こんにちは!
ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページ――。
Embed from Getty Images
ドジャースの不可解な動きに啞然!
新シーズン開幕を一ヶ月後に控えた今、何とも不可解なニュースが飛び込んできたものです。
ドジャースは2月一週目の週末、
チームへの献身的な姿勢とポケモン好きな一面が話題を呼んだ人気選手を手放し、一度チームを去った選手を再び呼び戻すという決断を下しました。
そう、ブルペンを支えた左腕アンソニー・バンダ投手をDFA(戦力外枠出し)とし、シンシナティ・レッズからウェーバー公示されていたベン・ロートベット捕手を獲得したのです。
バンダ(32歳)は、2024年にドジャースに定着するまで7球団を渡り歩いてきた苦労人。
派手さはないものの、ワールドシリーズ連覇を支えた貴重なリリーフ陣の一人として、通算119試合で防御率3.14という安定の成績を残しました。
一方、ロートベット(28歳)にとっては、昨季後半戦に続くドジャースへの復帰となります。
彼は昨年、捕手のバックアップとして加入後、スミスの負傷離脱にともないスタメン捕手として躍動。打率は.224と振るわなかったものの、巧みなリードで投手陣から絶大な信頼を得ました。
オフに移籍したレッズが今回、新戦力を補強した煽(あお)りを受け枠を外れたところを、ドジャースがすかさず再獲得した形です。

「再獲得」の経緯がややこしくない?
今回は、なぜドジャースは、
成績も良く給料も安かったバンダをクビにして、一度放出したロートベットを取り返したのか?
という、ファンが一番気にかかる裏事情について取り上げます。
メジャー特有の「ロースターに関わるルール」や「選手契約・異動制度」とも絡め、ご一緒に詳しく掘り下げていきましょう。
メジャーは「枠」をめぐる椅子取りゲーム
DFA、ウェーバー公示と再獲得の意図
そもそも、MLBのニュースでよく耳にするDFA(Designated for Assignment)とは何のことか?
直訳すると、譲渡指定となりますが、実際の意味に近づけて言えば、“40人枠(メジャー契約枠)からいったん外された状態” を指します。
今回のケースに当てはめると、ドジャースはロートベット捕手を再び迎え入れたかったものの、すでに40人枠は満杯。
そのため、誰かを枠から外して空きを作る必要があり、最終的にバンダ投手がその対象としてDFAとなった、というプロセスになります。
次に少し分かりづらいのが、ウェーバー公示と再獲得(クレーム)の仕組みです。
これは、チームが選手をDFAにした瞬間から始まる“公開市場”のようなもので、簡単にいうと「この選手、欲しいチームはありますか?」と全30球団に問いかける制度。
今回のロートベットのケースに当てはめると、流れは次のように整理できます。
- ロートベットは、もともとドジャース所属だった。
- オフに一度40人枠から外れ、そのタイミングでレッズがウェーバーで彼を獲得した。
- しかしレッズが大型補強(スアレス獲得)を行った結果、ロートベットは再び枠の “押し出し対象” となった。
- そこでドジャースが「空いたなら戻そう」と手を挙げ、ウェーバーで再獲得(Claim)した。
ワールドシリーズ貢献者のバンダがなぜ?

それでもなぜバンダを手放したの?
バンダは年俸調停2年目で推定年俸162万5000ドル(約2億5500万円)と安価であり、中継ぎとしての実力も申し分ありません。
それにもかかわらず放出されたのは、ドジャースの「40人枠」における他の投手との兼ね合いが理由です。
ニュース以前に触れておくと、今オフのドジャースの40人枠には、バンダを含む6人の左腕リリーフがひしめいていました。
しかし、よりシリアスなのは バンダがすでに「マイナー降格オプション」を使い切っていたという点です。
もし彼をロースターに残す場合、代わりにマイナーへ送ることができる若手を手放さなければならず、結果として枠の融通が利かなくなるリスクがありました。
この「オプションなし」という条件が、編成上の足枷になっていたわけです。
メジャーには、オプションが切れた選手は本人の同意なしにマイナーへ降格させられない というルールがあります。
今回の状況をまとめると、以下のようになります。
- バンダはベテランでオプションがないため、メジャー枠(26人)に残すか、DFAにするかの二択しかない。
- 若手であれば、成績や枠の都合に応じてマイナーへ“預ける”ことができ、ロースターを柔軟に回せる。
- ドジャースは、将来性のある若手を失うリスクを避けるため、あえてバンダをDFAにする判断を下した。
制度の冷徹さもさることながら、ドジャースはあまりにも良い選手を抱えすぎており、「全員メジャー40人枠に入れておくことができない」という悩ましくも贅沢な背景があったのです。
Embed from Getty Images 2026年
1月末にドジャーフェスト 2026に参加したばかり。
ひとえに、
今回のバンダ放出は、決して実力不足によるものではなく、枠というパズルを完成させるための泣く泣くの選択だった――と言い換えることができそうです。
バンダは素晴らしい投球を見せていましたが、ドジャースの層の厚さと、MLB特有の複雑な契約ルールが重なり、結果として枠から押し出される形になりました。
今後はトレードの可能性を探りつつ、ウェーバーにかけられることになります。
もし他球団が手を挙げなければ自由契約となりますが、これだけの実績を残している投手だけに、名乗りを上げる球団はすぐに現れるはずです。
ドジャースとしては、ウェーバーを通過してマイナーでキープできれば理想ですが、現実的にはすぐにどこかが獲得に動く可能性が高いでしょう。
いずれにせよ、バンダの今後の行き先は注目を集めることになりそうです。
ロートベット捕手が戻ってきた理由
ところで、ロートベットもバンダと同様に、マイナー降格オプションを使い切っています。
だからといって、彼が期待の若手ラッシングを抑えて、正捕手スミスのバックアップ(控え)の座を確約されたわけではありません。
じつはなんと…開幕前に彼が再びDFA(戦力外枠出し)になる可能性すらあるのです。

は?意味が分かんないんですけど…
では、なぜドジャースはロートベットを獲得したのでしょうか?
理由はシンプルで、スミスとラッシング以外に、メジャーレベルの捕手の控えが不足していたからです。
Embed from Getty Images 2025年
昨シーズン9月のDバックス戦にて。
ドジャースの狙いはこうです。
「もしロートベットが再び余剰になっても、ウェーバーを通過すれば40人枠を使わずにマイナーでキープできる」
――そんな“保険”としての価値を見込んでいるのです。
もちろん、他球団が手を挙げて獲得していくリスクはあります。
それでもドジャースにとってロートベットは、「キープできれば大きい、最高レベルのバックアップ捕手」という位置づけ。
今回の再獲得は、その戦略的な意図を反映した動きと言えるでしょう。
常勝軍団の戦略的ロースター管理術
Embed from Getty Images
「せっかく獲得したのに、すぐに放出するかもしれない」――そんな矛盾のような状況は、常勝軍団ドジャースでは日常的に起こり得ること。
ドジャースは「今すぐ起用するため」だけでなく、「まずは自分たちで確保(Claim)し、40人枠のパズルを最適化する」という、まるで高度なカードゲームのようなロースター戦略を展開しています。
MLBでは一度ウェーバーにかけると、他球団から獲得の申し出がなければ、その選手をマイナーへ送ることが可能となります(これをアウトライトと言います)。
ドジャースはロートベットを “40人枠からは外したいが、組織には残したい” という意図を持っており、他球団が動かないタイミングを見計らってDFAに踏み切ることもあるでしょう。
そして、たしかにバンダの放出はファンにとって寂しいニュースでした。
ただ、この“戦略的DFA”を含むロースター運用について、大谷翔平選手が強い信頼を寄せている点は見逃せません。
絵本『Decoy Saves Opening Day』の出版に合わせたNBCのインタビューで、大谷は「フロントが勝つために最善を尽くしていることを100%信頼している」と語り、球団のチーム作りそのものを肯定しました。
ドジャースフロントはルールの限界まで制度を使い切り、勝つための戦力を整える。
一見すると非情に映るDFAやウェーバーのパズルも、すべては “世界一”という目標から逆算された戦略。
そのように考えると、
今回のバンダ投手のDFAとロートベット捕手の再獲得も、その戦略の延長線上にあると言えるかもしれません。
