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’26WBCドジャースのキャンプ地を離れるスターたち各代表への想い

MLB

こんにちは!

ちょっかんライフです。

日常のなかで、直観レーダーにピピピッと引っかかったアレコレを取り上げるページ――。

2026年3月初旬。アリゾナ州グレンデールにあるドジャースのキャンプ地は、奇妙な静けさに包まれていました。

本来そこに漂っているはずの、ワールドシリーズ3連覇という前人未到の野望に燃える熱気。それが一時的に鳴りを潜め、主力選手たちが次々とこの地を後にしています。彼らの目的地は一つ。野球界最大の祭典、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の舞台です。

MLB公式サイト(MLB.com)は、この大会に挑むドジャースのスター軍団にスポットを当てた特集記事を公開しました。大谷翔平や山本由伸といった至宝たちが、母国の誇りを胸にどのような覚悟で戦いに臨むのか。

ドジャーブルーを脱ぎ捨て、それぞれのナショナルチームのユニフォームへと袖を通す選手たち。ケガのリスクを承知で真剣勝負へと向かう、熱き勇者たちの物語を紐解きます。

以下に、文中に出てくる専門用語について簡単にまとめました。

用語解説
60日間IL(故障者リスト)ケガなどの理由で試合に出られない選手を登録するリスト。登録されると、最低でも60日間はメジャーリーグの公式戦に出場できません。
サイ・ヤング賞そのシーズンの各リーグ(ア・リーグ、ナ・リーグ)で最も活躍した投手に贈られる、投手にとっての最高栄誉です。
開幕ロースター(Roster)メジャーリーグの開幕戦に出場できる26人の選手枠。「ロスター」と発音するケースもあります。
ア・リーグMVP次点(カル・ローリー)シアトル・マリナーズの正捕手。昨シーズンのアメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)投票で2位相当の評価を得た、現役トップクラスの強打の捕手です。
スリーピート(3連覇)「Three」と「Repeat」を組み合わせた造語。ドジャースは2024年、2025年に続く2026年シーズンの優勝で、この偉業達成を目指しています。
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2026WBC┃世界一の先にある誇りをかけた戦い

3年前の2023年大会、エドウィン・ディアスを襲った出来事は、開催地の空気を一変させました。

ドミニカ共和国との激戦を制した直後、歓喜の輪の中で飛び跳ねていた彼は、右膝の膝蓋腱を断裂。シーズンを棒に振るという、あまりに大きな代償を払ったのです。

崩れ落ちたあの瞬間、傍らで実弟のアレクシス・ディアスが人目も憚らず泣き崩れていた姿は、世界中のファンの胸を締め付けました。

最高潮の歓喜から、一瞬にして絶望の淵へ。

しかし、2026年大会。彼は迷うことなく代表復帰を選びました。

(ケガのことは)頭になかった。プエルトリコの人々の前でプレーできるチャンスがある。それは簡単な決断だった。“That was an easy decision.”

実は、今回のWBCはディアスにとって、プロ入り後初めて母国プエルトリコのマウンドに立つ機会でもあります。

「家族や友人の前で投げること、それが僕にとって最も重要なこと。プエルトリコの人々は、なかなかアメリカまでメジャー観戦に足を運ぶことができないからね」

プロ選手にとってケガのリスクは死活問題です。それでもなお、彼が「簡単」だと言い切った背景には、故郷のファンの前で国を背負って投げるという情熱が、あらゆる困難を超越する価値を持っているという事実があります。

その決断は、他のスター選手たちがキャンプ地を去る背中を強く押すこととなりました。

ディアスに続くように、ドジャースからは精鋭たちがそれぞれの戦地へと旅立ちました。

真っ先にキャンプ地を離れた大谷翔平に続き、山本由伸も東京へと向かいました。彼らを追う大勢の日本メディアも一斉に姿を消したことで、キャンプ地は一段と静まり返っています。

ドジャースの特殊性は、何といってもその圧倒的な多国籍性にあるのではないでしょうか。

アメリカ、日本、韓国、プエルトリコ――。それぞれの国を代表する「顔」が同じチームに集っているのです。

ここで注目すべきは、選手によって置かれた状況が大きく異なる点。

すでに確固たる地位を築いている大谷、山本らに対し、キム・ヘソンにとってはこの時期、チームを離れることは極めて大きな賭けでした。なぜなら、開幕ロースター入りを勝ち取るための熾烈なサバイバルの真っ最中なのですから。

それでも、彼は

国を代表することは、自分にできる最も名誉なこと。“the most honorable things that I can do.” 初めて代表ユニフォームを着た時と同じ気持ちで挑む

と言い切ります。

自らのキャリアを左右する重要なスプリングトレーニングを中断してでも、国の誇りのために戦う。その献身こそが、WBCを特別な大会にしているのです。

今回のWBCに出場する主なドジャース選手は以下の通り。

  • アメリカ代表:ウィル・スミス、クレイトン・カーショウ
  • 日本代表:大谷翔平、山本由伸
  • プエルトリコ代表:エドウィン・ディアス
  • 韓国代表:キム・ヘソン

彼らが戦いの準備を進める中、フィールドの外では代表チームならではの ”結束を象徴する儀式” が始まっていました。

プエルトリコ代表には、大会に向けて選手たちが心ひとつに髪をブロンドに染めるというユニークな伝統があります。

守護神ディアスはもちろんのこと、ファンの胸を打ったのはキケことエンリケ・ヘルナンデスの姿でした。彼は現在、左肘の手術を受け60日間故障者リストIL)に入っており、今回の大会に出場することは叶いません。

しかし、キャンプ地のワークアウトに現れた彼の髪は、見事なブロンドに染め上げられていました。

プレーできない選手までもが、代表の象徴であるカラーに身を染める。この事実は、ナショナルチームの結束力がいかに個人のコンディションや利害を超越したものであるかを物語っています。

髪の色は単なるファッションではなく、たとえフィールドに立てずとも、魂は共に戦っているという熱い意志の表れなのです。

代表チームでの活動は、普段は敵として戦うライバルたちとの「夢の協演」ももたらします。

アメリカ代表の正捕手を務めるウィル・スミス選手は、昨季のサイ・ヤング賞受賞者であるタリック・スクーバルやポール・スキーンズとバッテリーを組むことに大きな期待を寄せました。

シーズン中は手強いライバルである他チームのエースをリードすることは、捕手としての引き出しを増やし、技術を向上させる絶好の機会。

また、捕手スミスにとって特別なのが、クレイトン・カーショウとの再共闘です。

わずか4ヶ月前に、3度目のワールドシリーズ制覇を成し遂げたばかりの二人。前回大会を欠場した伝説の左腕カーショウについて、スミスは

「彼が参加できて嬉しい。今度は一緒にゴールドメダルを獲りにいくんだ」と、ドジャースの枠を超えた新たな絆に胸を躍らせています。

スミスは、ア・リーグMVP投票で次点に入った実力派捕手カル・ローリーと出場機会を分け合うことになりますが、こうしたハイレベルな切磋琢磨こそがWBCの醍醐味と言えるのでしょう。

「ワールドシリーズの優勝と、WBCの優勝。そのどちらが重要か?」

この問いに対し、双方の頂点を知る山本由伸は、次のように答えました。

性質が異なる二つの勝利だが、その意義(価値)において、両者は等しい

短いオフシーズン、調整の難しさ、そして選手生命を左右しかねないリスク。現代の野球プレーヤーにとって、WBCへの参戦は決して平坦な道ではありません。

それでも、彼らが示す情熱は、プロとしてのキャリアにおいて ”ナショナル・プライド” がいかに不可欠なものであるかを雄弁に物語っています。

ドジャースでのスリーピートthree-peat)という壮大な野望の前に、選手らはまず自らのルーツのために戦う道を選びました。

ドジャーブルーの誇りと、母国の威信。

その両方を背負ってフィールドに立つ彼らの姿は、世界中にスポーツの奥深さとアスリートの真髄を示してくれるはずです。

海を越えて戦うすべての勇者たちへ。心からの拍手と尽きることのない声援を――。

私たちはこの野球界最大の祭典を、ともに最後まで見届けます。

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