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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
優れた監督に求められる要素
年間162試合にも及ぶレギュラーシーズンをこなすメジャーリーグベースボール(MLB)の世界。
予測不可能な波乱や浮き沈みを切り抜け、クラブハウス全体をまとめ上げるフィールドマネージャーの存在は必要不可欠なもの。
優れた監督は、最も有益なラインナップをオーガナイズし、的確な活用法にも精通しています。
そしてそれらの要素は、世界一を目指すプレーオフではいっそう重要になってくるでしょう。
ロサンゼルス・ドジャース率いるデーブ・ロバーツは、2024年のナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)でチームを王者へと導き、史上25人目4度目の優勝を成し遂げた監督となり、
その後は指揮官として2度目のワールドシリーズ制覇。
さらにまた2025年も、NLCSを制しワールドシリーズ進出を果たしたばかり。
そこで、今回取り上げるテーマがこちら、
・メジャーリーグベースボール(MLB)史上、最も勝利を収めた監督たち
MLBで監督を務めた人物の勝利数データリストからピックアップして掘り下げていきます。
それでは、さっそく始めましょう。
ワールドシリーズ史上最も勝利を収めた監督
ワールドシリーズ(WS)で優勝回数が多数の監督にはどのような人物がいるでしょうか?
❶7回(ジョー・マッカーシー、ケーシー・ステンゲル)
❷5回(コニー・マック)
❸4回(ウォルター・オルストン、ブルース・ボウチー、ジョー・トーリ)
❹3回(スパーキー・アンダーソン、ミラー・ハギンズ、トニー・ラルーサ、ジョン・マグロウ)
詳しく見ていきます。
ワールドシリーズ優勝回数最多は7回
まず、ワールドシリーズ(WS)優勝回数最多の7回を誇る監督は2人 。
ジョー・マッカーシー
1887年4月21日生まれ~1978年1月13日(90歳没)
Embed from Getty Images 1937年
ヤンキース指揮官となって7シーズン目のマッカーシー。
ナショナルリーグとアメリカンリーグ両方でペナント(公式戦)を制した初めての監督。
1926年にカブスの監督に就任し、4年目にナ・リーグ優勝を果たすも、1930年シーズンで監督を解任。
1931年からヤンキースの監督に就任すると、1946年シーズンまで指揮を執り7回のWS優勝。
その後、レッドソックスでも2シーズン監督を務めました。
ケーシー・ステンゲル
1890年7月30日生まれ~1975年9月29日(85歳没)
Embed from Getty Images 1950年
現役時代は歯科医を志し、夏は野球選手、シーズンオフには歯科大学に通っていた。
ブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)、ブレーブスでの監督在職中はこれといった成果は出せずじまい。
それが一転して、
ヤンキースにおける12年間の監督生活のうち、リーグ優勝10回、ワールドシリーズ制覇7回という実績を残しています。
1962年からは ”新設球団” メッツの初代監督に就任。
ただこちらは打って変わり、毎年100敗以上を喫する最下位に沈みました。
ワールドシリーズ制覇5回は1人
コニー・マック
1862年12月22日生まれ~1956年2月8日(93歳没)
Embed from Getty Images 1930年
カージナルス監督(右)と握手する当時67歳のマック氏。
パイレーツで3年、アスレチックスで50年と、87歳までの計53年間にわたる監督歴。
9回のア・リーグ優勝と5回のワールドシリーズ制覇を成し遂げています。
アスレチックスを率いていた長い間、一度も退場処分を受けたことがなく、
スーツ&ハット姿で采配を振るい続けたミスター・ジェントルは、20世紀前半のMLBの象徴でもありました。
ワールドシリーズ優勝4回は3人
ウォルター・オルストン
1911年12月1日生まれ~1984年10月1日(72歳没)
Embed from Getty Images 1954年
ブルックリンからロサンゼルス移行期を支え、球団を強豪へと押し上げた。
1954年から1976年の23シーズンにわたってドジャースの監督を務め、ワールドシリーズでは4回優勝へと導きました。
就任の翌年43歳で、それまで何度も屈辱を味わってきたヤンキースを破り球団史上初のワールドチャンピオンに。
任期中の最後にWSで世界一の座についたのは初制覇から10年後、53歳で迎えた1965年でした。
ブルース・ボウチー
1955年4月16日生まれ(70歳)
Embed from Getty Images 2025年
レンジャーズは9月29日(日本時間30日)、ボウチー監督の退任を発表。
ここまで来てようやく、聞き覚えのあるご存命の人物が登場。
プロ引退後はパドレス傘下のマイナー監督を歴任したあと、正式に同球団のメジャー監督に。
ただ、ワールドシリーズ制覇を達成したのは2007年、ジャイアンツ監督に就任して以降。
2023年にレンジャーズを球団創設初のワールドシリーズ優勝に導いたことで、
✓ 監督では史上3人目の両リーグでのワールドシリーズ優勝
✓ 監督として史上6人目となるワールドシリーズ制覇4回を記録
これらの功績から、野球殿堂入りが確実視される現代の名将のひとり。
ジョー・トーリ
1940年7月18日生まれ(85歳)
Embed from Getty Images 1996年
就任1年目56歳の時にヤンキースをWS優勝へ導く。
1977年途中にメッツの監督に就任。
当初は選手兼任監督という立場で、たまに代打として試合に出場することもあったといいます。
それから、監督として3度の解雇を経験したあと、1996年からヤンキースで指揮を執ることに。
のちに日本から松井秀喜が移籍したことで、日本でもよく知られた存在ですが、
✓ ヤンキース監督時代の12年間すべてでポストシーズン進出
✓ 着任1年目の1996年に18年ぶりのWS優勝
✓ 1998年から2000年にかけワールドシリーズ3連覇達成
退任後はドジャースでも3シーズン、監督を務めました。
ワールドシリーズ3回優勝は4人
スパーキー・アンダーソン
1934年2月22日生まれ~2010年11月4日(76歳没)
アメリカンリーグ(タイガース1回)、ナショナルリーグ(レッズ2回)の両方でワールドシリーズを制した最初の監督。
タイガース時代の1984年にはワールドシリーズでパドレスを4勝1敗で下し、
同年、自身初の年間最優秀監督賞を受賞。
ミラー・ハギンズ
1878年3月27日生まれ~1929年9月25日(51歳没)
1920年代、ヤンキース黄金期を支えた監督。
最初のカージナルスでは選手兼任だった1913年から5年間率いるも、優勝争いには絡めず。
1918年にヤンキースの監督を任されると、リーグ優勝争いに関与する手腕を発揮。
チームを常勝軍団へと引き上げました。
ア・リーグチャンピオンを6回、ワールドシリーズを3回制覇し、当リスト入り。
トニー・ラルーサ
1944年10月4日生まれ(81歳)
Embed from Getty Images 1984年
Wソックス監督時代、審判とやり合うラルーサ監督(右手前)。
プロ引退後は、ロースクールに通いフロリダ州立大学から法務博士の学位を得たものの、法曹界には進出せず。
1979年のシーズン中、弱冠34歳でホワイトソックス指揮官に大抜擢。
その後のキャリアは、
✓ 44歳の時に、ア・リーグのアスレチックスで1回
✓ 61歳、66歳の時、ナ・リーグのカージナルスで2回
✓ 両リーグでワールドチャンピオンを達成した史上2人目の監督
となり、
両方のリーグ優勝経験を持つ史上6人目の監督に。
さらに、両リーグにおいて最優秀監督賞を受賞した2人目の監督ともなりました。
ジョン・マグロウ
1873年4月7日生まれ~1934年2月25日(60歳没)
あらゆる戦術を考案し、とことん勝利にこだわった猛将として知られ、
ニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)で、ワールドシリーズ優勝3回を果たしています。
監督在任30年のうち、同チームがシーズン成績で上位4位以下となったのはわずか4度だけ。
また、選手時代と合わせ計131回の退場処分を受けており、
この数は2007年にボビー・コックス(ブレーブス監督)が更新するまでMLB最多でした。
2000勝以上の勝利数を持つ監督
以下、顔ぶれを見ると、前出の「ワールドシリーズ史上最も勝利を収めた監督」たちが重ねてランクインしていることがわかります。
❶コニー・マック 勝利3731(敗戦3948)
❷トニー・ラルーサ 勝利2902(敗戦2515)
❸ジョン・マグロウ 勝利2763(敗戦1948)
❹ボビー・コックス 勝利2504(敗戦2001)
❺ジョー・トーリ 勝利2326(敗戦1997)
❻スパーキー・アンダーソン 勝利2194(敗戦1834)
❼ダスティ・ベイカー 勝利2183(敗戦1862)
❽ブルース・ボウチー 勝利2171(敗戦2185)
❾バッキー・ハリス 勝利2158(敗戦2219)
❿ジョー・マッカーシー 勝利2125(敗戦1333)
⓫ウォルター・オルストン 勝利2040(敗戦1613)
⓬レオ・ドローチャー 勝利2008(敗戦1709)
詳しく見ていきます。
監督としての勝利数とワールドシリーズ
1位 コニー・マック
ワールドシリーズ出場 9回
ワールドシリーズ制覇 5回
50年を超える監督生活の中で、通算3731勝(3948敗)の記録はMLB史上最多勝利&敗戦数。
1910年、11年に1回目の、1913年の2年ぶり単独優勝を挟み、1929年と30年に2回目となるWS連覇を達成しました。
2位 トニー・ラルーサ
ワールドシリーズ出場 6回
ワールドシリーズ制覇 3回
前述の通り、2011年に最後のWS優勝を果たした10年後、2021年に76歳にして再びホワイトソックス監督に招聘されます。
このときのメジャーリーガー全員、氏の最初の監督就任時点で誰一人生まれていませんでした。
同年6月初旬、タイガース戦で2764勝目を挙げ、監督勝利数単独2位に到達しています。
3位 ジョン・マグロウ
ワールドシリーズ出場 10回
ワールドシリーズ制覇 3回
1904年リーグを制したあと、ワールドシリーズでボストン・アメリカンズ(現レッドソックス)との対戦を拒否し、未開催となった時の監督。
監督通算勝利数は長らく歴代2位を保持したものの、2021年にラルーサ監督により抜かれました。
4位 ボビー・コックス
1941年5月21日生まれ(84歳)
ワールドシリーズ出場 5回
ワールドシリーズ制覇 1回
ワールドシリーズ優勝は1995年ブレーブス監督時代に、アトランタ移転後初38年ぶりの世界一が1回きり。
2010年シーズン勇退までに、ブレーブス25年間の勝利数は2149勝、ブルージェイズ在籍時の勝利数を加えた通算勝利・敗戦数は堂々の歴代4位。
5位 ジョー・トーリ
ワールドシリーズ出場 6回
ワールドシリーズ制覇 4回
ヤンキース監督時代の2007年6月初旬に、MLB史上10人目の監督通算2000勝を達成。
MLB史上初めて「選手として2000本安打、監督として2000勝」を達成した人物となり、後にギネス世界記録に認定されました。
6位 スパーキー・アンダーソン
ワールドシリーズ出場 5回
ワールドシリーズ制覇 3回
レッズの監督を電撃解任された約半年後、1979年シーズン途中でタイガースの監督に就任。
優勝争いに絡めるチームづくりに着手すると、1983年には地区2位にまで上昇。
翌84年、ついにチームはシーズン最初の40試合でMLB記録となる35勝をあげ、104勝58敗で地区優勝を飾り、プレーオフでも3戦全勝してリーグ優勝を果たすまでになりました。
7位 ダスティ・ベイカー
1949年6月15日生まれ(76歳)
ワールドシリーズ出場 3回
ワールドシリーズ制覇 1回
Embed from Getty Images 2023年
監督最終年のリーグチャンピオンシップシリーズでは退場劇も演じた。
5球団目のアストロズを最後に、2023年に監督業から退いたベイカー氏が7位にランクイン。
2022年5月初旬、同球団本拠地ミニッツメイドパーク(現ダイキン・パーク)で、監督通算2000勝を達成。
同年は監督として自身3度目のワールドシリーズ進出を果たし、監督就任25年目にして初のワールドシリーズ優勝を達成。
73歳でのWS制覇はメジャーリーグにおける歴代最年長記録となりました。
8位 ブルース・ボウチー
ワールドシリーズ出場 5回
ワールドシリーズ制覇 4回
パドレスで指揮を執っていた1999年4月、44歳のときに通算338勝をあげ、監督としての勝利数で球団記録を更新。
また、ジャイアンツ監督時代の2019年、史上11人目となる通算2000勝に到達。
最後の球団レンジャーズでは、MLB新記録であるポストシーズン敵地11連勝を成し遂げています。
9位 バッキー・ハリス
1896年11月8日生まれ~1977年11月8日(81歳没)
ワールドシリーズ出場 3回
ワールドシリーズ制覇 2回
選手兼任を含めメジャーリーグ5球団で監督を務め、3度のア・リーグチャンピオンと2回のワールドシリーズを制覇。
1956年を最後に引退。29シーズンにわたる監督時代で、通算勝利数は2158勝に及びました。
10位 ジョー・マッカーシー
ワールドシリーズ出場 9回
ワールドシリーズ制覇 7回
監督キャリアでは3球団(カブス、ヤンキース、レッドソックス)を指揮し、中でも勝利数最多となったのがヤンキースでの1932年シーズン。
戦績は、156試合、107勝47敗で、監督就任以来自身初のワールドシリーズ優勝年となりました。
11位 ウォルター・オルストン
ワールドシリーズ出場 7回
ワールドシリーズ制覇 4回
監督就任時は選手としての実績がなく無名であったものの、のちに最優秀監督賞を3度受賞。
最後に在籍したドジャースでは、1976年シーズン終わりに指揮をトミー・ラソーダに譲り勇退。
24年間を通じ、レギュラーシーズンで通算2040勝、ポストシーズンには23勝をあげました。
12位 レオ・ドローチャー
1905年7月27日生まれ~1991年10月7日(86歳没)
ワールドシリーズ出場 3回
ワールドシリーズ制覇 1回
ブルックリン・ドジャースからライバルチームのニューヨーク・ジャイアンツに引き抜かれ、7年目にWS優勝。
1951年プレーオフで古巣ドジャースと対戦し、リーグチャンピオンに。
この試合の第3戦、9回裏2点リードされた状況で選手が打席に入る際にドローチャーが、
「今、君がここで逆転サヨナラ本塁打を打つとお告げがあった」と囁くと本当に実現したという逸話が残っています。
【番外編】レギュラーシーズン勝率ランキング
- 2025年シーズン現在
- ランクインできる監督はレギュラーシーズン通算1000試合以上出場
❶デーブ・ロバーツ 勝率.621(1520試合)944勝576敗
❷ジョー・マッカーシー 勝率.615(3487試合)2125勝1333敗
❸ジム・マトリー 勝率.611(1114試合)658勝419敗
❹チャールズ・コミスキー 勝率.608(1410試合)839勝540敗
❺フランク・セレー 勝率.598(2180試合)1284勝862敗
❻ビリー・サウスワース 勝率.597(1770試合)1044勝704敗
❼フランク・チャンス 勝率.593(1620試合)946勝648敗
❽ジョン・マグロウ 勝率.586(4769試合)2763勝1948敗
❾アーロン・ブーン 勝率.584(1194試合)697勝497敗
❿アル・ロペス 勝率.584(2425試合)1410勝1004敗
そのうち現役の監督は?
上記リストにあるとおり、この先まだまだ勝率UPが見込める現役監督は2人だけ。
1位 デーブ・ロバーツ
1972年5月31日生まれ(53歳)
勝率.621
1520試合
944勝576敗
Embed from Getty Images 2016年
監督就任初年度に地区シリーズ(ディビジョンシリーズ)優勝を果たした。
●2025年レギュラーシーズンを終えた時点で、デーブ・ロバーツは勝率1位の監督
●2016年からロサンゼルス・ドジャースを率いる
●就任1年目にして地区優勝し、最優秀監督賞を受賞
●2024年までにワールドシリーズ優勝2回(2020年、2024年)
9位タイ アーロン・ブーン
1973年3月9日生まれ(52歳)
勝率.584
1194試合
697勝497敗
Embed from Getty Images 2018年
監督就任1年目から「退場王」の片鱗を垣間見せていた(笑)。
●試合数・勝敗差はあるものの、アル・ロペスと並び勝率9位タイのアーロン・ブーン
●2018年ニューヨーク・ヤンキース監督に就任
●2019年指揮官として2シーズンでいずれも100勝以上を記録したMLB史上初の監督
●2022年から25年シーズンまで4年連続最多退場宣告を受けてきた退場王
勝率
勝率とは勝利した割合を表し、レギュラーシーズンの順位決定とポストシーズンの出場権を決定するために使用されます。
計算方法:
勝試合数 ÷ (勝試合数 + 敗試合数)