時々テレビでお見かけしていたアフロヘアの女性が気になっていました。
お名前は、稲垣えみ子さん。
調べてみると、50歳で大手新聞社の記者を辞められたあとの暮らしぶりが、ヘアスタイルに増してユニークだったので、私と同じように気になったあなたにもご紹介したいと思います!
そもそも何故”アフロヘア”に?!
のちに朝日新聞の名物記者として有名となる稲垣えみ子さんですが、元々はご本人曰く、”シャイ”で、”変なプライド”だけはある、パッとしない平凡な日々を送る一記者に過ぎなかったのだとか・・
それが、いまから19年ほど前のある日、大阪府警のサツ回りを担当していた稲垣さんは、警察官と記者間の懇親会でカラオケを楽しんでいたそうです。
そして、そこに、場を盛り上げる小道具の一つとして置かれていたモノ
それこそがナント・・アフロのカツラ!!!
そのカツラは、警察官たちの頭を順に回っていくのですが、意外にも屈強でコワモテの面々が、丸いもじゃもじゃを頭に乗せてみると皆がみんなビックリするほど可愛く似合ってしまったそうです。
そんな情景を爆笑して見ていた稲垣さんにもそのうち番が回ってきました。
ふだんであれば決して手に取るようなシロモノではない
そんなものはかぶらない、かぶったことなどない
場の雰囲気に呑まれた稲垣さんは意を決します。
丸いもじゃもじゃに頭をつっこんでみると、周りから「似合う、似合う」の大合唱。
せっかくなので鏡を借りて、チラリと確認してみると「あら案外イケてる?!」
自らも好感触を得る体験をしたのでした。
「そうだ、アフロにしよう」
そんな出来事も通り過ぎていき、相変わらずの平凡な毎日を10年ほど積み重ねていた稲垣さんでしたが
ある日、ふと思いついたんだそうです。
そうだ、アフロ、しよう
引用元:稲垣えみ子『アフロ記者』(朝日文庫)
当時、美容院でアフロにしたいとオーダーした際には、美容師さんから
「いくら何でも社会人としてどうなんですか!?」と反対の声が上がったといいますからなんだか笑えます。
様々な髪形を取り扱うプロの反対を押し切って
地毛で、アノ丸いもじゃもじゃをご自身の頭に乗せちゃったのですから!
以来、パッとしない平凡な一記者の人生は大きく変わっていきます。
大手企業の「アフロヘアの女性記者」として・・・
退職後のシンプルな暮らし
新聞記者時代に思い切って”髪を爆発”させたところ、なぜか笑顔に囲まれる生活を満喫してきた稲垣さんでしたが、冒頭で触れたとおり早期退職してしまいます。
現在は冷蔵庫もない、洗濯機も置いていないワンルームの小さな家でひとりで暮らしているといいます。
これには認知症を発症したお母様と向き合っていくうちに、「家事が人生を豊かにする!」ということを体感したことが大きく影響しているそうです。
滞ることなく常に体を動かし、自分の五感をフル活用する効果を実際に実感するようになり
いまでは、来る日も来る日も手放した文明の力とも言える便利グッズに代えて
雑巾やホウキや小さなコンロ、タライという原始的な道具を使って生き生きと日々を送っているとのこと。
このように生きていれば、多少ボケがきたとしても、日ごろから身についた単純な習慣はそう簡単に失われるものではない筈で、それなりに長いこと自立して暮らせるのではないか
引用元:稲垣えみ子『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』(マガジンハウス)
このような発想には共感こそ覚えるものの、マネをして全面的に取り入れるには、なかなか勇気のいる生き方ではありますが…
大胆に道を切り開いてこられた稲垣さんらしい選択とも言えますね!
老いて、たとえ衰えても、前を向いて歩くことができるという光が
稲垣えみ子さんにとっては、暮らしの中の「家事そのもの」だということなのでしょう。
記者を引退した今も、執筆活動を続けられている稲垣さんの新しい暮らし方にはシンプルだけれども研ぎ澄まされたエッセンスが満ち溢れていますね!
最後までお読みくださりありがとうございました。