こんにちは!
ちょっかんライフです。
今回も一人暮らしの直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げてまいります。
trav0727 Travis Smith
今回は、ロサンゼルス・ドジャース球団の「メジャーリーグ・ストレングス&コンディショニング・コーチ」の肩書を持つスミスコーチにフォーカス。
大谷翔平選手との親密な交流シーンも話題の同コーチを取り上げた紹介記事です。
どうぞ最後までお付き合いください。
ドジャースの「ヘルス・パフォーマンスチーム」
ロサンゼルス・ドジャースにはフィールド上でマネジメントを行う監督やコーチ陣のほかに、選手の健康パフォーマンス最適化のためのあらゆる専門家スタッフが存在します。
中でもヘルス・パフォーマンスチームは、トレーニング、理学療法、ワークアウトなどを通じて選手のフィットネス向上、ケガへの対処、そして全体的な健康促進を図るための個別プログラムを開発。
シーズンを通して選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援するプロ集団。
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ムーキー・ベッツとメンタルperfチームで試合前に打ち合わせ(右がスミスコーチ)。
そんなスペシャリストで構成されるチームの一員としてアスレティックトレーニング、栄養学、そしてリカバリー・プログラムの設計と実施を担当するのがスミスコーチなのです。
トラビス・スミス/経歴
学歴・資格
トラヴィス・スミス氏はアメリカのシカゴで生まれ育ち、インディアナ州マリオン郊外にある公立学校イースト・ブルック・ハイスクール(East Brook Highschool)卒業後はテイラー大学(Taylor University;2005-2009)に進学し、運動科学の学士号を取得。
大学では4年間アメリカン・フットボールチームに所属する学生アスリートで、ディフェンシブバックとして活躍。
スミスコーチの生年月日について触れた記事は見当たりませんが、上記どおり2005年に18歳で大学入学したとすると、2025年現在の年齢は38歳前後といったところでしょうか。
社会人になってから、コンコルディア大学シカゴ校(Concordia University Chicago;2014-2015)で応用運動科学の修士号 (Master’s Degree,Applied Exercise Science)を修得。
さらにカリフォルニアにある南海岸マッサージカレッジ(South Bay Massage College;2016-2017)で、認定マッサージセラピスト(Massage Therapy/Therapeutic Massage)の資格も得ています。
その他にも現職に関連した肩書は以下のとおり。
・世界最大のパーソナルトレーナー教育団体、全米スポーツ医学アカデミー(NASM)のパフォーマンス向上スペシャリスト
・国際的なスポーツパフォーマンス教育団体、全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)における認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
・国立スポーツ医学アカデミーの矯正強化スペシャリスト
現職に至るまでの主な履歴
スミス氏は、2009年7月~2010年10月までの1年4ヶ月間、フィットネス・スタジオ、ジョン・ホール(John Hall Studios)シカゴエリアでフィットネス・プロフェッショナル(Fitness Professionll)としてパーソナルトレーナーに従事。
上記に示すように就職期間が一部重複する形で、2010年4月~2010年9月までの6ヶ月、ウェルネス・フィットネスサービス、EXOSのシカゴエリアでインターン・パフォーマンス・スペシャリスト(Intern Performance Specialist)の職に就き、インターンシップによるリアルな仕事体験を得る。
2010年10月~2011年3月まで半年間、ストレングス&コンディショニングコーチとして、フィットネススタジオ、アタック・アスレチックス(ATTACK Athletics)でバスケットボール&フットボールアスリート向けに指導を行う。
2011年3月~9月までの7ヶ月、マイアミ・マーリンズのマイナーリーグにて、ストレングス&コンディショニングコーチとしてプロ球界でのキャリアをスタートさせる。
その後はヘッド・ストレングスコーチとして、メキシコ(マサトラン・ベナドス・メキシカン・ベースボール・オーガニゼーション)、ベネズエラ(ララ・カルデナレス・ベネズエラ・ベースボール・オーガニゼーション)のベースボールリーグに、それぞれ数カ月にわたり派遣。
そして、2011年11月からドジャースのマイナーリーグで2015年までストレングス&コンディショニング・コーチを務める。
2015年には*MiLBパシフィック・コースト・リーグ・ストレングスコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞。
*パシフィックコーストリーグ(PCL)ストレングスコーチ・オブ・ザ・イヤー
MLB傘下のマイナーリーグ(MiLB)、パシフィックコーストリーグのストレングスコーチを対象とし、特に優れた功績をたたえる賞のこと。
2016年~2018年までメジャーリーグ・アシスタント/マイナーリーグ・ストレングス・コーディネーターを3シーズン送ったあと、メジャーリーグのストレングス&コンディショニングコーチに就任。
ドジャース入職から14年目のシーズンを迎える2025年現在、同球団のヘッドストレングス・コーチとして現職に就いている。
野球経験がまったくない中で球団職員となり、しかも履歴にあるとおり社会に出てからスキルアップを重ね、経験を積むなかで資格を修得、自らキャリアパスを切り開いていったところが凄いですね。
有色人種として学生らと交流
2018年8月、当時のドジャース コーチングスタッフの一人として、ゼネラルマネージャー(現ロバーツ監督)らとともに、アフリカ系アメリカ人の文化や歴史を祝うイベント・遺産ナイトに参加したスミスコーチ。
多くの催しが開かれる中、*42フェローシップイベントに顔を出したスミス氏は、その場で有色人種の若者たちとじっくり話す機会を持ちます。
*42フェローシップイベント
MLBで毎年4月15日に開催される「ジャッキー・ロビンソン・デー」のこと。当日はMLBで黒人選手として初めてプレーしたジャッキー・ロビンソン氏を称え全ての選手が背番号「42」を着用し試合に臨みます。
Embed from Getty Images 2025年
今年も試合前にジャッキー・ロビンソン・デーを祝う式典が開かれた。
そこでトラヴィス・スミス氏が語ったのは、大学を卒業するころに抱いた夢と挫折、そしてそれを乗り越えるきっかけともなったエピソードーー。
大学4年を終えたあとの進路について、当時のスミス青年は専攻プログラムで取得した運動科学の学士号を持って大学院に進みたいと考えました。
「あの時はおそらくアメリカ中のD1大学、すべてに連絡を取りました」とスミス氏。
「すべての大学にメールを送りましたが、返信は1校たりともありませんでした。」
アメリカのD1大学というのは、NCAA(全米大学体育協会)が定める3つのディビジョン(区分)「Division I、II、III」のうち、最上位の「I」に所属する大学のことを指します。
これらの大学は大規模なスポーツプログラム、充実した施設、高い競技レベルを誇っており、多くのアスリート教育や育成の実績があるのです。
ちなみに同氏がほぼ全校に送付したというD1大学ですが、アメリカに約360校もありました。
スミス青年はアメフト選手として全額奨学金を獲得していたにもかかわらず、実際の夢はアスリートを支える側の運動科学を応用したコーチになること。その頃はNFLチームに入ることを目標に据えていたそうです。
Embed from Getty Images 2025年
ドジャースタジアムに建てられたジャッキー・ロビンソンを称える像。
全米スポーツ最高峰の環境で学ぶ機会が与えられなかったトラヴィス・スミスは、とりあえず社会に一歩足を踏み出してみることを選択。実践から学ぶ過程でスペシャリストとしての専門性を体得していったわけです。
また同時期に末弟を亡くしたこと、それが氏に ”毎日を精一杯生き働くこと” を教えてくれたとも。
スミス氏は、42フェローシップイベントに集まった若者たちとの対話を通じて、アフリカ系アメリカ人の自分が味わった若き日の経験を例に、キャリアパスが長くかかろうとも歩み続けること、いっとき挫折したとしても人生を変える時間はあるということを伝えたのでした。
トラビス・スミス/現在
大谷翔平との交流
スミスコーチの仕事に懸ける情熱とひたむきな努力は大谷翔平選手とも相通じるものがあるようで。
dodgersnation
地元メディア『DodgersNation』は、”THE BEST DUO”とキャプション付きで2人の様子を紹介。
2024年の6月『FOXsports』のMLB担当ローワン・カブナー記者は、移籍し異なるリーグでMVP獲得が期待される絶好調の只中にいた指名打者・大谷選手についてスミスコーチにインタビュー。
ドジャース球団が個別プランの準備を進める中、同コーチが同選手と初めて会った日のことを証言。
「チームのヘルス・パフォーマンススタッフは、オオタニが我々のフィードバックに非常にオープンで、学ぶことに貪欲に興味を示すことに感激しました。(エンゼルスでの)ア・リーグMVPであることなど意にも介さぬ様子でコーチの自分に対しドジャースの運営方法、使用しているテクノロジー、そして盗塁を増やすためのテクニカルな手法について矢継ぎ早に質問を浴びせたのです。」
ESPNmlb
「ショーヘイの良いところは、彼がなにより意欲的だということです。彼にとって最善だと信じることなら、何だってやる気です。」とスミスコーチ。
こうして大谷選手は2024年シーズン、走者としてアグレッシブにプレーすることに重点を置き、コーチ陣と練習を重ね、ベースパス(塁間の走路)での構え方、ポジショニング、そして俊敏性を身につけ、前人未到の大記録へと結び付けていったのですね。
また2024年10月、『ロサンゼルス・タイムズ』紙のドジャース担当ライター、ジャック・ハリス氏にスミスコーチが大谷選手の素顔を明かしています。
「ショーヘイは元気いっぱいで、遊び心があって、よく冗談を言うんです。常に集中力だけを重視する選手もいますが、そういう選手はとかく集中力が続きません。それが彼ときたら最初は気楽にふざけて遊んでいたのに、いざフィールドに出たらもう本気モード全開でプレーするのですから、本当にユニークな存在です。」
ユニークさにかけてはフィジカル強化担当ここにありとばかりにスミスコーチだって負けていません。
2025年4月の終わり、ドジャースの地元メディア『DodgersNation(ドジャース・ネーション)』がSNSに一連の画像を投稿。そこで驚異の開脚ジャンプを披露したのが、まぎれもないスミスコーチ。
dodgersnation
スミスコーチ(後ろ姿)の開脚ジャンプにオオタニが笑顔で感心…からの~~
dodgersnation
「ヨッシャ!自分も」と真似たけど、ピーンと足が伸び切らないオオタニさんでした。
最後にスミスコーチのプライベートもちょっぴり公開…..。
現在、妻のミシェルさんに2人の娘さん、そして息子のトラヴィス・ジュニアくんとともにカリフォルニア州アーケイディアに住んでいるとのことです。
trav0727 Travis Smith
2025年
以上、ロサンゼルス・ドジャースのメジャーリーグでヘッドストレングス・コーチを務めるトラヴィス・スミス氏を紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。