「すずめの戸締まり」韓国・中国で異例の興行収入!新海監督人気が凄い

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こんにちは!

ちょっかんライフです。

今回も一人暮らしの直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げてまいります。

2024年春、新海誠監督作『すずめの戸締まり』が、ついに本編ノーカット地上波初放送されることが決定しましたね。

2022年公開の本作は、日本以外でも199か国などで公開され世界的にも大きな注目を浴びた映画です。

特に韓国中国では社会現象を巻き起こし、これまでの興行記録を塗り替えるほどの人気を博しました。

この両国でメガヒットを生んだ背景とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。

映画公開後初となるテレビ放映を前に、改めて振り返っておきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いください。

新海誠監督3年ぶりの新作となる『すずめの戸締り』が韓国で公開されたのが2023年3月8日。

公開されるやいなや、韓国映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワーク・デイリーランキングで初登場1位に躍り出ます。

韓流ツイッター
@kor_celebrities

その後もトップの座を一度も譲ることなく15日連続で1位を記録。

映画『すずめの戸締まり』公式Xより
@suzume_tojimari

そして3月21日には累計観客数200万人を突破し、そのあともさらに観客数を伸ばし好調をキープしたのです。

公開からわずか2週間での200万人突破は、新海誠監督の代表作『君の名は。』公開時に匹敵するほどのロケットスタートとなっただけに、当時韓国では『君の名は。』超えなるか!と期待が高まりました。

というのも、2017年1月に韓国で公開された『君の名は。』は、累計367万3876人の観客を動員。

それまで韓国で人気のアニメといえば、『ハウルの動く城』(261万4043人)などのジブリ作品だったのが、当作品はそれらジブリ作品を退けて、韓国における歴代日本映画興行ランキング1位となった作品だったからです。

同時に忘れてはならないのが、『君の名は。』の大ヒットにより韓国で≪日本アニメーション界の巨匠≫(通信社;聯合ニュース)と広く知られるようになった新海誠監督が、実は韓国の熱狂的なアニメファンたちの間では、『君の名は。』公開以前から、つとに知られた存在であったということです。

ここを押さえずして『すずめの戸締り』の爆発的ヒットを語ることはできない気がします。

これまでも韓国の観客に対する格別な愛情を示してきた新海誠監督。

2023年は公開から2度にわたり韓国を訪れたのち、人々の『すずめの戸締まり』への声援に応えるため、新海監督自らの意向で12月のクリスマスの時期に再び3度目の訪韓を果たしています。

suzumenotojimari_official
映画『すずめの戸締まり』公式Instagramより

新海監督は2019年夏あたり、日韓関係がギクシャクしていたころ、『天気の子』の公開が延期となった時にも来韓して記者会見を開き

と述べ、会場から万雷の拍手を浴びることもあったほどの親韓派。

すずめの戸締り』でも新海監督は公開に合わせて韓国を訪問し、記者会見や舞台挨拶を通して韓国ファンと触れ合い、また、韓国の映画監督や映画評論家とのトークイベントも開催するなど積極的に交流を深めてきたのです。

作品の素晴らしさはもとより、国境を超え新海監督自身が人と人との絆を地道に丁寧に築き上げてきたからこそ、大ヒットへ結び付いたのかもしれません。

まるで魔法をかけたかのよう”などと新海監督映画を評する韓国の人々は、いったい作品のどこに惹かれているのでしょうか。

その魅力とされるひとつには、映像の美しさと融合した音楽にあると言われています。

すずめの戸締り』は、新海監督と3度目のタッグを組むRADWIMPSと、世界で活躍する映画音楽作曲家の陣内一真氏が音楽を担当。

映画『すずめの戸締まり』公式Xより
@suzume_tojimari

国内外を問わず光の魔術師とされる新海監督が、アニメの世界に光を撮り込み、陰影を際立たせ、日本各地の風景を繊細な表現で映像化、そこにRADWIMPSらの音楽を溶け込ませることで唯一無二の世界観を実現、韓国の観客たちを魅了したのです。

韓国の映画マニアが集うネットコミュニティにおいても多くの賛辞が寄せられていました。

加えて、作品の源流にメッセージ性があることを韓国の人々がちゃんと読み取っていたことも、同作品の価値を高める要素の一つとされています。

すずめの戸締り』は、2011年東日本大震災をモチーフに作られましたが、韓国メディア「OSEN」は当時、《若い世代からも新海誠監督が伝えようとする温かいメッセージは共感を得ている》とヒットの要因を分析していました。

映画『すずめの戸締まり』公式Xより
@suzume_tojimari

同作品は、2023年4月末段階で52億円、それからわずか2か月後の6月には56億円の興行収入を達成。

観客動員数にいたっては500万人を突破するなど、韓国の人口が日本の半分以下であることを考えれば驚くべき大きな数字を生み出したのです。

쏘플 soso playlist
@sosoplaylis YouTubeチャンネルより

韓国での勢いそのままに『すずめの戸締り』は中国でも日本映画の歴代最高を更新。

2023年3月24日の公開から5月中旬までの興行収入は8億元(約157億円)のメガヒットとなりました。

観客動員数は初日3日間だけで1000万人を突破。

中国内での日本映画の最高記録だった『君の名は。』の興行収入をわずか10日間で上回り、動員数も2000万人超えでさらに記録を伸ばし続けます。

4月中旬には上海共同発表で中国での興行収入は7億5200万元(約146億円)に達し、軽々と日本での興行収入を抜いてしまいました。

アニメーション市場においても巨大な中国にあって、日本での興行収入をあっさり上回った『すずめの戸締まり』。

この作品が記録ずくめの大ヒット興行となった要因はいったい何なのでしょう?

映画『すずめの戸締まり』公式Xより
@suzume_tojimari

ーーとの疑問に対して、ちょっと面白いデータがあります。

日本国内での興行収入は半年あまりの上映で146.6億円(興行通信社調べ)。

2006年の「君の名は。」の251億円からは大きく引き離されてしまうのに対し、視点を海外に移して見てみると、これが一転…

『すずめの戸締まり』が総じて興行成績トップとなるのです!

つまり新海誠監督の評価や価値は、もはや日本国内を飛び出して世界各国へと飛躍を遂げたことが実績から明らかになったということ。

よくよく考えると、いやじっくり考えなくても本当に凄い。

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映画『すずめの戸締まり』公式Instagramより

新海誠監督はパンデミックの終息以降、初めて中国を訪れた国外初の監督となりました。

また訪中にあたっては、中国のSNS上に『すずめの戸締まり』関連のキーワードが大量にトレンド入りし、大きな話題に!

プレミア試写会は2000人収容可能な北京大学の100周年記念講堂で行われ、これは一般的な映画のプレミアに比べはるかに大きな規模で開催。

そこでも新海監督は宣伝活動に加わり、中国のためのオリジナルポスターを制作するなどプロモーションに協力的だったといいます。

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映画『すずめの戸締まり』公式Instagramより

そしてプレミア試写を終え中国の観客が一番心惹かれたというのが、新海監督のパーソナリティ。

韓国の時と同様に、ファンとの交流を心から楽しむ様子が好感を呼んだようです。

映画『すずめの戸締まり』公式Xより
@suzume_tojimari

中国での映画公開は、台湾情勢の緊迫化や米中対立の影響などで日中関係が冷え込んでいた時期と重なったにもかかわらず、日本のアニメーション映画は快進撃を展開して終演までをひた走りました。

新海監督は各国の舞台挨拶で、2011年に実際に起きた東日本大震災が同作品のベースにあること、東北地方を地震と津波が襲い行き場を失った人がたくさんいることを伝えると、それを聞いた瞬間に観客がハッと息を飲むのがわかったと言います。

そして意外なことに、実際どこの国でも東日本大震災を知る人は会場内で全体の3割程度に過ぎなかったのだとか・・・

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映画『すずめの戸締まり』公式Instagramより

すずめの戸締り』は、天変地異による日本人の集団体験を日本的背景に盛り込んで描き出した作品。

さらに加えて、この物語を深堀りしてみると

主人公のすずめの姓は岩戸で実際、宮崎県には天岩戸という神社がある
日本神話の主神・天照大神が天岩戸の洞窟に隠れると世の中が闇に覆われ、洞窟から出てくると光が戻ったという伝説がある場所
すずめと全国を駆け巡る「閉じ師」の名は宗像といい、宗像大社を総本宮とする海上交通の守護神・宗像三女神(むなかたさんじょしん)の名前に由来する
すずめが抜いた石片は要石(かなめいし)で、地面下で地震を引き起こすとされる大ナマズを鎮めるた霊石のこと

このように『すずめの戸締り』の人物像や所在地などは、日本に古くから伝わる神話に根ざして描かれていることがわかります。

そういった背景や伝承をまったく知らなくても、同作品が日本だけでなく世界の人々の心に響き、テーマの中で意図したメッセージが確実に伝わったのですから本当に素晴らしいことですよね。

ーー新海誠監督は、中国における興行収入が国内の興収を超えた時点で、自らのSNSを通じて「個人的には、日本のアニメーションの世界興行が別のフェーズに入ったと実感している」と発信しました。

その言葉にあるように、日本のアニメーションが映画興行において国内より海外で、より大きな売上を実現する新たなトレンドが巻き起こり始めたようです。

そして新海誠作品はその先陣を切っていると言うことができるでしょう。

ただその発言からは、世界に対する阿り(おもねり)や傲慢さは一切感じられません。

新海監督のインタビューでも

「海外をまったく意識していない」
「グローバルなものを作ろうと思っていない、ローカルなものでいい」

とさらりと語っていて、そこに何の気負いも奇をてらう意識もうかがえないのです。

意図してグローバルに寄せるのでなく、世界のほうから作品に吸い寄せられる

そんな世界観を新海誠監督は新作を発表するごとに、どんどん創り上げ積み重ねてきています。

国を超え言葉の壁を越え、はたまた体験の有無さえも凌駕して、人類が希望として抱く普遍性への共感が波のように共振し、結果世界的な展開へとつながっていく未来が透けて見えるようですね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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