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ちょっかんライフです。
日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページーー。
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ドジャース「未来を信じ今を勝ち獲る」
ロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズ2連覇という栄光の裏で、前例のない「マネーゲーム」を展開しています。
彼らは大谷翔平ら主力選手との契約において、年俸の大部分を延滞金として後払いに設定することで、現在のぜいたく税の負担を軽減しつつ大型補強を繰り返してきました。
しかし、その戦略は、
将来的にキャッシュフローを圧迫する「10億ドル(約1500億円)を超える巨大なツケ」を抱えることを意味します。
本記事では、過去最高のぜいたく税と積み上がる延滞金の相関関係から、ドジャースの潔いまでの覚悟を紐解くことにしました。
それではさっそく見ていきましょう!
2047年まで続く10億ドル超の未来負債
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ワールドシリーズ優勝パレードでファンが沿道に押し寄せる。
後払い債務の衝撃
絶対的クローザー、エドウィン・ディアスとの契約によって総額6900万ドルをドジャースが全額支払うには2047年までかかることになりました。
同球団にとって、この契約は「後払い」義務をさらに積み重ねる形となり、対象となる選手への支払い総額はついに10億ドル超(約1500億円以上)を突破。
その当事者には、ディアスをはじめ、大谷翔平、ムーキー・ベッツ、ブレイク・スネル、フレディ・フリーマン、ウィル・スミス、トミー・エドマン、タナー・スコット、そしてテオスカー・ヘルナンデスの9人が名を連ねています。
後払い債務の内訳
合計:10億6450万ドル / 約1650億円
| 選手名 | 契約総額(A) | 後払い額$(B)/約日本円 | 現役中受取額 (A-B) | 後払い割合 | 支払期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大谷翔平 | 7億ドル | 6億8000万/1054.0億円 | 2000万ドル | 97.1% | 2034 – 2043 |
| M・ベッツ | 3.65億ドル | 1億2000万/186.0億円 | 2億4500万ドル | 32.8% | 2033 – 2044 |
| B・スネル | 1.82億ドル | 6600万/102.3億円 | 1億1600万ドル | 36.3% | 2035 – 2046 |
| F・フリーマン | 1.62億ドル | 5700万/88.4億円 | 1億500万ドル | 35.2% | 2028 – 2040 |
| W・スミス | 1.4億ドル | 5000万/77.5億円 | 9000万ドル | 35.7% | 2034 – 2043 |
| T・ヘルナンデス | 1.36億ドル | 3200万/49.6億円 | 1億400万ドル | 23.5% | 2030 – 2039 |
| T・エドマン | 7400万ドル | 2500万/38.8億円 | 4900万ドル | 33.7% | 2037 – 2044 |
| T・スコット | 5400万ドル | 2100万/32.6億円 | 3300万ドル | 38.9% | 2035 – 2046 |
| E・ディアス | 6900万ドル | 1350万/20.9億円 | 5600万ドル | 19.4% | 2036 – 2047 |
| 合計 | 18億8250万ドル/約2917億円 | 10億6450万/1650.0億円 | 8億1800万ドル/約1267億円 | 56.5% | 2028 – 2047 |
数字から見えるドジャースの特殊性
この表で特に注目したいのが、次の点でしょう。
大谷ルールの衝撃: ほとんどのスター選手が年俸の2割〜4割程度を後回しにしているのに対し、大谷選手だけが97%以上という低サラリーで現役生活を送る設定。契約総額も10年7億ドル(約1085億円)ですが、現役プレー中に受け取るのは合計2000万ドル(約31億円)のみ。残りの1000億円以上は、契約終了後の10年間で分割払いされます。
1650億円のIOU(借用書): ドジャースは2900億円超の選手を買い揃えながら、そのうちの1650億円分については「今は払わないからね」という約束(IOU)だけでチームを運営していることになります。
支払いがピークを迎えるのは2038年と2039年、
ちょうど、大谷、ベッツを含む複数の後払い期間が重なり、2038年だけで1億230万ドル(約150億円)、翌39年もさらに同額以上を、その頃には既に引退しているであろう選手たちへキャッシュで支払う、
という衝撃的なドジャースの財政状況が明らかになりました。
連覇の代償は過去最大のぜいたく税
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ワールドシリーズで2連覇を果たしバスの上で優勝を祝う。
史上最高額の税 その理由
さらに強調すべきは、
「ぜいたく税」とのつながりにおいて、後払いで現在の税負担を先送りしてきましたが、
今季は、
前年の1億300万ドル(約159.7億円)を大幅に更新する過去最高額のぜいたく税が課される見通し
だということ。

2025年シーズンはもうすでに終了したのに「見通し」とは?
MLBの制度上、ぜいたく税の金額はすぐには固まらず、出来高などの精算が終わった後、正式な年俸総額を確定してから最終的な税額が決まる仕組み。
AP通信、ESPNやThe Athletic、CBSなど主要メディアは、CBA(労使協定)の計算式に基づき、ほぼ確定に近い推計値を出すのが毎年の慣例です。
これを踏まえ、ESPNが2025年12月下旬に打ち出した推計データから見ていくと、
主にドジャースが過去最高額の税を支払う理由として挙がるのが、以下3つのルール違反。
ぜいたく税 3つのルール
1. 超過に対するペナルティ
MLBは毎年、「これ以上年俸を使うと追加の税金を払ってください」というぜいたく税の基準額(2025年は2億4100万ドル)を設定。
このラインを1ドルでも超えると、超えた分に対して課税される仕組みです。
ドジャースは大谷や山本由伸のような大型契約選手の影響で、年俸総額がこの基準を大きく上回り(=この2人の平均年俸が年俸総額を押し上げ、史上最高の課税対象額に到達)、
それも伴って、ぜいたく税の対象に。
2. 連続超過による増税
繰り返し基準を超えるチームには、年数に応じ税率が段階的に上がります。
・超過年数1年目: 基本税率20%
・2年連続: 30%
・3年連続以上: 50%
ドジャースは複数年連続で基準を超えているため、MLBのルール上、リピーター(常習超過球団)として扱われて税率がより高く設定。
強力な戦力を維持し続けることの代償として追加の負担を支払っている状態です。
3. *コーエン・タックス(高額超過)の適用
基準額を大幅に(6000万ドル以上)超える球団には、追加の付加税(サーチャージ)が課され、一部の超過分には最大110%(1ドル使うごとに1.1ドルの罰金=実質2.1ドル払うイメージ)という驚異的な税率が適用されます。
ドジャースのように基準額を大きく突き抜ける球団は、この超高額ゾーンに入る可能性が高く、結果としてぜいたく税が恐ろしく跳ね上がってしまうわけです。
*コーエン・タックス
2022年、メッツのオーナーであるスティーブ・コーエン氏の巨額補強を抑止するために新設された最高レベルのぜいたく税区分の通称。
勝利の裏側に積み上がるぜいたく税
ドジャースは、前述の繰り延べ支払いによって計算上の年俸は抑えられているものの、主力選手を大量に抱えた結果、
課税対象となる年俸総額は4億1730万ドル(約646億8150万円)という、ほとんどの球団が到達しない領域に達しました。
そして、
2023年メッツの年俸総額3億7470万ドルを超えた、このメガ年俸の ”使いすぎ” に対し課される罰金は、史上最大の1億6940万ドルで、2年合計2億7240万ドルにのぼります。
メッツのぜいたく税:9160万ドル/約1419億円(2番目の高額)
ヤンキースのぜいたく税:6180万ドル/約958億円(3番目)
ドジャースが支払うこの巨額の税は、
マーリンズやホワイトソックスのようなスモールマーケット球団の年間総年俸(60〜80億円)と比べると、じつに2〜3チーム分まかなえるほどの規模、
・・・というのですから驚きです。

That’s unbelievable!
ぜいたく税が増える4つのステップ
ぜいたく税が積み上がっていく構造についてまとめると、
ドジャースの数字が膨れ上がる流れ(1ドル=155円換算)
ーードジャースは大谷選手らの後払い契約によって将来に巨額の負債、約1650億円を抱えつつ、同時に現在も過去最高となる約262億円ものぜいたく税を支払うことになるでしょう。
未来と現在の両方で最大級のコストを投じ、ただ勝利だけを追い求め続ける。
その圧倒的な資金投入こそが、ワールドシリーズ連覇という栄光を支える妥協なき経営基盤と言えそうです。
