こんにちは!
ちょっかんライフです。
今回も一人暮らしの直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げてまいります。
ブレイキンとは?
ブレイキンは音楽に乗せて身体のあらゆるところを使い、回ったり、跳ねたりとダイナミックでアクロバティックな動きを取り入れたダンスのこと。
アメリカはニューヨーク・ブロンクスを中心とするヒップホップカルチャーがその源流です。
メディアやテレビなど外部の人たちによる宣伝により、一般にはブレイクダンスと呼ばれていますが、もともとの正式名称はブレイキン(Breaking)。
パーティを開催していたDJが、同じレコード2枚を同時にミックスしてプレイすることで、ブレイク(音楽のメロディパートが抜けリズムパートだけになる間奏部分を指す)を延ばし、ダンサーたちが踊れる時間を長くしたことによって誕生したといわれています。
ブレイキンとは “Breaking”、つまり、“ブレイクに合わせて踊ること” がそもそもの語源なのですね!
クラブシーンやパーティダンスの枠を超え、いまや競技性を備えたワールドワイドなイベントが開催されるなど世界中へと拡がりをみせるブレイキン。
そのブレイキンですが、2024パリオリンピックにダンススポーツ競技として採用されたことにより、カルチャーとして育ってきた文化が「スポーツ」として認可されることとなりました。
B-BoyやB-Girlと呼ばれるブレイカーたちによってパフォーマンスされるブレイキンは、今季オリンピックを境にいっそう知名度を増し、国際的な大会はますます活況を呈し、今後さらなる成長と発展が約束されたと言っても過言ではないでしょう。
ダンススポーツとしてのジャッジ・評価基準
ブレイキンの採点ですが、ダンスの基礎的な動きから動作のつなぎ方、技そのものの精度などに加え、ダンサー自身の個性や創造性、音楽性までを加味しながら総合的にジャッジされるそうです。
ただ、その評価システムについては、本来カルチャーを出発点とし自由が魅力のダンスパフォーマンスに点数を付けること自体に違和感を抱く選手がいるらしいこと、また2018ユース五輪でルール整備されたというものの採点スコアは複雑で賛否が渦巻いているとも囁かれています。
そこで現時点において、パリ2024で用いられる評価基準(PCS)や各加減点項目の定義など、採点スケールの詳細がわかりませんので、ここでは評価コンテンツのみをあげておきます。
ジャッジはブレイカーの何を見ているのか、その参考として見てまいりましょう。
◆ コンテンツ
①.音楽性 | ⑤.スタイル |
②.基礎 | ⑥.精度 |
③.ムーブの難易度 | ⑦.オリジナリティ/創造性 |
④.キャラクター/個性 | ⑧.ラウンド構成 |
①.音楽性
・音楽のリズムとテンポを掴み、フォローする力
・ブレイカーがトップロック中(立って踊っている)にスネアドラムとシンクロできているか、タイミングを維持できているかどうか
・リズムだけではなく、音楽の他の要素に反応しダンスしているか(例:タイミングを合わせフリーズ・メイク、サウンドや歌詞を上手く表現、フットワークで音楽のスピード感を表現)
・基本的に音楽性とは、B-BoyとB-Girlが “その場に存在する全て” に合わせて踊る能力を意味する
②.基礎
・トップロック、ゴーダウン(フロアへの入り方)、フットワーク、フリーズ、パワームーブ(アクロバティックな動き)、トランジション(移行する際の繋ぎ)などの基礎がしっかりしているか
・基礎のレベル、全体的なルックス、それぞれの形、流れなどがクリーンかつシャープであるか
③.ムーブの難易度
・ハイレベルなムーブをできるレベルにあるか
・連続トリック、パワームーブの高難度コンビネーション等難易度の高いムーブがメイクできているか
・複雑なフットワークのコンビネーションやパターン、フロウなどのレベルチェック
④.キャラクター/個性
・アートとして自分のキャラクターと個性を表現しているか
・ブレイカーがムーブメイクしつつキャラクターと個性を加え、他とは異なるユニークでパーソナルなダンスができているか
⑤.スタイル
・ブレイカーの個性、体型、柔軟度、筋力、クリエイティビティが活かされているか
・パワームーブ重視スタイル、フットワーク重視スタイル、柔軟性重視スタイル、フリーズ重視スタイルなど、それぞれのスタイルをいかに上手く表現しているか
⑥.精度
・ブレイカーがダイナミックかつクリーンなムーブができているかどうかをチェック
・ムーブミスやクラッシュしていないか(精度が低いと判断されスコアを大きく下げてしまう)
⑦.オリジナリティ/創造性
・サプライズ要素はあるか
・良く知られているムーブ、ステップ、フリーズ、トリック、パワームーブ、トランジションにオリジナルでクリエイティブなアイディアを加えたり、オリジナルのムーブ、ステップ、トリック、フリーズ、トランジション、パワームーブを複雑に組み合わせたオリジナルスタイルを打ち出しているか
・ジャッジが知らないフレッシュでユニークなブレイキンを見せたか
⑧.ラウンド構成
・ラウンド全体が理解できる構成になっているか
・ムーブがスムーズに繋がっていて、ひとつのストーリーになっているか
・ストップ&ゴーばかりで流れが感じられない構成になっていないか
・次に何をやるのか分かっていないように見える、といった構成になっていないか
・ラウンド全体に音楽に合ったリズムとフロウ(流れや強弱)が感じられるか
注目の日本女子B-Girl 3選手
とにかくカッコいいダンススポーツ、ブレイキン。
じつは日本は世界でもトップクラスのダンサーが男女ともに揃う強豪国なのです。
パリ2024に向け最終予選もいよいよ大詰め…
ということで今回は、日本女子で注目したいB-Girl3名をご紹介していきます。
※男子については前回取り上げた『日本男子代表候補の紹介』下記記事に詳しくまとめています。
パリ2024新競技ブレイキン!選考プロセスと日本男子代表候補をご紹介
“世界最高峰バトルの絶対的クイーン” AMI
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Ami Yuasa Instagramより
ダンサーネーム・AMIこと湯浅亜実選手。
2022年の世界選手権で金メダルを獲得したほか、数ある世界大会を総なめにし、優勝最有力候補とされるB-Girl。
2023年には、世界最高峰の大会「Red Bull BC One World Final」で宿敵のライバルと激突。
得意のフットワークとクリーンなムーブ、細かく多彩なステップを重ねた完成度でトップダンサーの力を見せつけ、女子史上初となる2度目の世界女王に輝きました。
今までと変わらず、まずは目の前のことに全力を尽くしたい。
バトルの大小にかかわらず1戦1戦を大切に、練習でもその日の課題に集中することを心がけ着実に自分の信じた道を進んでいきたい
カルチャーからスポーツへ…たとえどんなステージになろうとも、やりたいのは自分のダンス!とまったくブレないAMI選手、パリオリンピック初代女王へ向け自らのスタイルを貫きます。
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Ami Yuasa Instagramより
“オリジナリティ溢れるこだわりのムーブ” AYUMI
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共同通信メディアセンター Instagramより
京都に拠点を置く、AYUMIこと福島あゆみ選手。
ブレイキンとの出会いは21歳という遅咲きのB-Girl。
2021年に世界選手権を制し、パリ五輪の金メダル候補に挙がるまでになりました。
ブレイキン界では大ベテランの域にあるものの、「とにかく楽しむ」をモットーにその情熱はまったく衰えていません。
オリンピックイヤーにあたる2024年2月、全日本選手権では得意のフットワークを中心に、音楽に細かく合わせるダンスやオリジナル技を見せ堂々の3連覇を飾りました。
オリンピック出場権がかかる予選シリーズに向けいっそう弾みをつけています。
若い選手の勢いが凄くレベルが上がっているのを感じるが、それぞれの年齢にあわせた進化があるのでコツコツ自分の好きな部分を伸ばしていきたい
と、周囲に惑わされず、流されず、AYUMI選手らしく次の目標を見据えていました。
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共同通信メディアセンター Instagramより
“スピードとキレが抜群の高校生” Riko
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KPAS Entertainmen Instagramより
沖縄県内のスタジオで日夜練習に励む高校生、Rikoこと津波古梨心選手。
2023年12月ブレイキンの国際大会・ワールドシリーズで、6月のカナダ、スペインでの国際大会に続き3度目の優勝を果たしました。
2024年2月に行われた全日本選手権ではグループステージ3試合を全勝で突破。
迎えた決勝ラウンドでは、全身を使ったアクロバティックな回転技「パワームーブ」で盛り上げ準々決勝に進出、ベスト4にくい込みます。
準決勝では惜しくもAYUMIこと福島あゆみ選手に敗れて4位となり、技の手数や体力面などに課題を残す大会となりました。
オリンピック予選シリーズまであと2~3か月しかないので限られた時間でどれだけ自分の課題を克服して成長できるかというところに集中して頑張っていきたい
とはいえ若く可能性に満ちたRiko選手、最終選考大会に向けた準備へと頭を切り替え、日本代表2枠入りを目指します。
TEAM JAPAN
@TEAMJAPAN YouTubeチャンネルより
最後に・・・
オリンピックへの採用が続く都市型アーバンスポーツとして、2024パリ大会唯一の新競技となったブレイキン。
パリ大会は男女個人の2種目が実施され、B-Boy、B-Girlそれぞれ男女16人ずつが初代五輪チャンピオンを賭けてダンスバトルを繰り広げます。
会場は東西南北の通りが広場で交わるパリの中心地、コンコルド広場。
なぜか次の2028ロサンゼルス大会ではブレイキンを追加競技候補から外したアメリカ。
発祥国であり選手のレベルも高くメダル獲得最有力とも目されるにもかかわらずまさかの落選でした。
そのまた次の2032ブリスベン五輪で復活との噂も取りざたされているものの現段階では不透明。
そういった状況からも、今回が最初で最後となるかもしれないレアな五輪競技となりそうです。
であればここはひとつ、大いに楽しんで日本の選手たちを目イッパイ応援したいところですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。