こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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当時17歳でオールスター・フューチャーズゲーム出場のフローレス。
今から10年前の夏、米メディア各社は、メッツ(当時)のウィルマー・フローレス選手のトレード成立について大々的に報じました。
試合の真っ最中に噂を聞きつけたフローレス選手、16歳から過ごした思い入れの強いチームとの別れに、ゲーム中にもかかわらず涙を流したのですが、最終的にそのトレードは取止めに!
この一件は、彼のピュアなチーム愛がファンの感動を呼んだひとつの出来事となりました。
今回は、こちらのトレードにまつわるエピソードについて振り返ります。
どうぞ最後までお付き合いください。
MLB史に残る珍事とは
その後、米テレビネットワーク『CBSスポーツ』はこのニュースを取り上げ、「フローレスは泣きながらプレーしたが試合にとどまり、結局トレードは実現しなかった」と報道。
いったい何があったのでしょう。
チーム生え抜き選手がトレード?!
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現地7月29日(日本時間30日)ダグアウトで涙が止まらない。
2015年、現地7月29日(日本時間30日)にウィルマー・フローレス選手が最終打席に立つと、観客席からは一斉にスタンディングオベーションが起こりました。
というのもこれより先に、全米メディアが「メッツはブルワーズのカルロス・ゴメス獲得のためにザック・ウィーラー投手とフローレスのトレードを決定した」と試合中に報じたから。
10代でメッツと契約したベネズエラ出身の23歳は球団生え抜きであり、ニューヨークのファンは期待の若手との別れを心から惜しんだのです。
地元ケーブルテレビ局『SNY(SportsNet New York)』実況も、「ほとんどのファンが、フローレスのトレードを知って温かい声援を送っています。 ”まだ試合に出ている” 彼への良いはなむけになります」とバッターボックスに立つ背番号「4」へドラマティックにコメント。
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ショートの守備についても涙を流す。
ただ、実況にもあったように、通常であれば選手はトレードされるとすぐに試合から外されるものですが、フローレスはそうはなりませんでした。
トレード不成立となる理由については、選手の個人情報を守るためのHIPAA法(医療情報のプライバシーとセキュリティを保護するための連邦法)によって、その詳細を明らかにすることは不可能。
後日指摘された、カルロス・ゴメスの股関節への懸念からメッツ側が急遽取引を取り止めた、というのも憶測の域を超えるものではありません。
ただスポーツメディアとしては一刻も早く最新ニュースを世に届けたい…。
そんな思いも手伝い事実を先行する形で発表した結果が、あのような騒動となってしまったようです。
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報道を受け、最終打席に立つ背番号4にファンからスタンディングオベーション。
トレード騒動のその後
こうして複数のメディアが報じたトレード話は不成立となったことが試合後に改めて発表され、ウィルマー・フローレスはメッツに残留することに。
それから2日後、彼は地区ライバルのナショナルズとの首位攻防戦に「6番・二塁手」として先発出場。
MLB.comによると、例の出来事をよく知っていたファンは、彼がフィールド上でダイビングキャッチを決めればスタンディングオベーション、1点得点した後もスタンディングオベーションの歓迎ぶり。
そして訪れた最大の見せ場ーー延長12回でフローレスはメジャー初の決勝ホームランを放ち、チームに勝利をもたらす劇的幕切れを演出ーー。
この勝利により、メッツはナショナルリーグ東地区首位のナショナルズとのゲーム差を2に縮めました。
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現地7月31日、12回裏にサヨナラホームランを放ち喜びはピークに。
フローレス本人も声をうわずらせ興奮気味にコメント。
トレード報道はちょっと堪(こた)えたよ。自分はニューヨークが好きだし、ファンも素晴らしいからね。試合中には彼らの声援がよく聞こえた。それには本当に感謝したい。このホームランは自分にとって大きな意味を持つよ。
それから10年…いま現在
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今や、リーダーシップも買われスペイン語の通訳としても高く評価。
2018年シーズン終了後のオフ、FAとなっていたウィルマー・フローレスはプロ入りから12年過ごしたメッツに別れを告げ、2019年1シーズンをダイヤモンドバックスと契約。
その後、2020年から現在に至るまでの6シーズンは、サンフランシスコ・ジャイアンツに在籍。
10年前のトレード騒動から10年…この間、内野手の全ポジションで100試合以上のスタメン出場経験を積んだユーティリティープレーヤーは、この8月6日で34歳の誕生日を迎えます。
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7月28日、ジャイアンツのベテランとして熱心にファン交流(左手前)。
今シーズンの成績は8月初旬時点で、97試合に出場、打率.249、12本塁打、59打点。
所属チームは今、ナショナルリーグの激戦区(西地区)で、ドジャース、パドレスに次ぐ3位。ワイルドカード争いでは5位につけており、ポストシーズン進出をかけ全力プレーを続けているところです。