで9 月下旬またはポストシーズン中の復帰が見込まれるダニエル・パレンシアが戦列を離れたことで、リリーフ陣は依然として終盤の決め手となる切り札を欠いている状況。
チームのリリーフ防御率4.40は平均的クラスにとどまり、アンドリュー・キットレッジを除いてトレードデッドラインまでに効果的な補強ができなかったため、一部には、プレーオフに入った時点でのブルペンの弱体化を懸念する声がきかれています。
ロサンゼルス・ドジャース
大収穫トピック |
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山本 由伸 |
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タナー・スコットのセーブをバックハグで祝う心優しき新エース。
前評判どおりには事はスムーズに進まなかったとはいえ、それでもドジャースはワールドシリーズ連覇を果たす可能性を秘めているとされます。
たとえ予想を10ゲーム以上下回るペースでレギュラーシーズンを終えたとしても、なぜか彼らはタフなナ・リーグ西地区で首位に立ち続けてきたのですから。
今年、層厚くもケガに悩まされるドジャース先発陣の中で、安定感が際立つ山本由伸の存在は稀少かつ貴重であり、まさに宝石のような投球が光り輝くシーズンでした。
不安定な投手陣を横目に、彼だけは常に沈着冷静。シーズン前の期待を裏切ることなく、むしろ期待値を超えるパフォーマンスで、さらなる高みを目指す日々。
8月には自身初のMLB二桁勝利を達成。9月に入るとドジャースでは100年ぶり、2試合連続7イニング以上、1安打以下に抑える投球を見せ、また2017年のクレイトン・カーショウ以来となる3試合連続7イニング以上、10奪三振以上をマーク。
すでに規定投球回162イニングを超え、山本は9月中旬を過ぎた現在、防御率2.58でナ・リーグ2位。メジャー2年目を終え、自身2度目のポストシーズンを迎えようとしています。
改善したい課題 |
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健康 |
長いシーズンを乗り切るのに何より大事なのは、選手たちが健康を保ちつづけること。
…ですが、ドジャースは2025年もシーズンを通して相次ぐ負傷離脱に悩まされることになり、チームは現在、レギュラーシーズン残り10試合を切った時点で11人の主力選手が負傷者リスト(IL)に名を連ねています。
しかもその内訳は、右手毛状骨折が判明しポストシーズン開幕時の出場が不確かとなったばかりのウィル・スミス捕手以外、10人すべてが投手であり、そこには右膝の炎症で新たにリスト入りしたマイケル・コペックも含まれます。
オープンゲーム間もない頃には豪華メンバーになり得ると思われたドジャース投手陣。
”投手はいくらあっても足りない(You never have enough pitching)” といったメジャーリーグの警句が思い起こされますが、不確定要素が極めて多いこのラインナップをプレーオフまでにどうやってコントロールしていくのかが大きな関心事となっています。
フィラデルフィア・フィリーズ
大収穫トピック |
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カイル・シュワーバー |
今季、球界でも指折りの強打者カイル・シュワーバーは、かつてないほど華々しい成績を収めています。
2006年のライアン・ハワードに次ぐフィリーズ唯一の50本塁打以上を達成し、リーグ全体トップの128打点をマーク。これは自身キャリアハイである104をさらに24打点上回る数字。
加えて、自己最多にしてMLBトップの129打点と、優れた出塁能力&選球眼で大谷とタイの四球(フォアボール)105カウントを記録。
そんな好調な成績を収めているシュワーバーは今冬、まさに絶好のタイミングでFA(フリーエージェント)となります。
改善したい課題 |
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アーロン・ノラ |
2014年のドラフト以来、フィリーズ一筋のフランチャイズプレーヤーアーロン・ノラは、これまでも浮き沈みの波にもまれてきた選手ですが、今シーズンのような低迷期は経験したことがありません。
15試合の先発登板で防御率6.44という成績は、代替可能な水準ーーたとえばノラの穴を埋める控えレベル選手との比較でノラの価値を評価した場合ーーを下回っています。
8月下旬にザック・ウィーラーの今シーズン全休が発表されたことからも、長年ダブルエースを張っていたかつての看板投手の復活は、プレーオフを勝ち抜くためには必要不可欠。
フィリーズが世界一を懸けて臨むポストシーズンまでに、はたして復調の兆しはみられるでしょうか。
サンディエゴ・パドレス
大収穫トピック |
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デッドラインを乗り越える |
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身長196cmの大型補強ミラー投手は27歳。
2025年のトレードデッドライン、パドレスは7月31日の午後6時(日本時間8月1日午前7時)ギリギリでアスレチックスからメイソン・ミラーを獲得する大型トレードを成立させました。
最終的に14人の選手を放出し、8人の選手を迎え入れた大規模なチーム再編は、ポストシーズン進出の可能性を高めるため、ベテランや中継ぎの層を厚くする狙いがあったと見られます。
これらの戦略は功を奏し、新戦力らによって既存選手の戦力低下や負傷者らをみごとにカバー。
メイソン・ミラーは予想を超える活躍を見せ、フレディ・ファーミンはDFAとなったマルドナドに取って代わり捕手ポジションを固め、ラモン・ローレアーノも加入後46試合で高打率を誇る打者へと変貌を遂げています。
改善したい課題 |
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ザンダー・ボガーツ |
10月1日で33歳の誕生日を迎えるザンダー・ボガーツは、2年連続で打撃成績が振るわないシーズンを送っています。
22年シーズンまで所属したRソックスでの通算長打率.458、OPS.814に対し、パドレスでの3シーズンは長打率.406、OPS.738。また10年平均打率.292に比べ、現在の打率.272はやや物足りない数字に見えていました。
そして8月の終わりにパドレスは、左足に自打球を当て骨折が判明したボガーツを10日間のILリストに登録したと発表。
正遊撃手を欠いた状態で戦いを強いられることになったチームのためにも、なんとかシーズン以内に復帰して、ふたたび輝きを取り戻してほしいものです。